四月
2.高校生って
四月に入り私は高校生になった。中学からの友達である笹本さやかちゃんと同じ学校で、同じクラスになれた。そんな私の初めての行事が入学式だ。配られた花を胸元に付け出席番号順に体育館に向かう。この人達がこれから同じ学年で過ごしていくのかぁ。
入学式って、なんとなく偉い人の話を聞く式って感じ。ようやく出てきた学生は生徒会長。なんでみんな天気のことを話すんだろうと思いながら話を聞く。
んー、良い学校生活とは一体どんなものだろう。高校生らしいってなんだろう。勉強に力を入れること? 部活をすること? 行事に積極的に参加すること? さっき教室で女の子が言っていたのは青春、恋をすることだって言っていた。「高校生だもん、恋をしたい」と。恋ってそんなにいいものなのかな? まだ私には分からない。
式が終わって教室に戻る。隣の席になったなつかちゃんはふわふわした可愛い子だ。少し話したけれど、いい子そうだ。まだ初めて会ったという状況で教室でわいわいしている男の子がいる。笠原、というらしい。なんだか元気が良くて周りをまとめられそうなタイプだ。悪い言い方をすれば、うるさくて周りをぐいぐい巻き込んでいくタイプ。私はもう少し素直な見方をしたほうがいいな。初めて会うのだから、知っていかないと。
先生が来て「これからよろしくな」と挨拶をした。女の子がひそひそと、ちょっとかっこよくない? と言っているのが聞こえる。さっき体育館で壁際で立ってた先生のほうが好き、なんて声も聞こえる。そこまで全然見てなかったなぁと少し反省した。話題の一つになったのに。
高校生としての心得と書かれたプリントが配られる。中学生から高校生になったからといって守らなきゃいけないことは変わらなくないのかな。一応学校側としては説明しましたよっていうことだろうか。
そんな感じであっという間に今日が終わって帰るだけとなった。さやかちゃん以外にはなつかちゃんとしか話せなかった。もっと交友関係を広げておこうと思ったのになぁ。とにかくこれから学校生活が始まるのだから気合い入れていこう。
「くぅちゃん、帰ろうよ」
さやかちゃんが声をかけてくれた。
中学からの友達であるさやかちゃんには、空という本名から読み方を変えたくぅちゃんと呼ばれている。
「うん、帰ろうか」
教室を出るとき、他の女の子達が話していたのは男の子の話だった。かっこいいとかどうとか。ちなみに男の子も、あの子可愛い、スタイル良い、付き合いたいとかいう話だった。さっき不純異性交遊の話をされたばっかりなのに、関係ないのだろうか。高校生って……怖い。
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