元カノにコクられました
拓真の元カノは、
朝の会が終わり、不意に矢萩ちゃんの方を見ると、彼女もこちらを見ていたようで、目が合うと、顔を赤くしてパッと逸らされた。……………ああ、彼女は私の後ろの拓真のことを見てたのか。当の拓真も、ボーッと矢萩ちゃんの方を見ていた。この2人って、まだ好き同士だったりする?まさか、ね。
矢萩ちゃんは、メガネにおさげという100%文系女子。目に力がなく、いつも自分に自信がなさそうだが、友達はたくさんいて、男子にも好かれている。私とは正反対だ。拓真と話しているときはとても楽しそうで、仲睦まじくて……………
私の、憎い相手だ。
そんなこんなで放課後。私が帰る準備をしていると、机の中で手に触れたのは1つの封筒。無地のピンクの封筒だが、何も書いてなくて、心当たりがない。なんだろう?貼ってあったハートのシールを慎重に剥がし、中を覗く。1枚の、便箋。そこに書かれていたのは。
『放課後、教室に残っててください。 矢萩彩花』
それには、呼び出し文みたいなのが書いてあったが、宛名がなかったので、私は思った。
「………………後ろの席と間違えたのかな?」
そうだ、絶対そうに違いない。…………ってあれ?拓真、もう帰っちゃった?相変わらず帰るの、早っ!
じゃあ、しょうがないか、矢萩ちゃんに言っておこ………って、矢萩ちゃんもカバンを教室に残したままいないし!…………まあ、私、特に用事ないから、待ってようかな。
10分後、教室から人が出ていき、とうとう私と、矢萩ちゃんのカバンだけ残った。なにしてんだろ…………?そう考えたとき、廊下から足音が聞こえた。それは、うちの教室の前で止まる。顔をあげると、緊張した面持ちの矢萩ちゃんが立っていた。
「あ、ごめん、矢萩ちゃん。これ、私の席に入ってたんだけど、拓真に渡すやつだよね?だから、拓真に渡そうと思ったんだけど、逃しちゃった。本当ごめん。」
謝りながら、矢萩ちゃんに手紙を差し出すが、彼女は、私を見つめたまま手紙を受け取らない。ちなみに、私と彼女が話したの初めて。
「……………違うよ。」
「え?」
「私、ちゃんと小村晴海ちゃんに向けて手紙を書いたの。」
「はい?」
「突然でごめん、驚くかもしれないけど……………私、あなたのことが好きです。」
「え?」
「私と、付き合ってくださいっ!」
「…………………………ええええええええぇええええぇ!!!」
これが、波乱の始まりだった。
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