一学期最終テスト

「はい、始め!!」


こうして始まったテストは俺にとって地獄の時間となった。




「はい、始め!!」はなぜ言われるのか。

正直なんでもいいが、こうなんだろうテスト中はそういう仕様のないことを考えたくなるのだ。

特に、解答がもう終わった時は。

勿論全部解き終わったわけではない。

ほとんどわからなかったのである。

そもそもの話もともと全科目赤点回避は目指していないので、許容範囲内と言えばそうである。

ただし、十点代、お前は駄目だ。

後で取り返しがつかなくなる。


「せめて二十だ。意識しろ」


そう武田に言われた。


「そう、追い込まれることはないわ。ゼロ点でもどうにかなるわよ」


と、木下はいうが、、、

むやみに焦らしたくないのは分からないでもないが、どうにかなるとは思えない。

現実はかなり厳しいのである。

ん?中間テストぎりぎり赤点くらいだったから大丈夫だろうって?

世の中悲しいもんで、、、期末テストの方が難しいのだ。

勉強すべき科目も多いしな。


案の定、結果は芳しくなかった。

それでもなんとかなるかな?みたいな感じだ。

とりあえず気になるところ、中間で赤点だった教科の点数を紹介しよう。


「さてまず、物理!」


「物理は難しいだろうな。計算も伴ってくるし」と武田。


「いや、以外と案外どうにかなったり」と木下。


例によって三人で結果を確認する。



それなりではあった。実際、一年前の俺だったらびっくりしてしまう点数だろう。赤点はどうだって?聞いて驚け。


「三十二点だと……」

俺の手は汗でびっしょり。


「これどうにかなったって奴だな。この調子で行けば」

武田はそう言って木下を見る。

木下はそれに答えるように

「卒業できる!」


「じゃあ次行くか」

「サバサバしてんな」

「いや実は物理はなんとかなる予感はあったんだよ」

「じゃああれか?」

「そう」


そう言って俺は生物のテストを捲る。

三十一点。


それを見て武田は

「国語か……」


そう先のテストでボロボロだった国語である。

すぐに良くはならないと言われてはいるものの不安なのは事実である。


生物や物理なんかはこれから上がっていく予感すら感じられたが、国語はそうはいかなかった。


「ここでストッパーになるのか……国語!」

そう言って国語のテストを捲る。


「展開早いな」

呑気な武田。


さて捲ったテストを見てみると

「二十一……」


「おおー思ったより」

驚いた顔をする武田。


「はぁ」

溜息をつく木下。


反応がそれぞれだな。

「ちょっとは上がっているけど、これって誤差なのか?」


「まぁ、普通は誤差だね。でも山下の場合は誤差で良いよ。正直誤差で三十点は超える」

と余裕の表情の武田。


「誤差は賛成だけど、ここから三十超えるってなると誤差ってわけにも……」

やはり難色を示す木下。


「まぁ、過ぎたことは仕方がない。見直しするか」

「おう」

「ええ」

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三度目の高校生 @amanoreiyou

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