7.図書室の眠り王子
高校生活数日目。初めての図書委員会の集まりがある。放課後に三年生の教室に向かわなければならない。違うクラスでも緊張するのに上級生の教室なんてもっと緊張してしまう。
「じゃあ、また明日っ」
「くぅちゃん、委員会頑張って」
これから部活に行く二人と別れ、教室に向かう。
階が変わると雰囲気が全然違うように感じる。早く着いてしまったせいで、周りにはたくさん三年生がいる。
「あれ、一年かな? 何してんだろ」
「今日委員会じゃなかったっけ?」
「それかぁ」
目立ってしまっている。ちょっと、他で時間潰してこよう。そうしよう。
図書室でうろうろしよう。当番の人はいない。そうだよね、委員会あるんだもん。ぐるっと一周しようと歩くと、また窓際のカウンターで寝ている人がいる。今日も寝てるんだ。窓が開いているため、髪の毛が風でなびいている。
思ったより見てしまっていたようで、時間が迫っていた。
「あっ、戻らなきゃ」
急いで教室に戻ったところ、他の学年の人もいてちょうど教室に入っていくところだった。
「一年生はこの辺に座ってくださーい」
言われた通りに座る。どうやら私の他に一年生は一人。違うクラスの男の子だけみたいだ。
二人が黒板の前にいる以外は、全員席についていた。きっとあの二人が委員長とかなんだろうなぁ。と思っていると、前のドアから一人入ってきた。
「春野、時間ぎりぎりセーフ」
春野と呼ばれた男子生徒。さっき図書室で寝ていた人だった。
「また寝ちゃって」
「またかよー、眠り王子の名は伊達じゃないな」
初めて見る金色の瞳。ちょっと近寄りがたい雰囲気はあるけれど、柔らかくて優しい笑顔だった。
「それでは、委員会を始めます。僕が委員長の三年、
横の二人も、副委員長と書記だと挨拶があった。
「それと担当の先生が……来てない。ええと、泉氷先生です」
来てないけど、ともう一度添えた。
「はい、今紹介してもらった泉です」
後ろの開いていたドアから静かに入ってきた。
「ということで、一応皆さんにも最初なので自己紹介をお願いします」
三年、二年、一年の順でしていく。同じ一年生は、
何事もなく挨拶を終え、委員の仕事説明に入った。聞いていた通り、貸し出しなどの作業であった。
早速当番の日を決めることになったのだが、二、三年生はもう決まっているようであとは私達二人をいつ入れるかというだけだった。
「それじゃあ、猫宮さんは月曜日、楠木君は木曜日ということでお願いします」
あっさり決まった。教えてあげられる人がいるとき、ということでこの曜日になった。来週から始まる当番に今から緊張してしまう。
「それでは今日の委員会を終わります。お疲れ様でした」
お疲れ様でーすと教室に響き渡る。思ったより早く終わった。一年生のための説明だけだった。
それにしても、あの図書室で寝てた人図書委員の人だったんだ。春野先輩、覚えておこう。眠り王子って言われるくらい、図書室で寝ていることが多いのかな?
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