30話 どうしようもなくどうしようもない話

「さて、どうしようか?」

「・・・・・・出来るだけ早く仲直りできるよう頑張ってみるね」


 にっこり笑う無子に俺は顔を引き攣らせて扉を


「い、初花ちゃん・・・・・・とりあえず持ってるクッキー全部くれる?」


 開けようと思ったらぎこちなく笑うアルフが言ってきた。

 ここから先は俺が持っていてもしょうがないので言われたとおりに全て渡してしまう。


「じゃ、じゃあ頑張ってね。ある程度は稼げると思うから」

「え?」

「お? アルフくん、何するの?」


 クッキーを全て受け取ったアルフは教師の群れの方に身体を向ける。そして側にいる無子に何かを耳打ちする。

 無子の口角が吊り上がる。


「なるほどね。確かにこれなら時間は稼げそうだ。じゃあやるよ」

「う、うん」


 顔を真っ赤にしたアルフがうなずく。

 無子がアルフの股間をそっと撫でた。


「んほぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおお!

イ、イグゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥウウウウウウウウウウウウウウウウウ!」


 びゅるるるるるるるる!

 アルフが口をだらしなく開けてアヘ顔を曝し全身をびくんびくんと痙攣させる!

 立ちこめる異臭に迫り来る教師陣はドン引きし、足を止めている。


「続いてっ!」


 楽しそうに笑う無子が、右手に持ったクッキーをアルフの口の中にぶち込み、同時に左手でまたしても股間を撫でた。


「んほぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおえええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇんほぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇええええええんほおおおおおお!

イ、イグゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥぇおぇぇぇぇぇぇえええええええええイグウウウぇおぇぇぇぇぇぇえええええええええイグゥゥゥゥゥゥゥゥウウウウウウウウ!」


 アルフが絶頂しながらゲロを吐いた!

 襲い来る快楽の波に恍惚としながらも、せり上がる胃からの逆流物に顔を青くする。

 何かがアルフのズボンを突き抜け股間から放出され、上からはゲロが撒き散らされる。

 地獄絵図などというレベルではなかった。

 鼻がねじ曲がりそうなほど強烈な臭いが廊下を満たし、床は得体の知れない気持ちの悪い色をした液体でぬらぬら光っている。


「最後にっ!」

「んえっ!? なにするの!?」


 自身が計画していたことではなかったのか戸惑うアルフに無子が動画を見せる。

 由希が俺に愛を囁こうとしている場面だった。


「ブッフォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォオオオオオオオオオオッ!」


 アルフの瞳孔が開いて、鼻の穴からとてつもない量の鮮血が前方に向かって噴射される。


「うおっ!?」


 最前列の教師が慌てて飛び退き、それにあわせて教師の群れがドタドタとドミノ倒しのように向こう側へ倒れていく。巻き込まれなかった教師たちにも動く様子はない。


「床には精液とゲロの混合液。それでも無理矢理近づけば女の子マニアの鼻血が飛んでくる。これで当分は大丈夫だね。さすがアルフくん」

「頑張ってね初花ちゃん・・・・・・」

「う、うん・・・・・・がんばるね」


 からかうように笑ってぽんぽん肩を叩く無子に、生気を失った顔で儚く微笑むアルフ。

 俺は微妙に引きつつもアルフの精神的犠牲を無駄にするわけにはいかないと決意を新たにし、教室の扉に手を掛けた。

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