友達からね

「突然でごめん、驚くかもしれないけど……………私、あなたのことが好きです。」


「え?」


「私と、付き合ってくださいっ!」


突然の告白。頭は真っ白。


「?」


「ダメ、かな?」


「?」


「?」


「…………………………ええええええええぇええええぇ!!!」


「わ!?」


ガッタン!!!


自分の座っていた椅子をぶっ倒して立ち上がる。自分の声に驚き、思わず口を両手で塞ぐと、矢萩ちゃんも驚いたらしく、未だ赤い顔で少し引いている。


 とはいえ、まだ状況が読み込めない。そこで、矢萩ちゃんには説明を頼んだ。


 それより、人生でコクられたことのない私が女子にコクられているこの状況。現実、だよね?リア充を夢見すぎてアタマオカシクナッタカナ?


「あのさ、これって、友達としての好きってこと、でいい?」


恐る恐る、一応聞く。そうだよね、そうだと言って。


「ううん、私、本当に、晴海ちゃんのことが、、好き。」


いや、ゆっくり言われましても。


「もしかして、嫌がらせだったりする?」


「そんなわけないよ!本当に、好きなんですっ!」


「うん。分かったから、好きって反復しないで、恥ずかしい。」


そして、お互い俯いて、思いにふける。



 私が、拓真の元カノから告白?なんで?ちょっとよくわかんない……………。というか、私、女子なんだけど。これって、あれ?百合ってやつ?こんなマンガみたいなことがあるの?それも、相手は憎いのに。な、んで、だろう……………?




「っていうか私、矢萩ちゃんのこと何も知らないし……………。そんなこと言われても、正直、困るんだけど………………?」


と言うと、ガーン、とオノマトペが付きそうなほど、ガッカリしたようで、


「だよね、ごめん。よく考えたら私もそう思った。だから、やっぱり、友達、から、で、お願い………………。」


そして、また自信なさげにうつむいたので、私はあたふたして取り直した。


「え、えっとね、友達からだったら全然、いいんだけど。うん、いいよ。」


「ほんと!?あ、あ、ありがとーっ!!!!!」


友達からにしよう、少し考えさせて、とお願いすると、涙目で手を握られた。


「あ!連絡先、交換しよ!」


矢萩ちゃんの流れに乗せられ、LINEを交換した。






 それから1ヶ月間、特に彼女とは何もなく、普通の友達として過ごしていた。 


 過ごすうちに、彼女の性格が分かってきた。例えばちゃんと掃除をするしっかりもの。紺ブレザーの中に着ているピンクセーターの可愛さ。明るさ。優しさ。声の純粋さ。みんなからの信頼度の高さ。


 それが分かっていく過程で付いていく思い。それは、






 “拓真は、この子でオトされたんだね。”

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