中間テスト
「さぁ、本番だな」
「おう」
「昨日木下、家に泊まったろ」
「おう」
「なんもなかったのか」
「おう」
「そうか。お前以外と奥手なんだな」
「残念ながら、俺は心に決めた人がいるんでね」
「へぇ、お前ヤンキーなんだしとりあえず手を……」
「殴られたんだよ」
「そうか」
なんだか二人ともテンションが低い。
なんか気分上がんねーなー。
そんなもんだろうか。
テストって。
「頑張ろうぜ…」
力なく武田は言う。
こいつもなんでか元気がない。
俺よりテスト経験あるんじゃなかったのかよ。
「いや、ほんと昨日映画見るんじゃなかった」
馬鹿だった。
そろそろ学校が見えてくる。
ここでどれだけ頑張れるか、、、それに掛かっている。
「それじゃあ、始め」
始まった。
今日から三日。
カリカリと鉛筆もといシャーペンの音だけが響く。
と言いつつもたまに捲られる紙の音、俺の頭の中ではずっと問題文読み上げたりしてるからな。
実際そんなに静かじゃない。
俺の頭は大パニックだ。
時間を見る。
そういや昨日木下が……
「時間配分には気を付けること。解ける問題から解くのよ。それと、ある程度終わったら見直しね。難しい問題はその後ね。わかった?」
「あいあい分かってるよ」
「あんたこっちは真剣に、、もう」
木下は頬を膨らます。
「とりあえず、あんたは赤点回避が目標だからこういった小技で攻めるのよ」
「おう。やってやんぜ」
ということらしい。
ふうむ。
じゃあ、見直しますか。
「どうだった?」
「ん~。わからん」
「わからんのか……」
「あぁ、三科目もあったからな」
「そんなもんか」
そんなもんだ。
「明日も三教科か……」
「おう、勉強するか。今日は俺が泊まりだ」
「そうか。助かるぜ」
「襲うなよ?」
「襲わねーよ!」
今日も早くねよう。
寝る前に武田が声をかけてきた。
「お前さぁ、明日も頑張れよ」
「なぜ今?明日言えよ」
「ん~。明日は元気ないだろうからね」
「テスト直前だからか」
「ふっ、そうだな」
寝るか……
「あ、そうだ映画見――」
寝るか。
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