大嫌いな元好きな人の元カノにコクられました

のか

大嫌いな元好きな人


 「おー!由美夏ちゃん、またクラス一緒になれたね!よろしくねー!」


中学3年、新学期。クラス替えの紙を見ながら校舎の前でたむろっている生徒がたくさん。私、小村晴海こむらはるみはそれをかき分けかき分け、やっと前にいた、千葉由美夏ちばゆみかと肩を並べる。


「おはよう晴海ちゃん。よろしくね。」


腰まである長い髪を無造作にひとつ縛りにした、私より背の低い由美夏。あまり表情を変えない、少しミステリアスな女の子。そして彼女は何も言わずに校舎に入っていった。


 私も入ろうと校舎に向かうと、ガラスに私が映っていて、反射的に見てしまう。ポニーテールが崩れてないか確認し、前髪をすく。すると、ガラスに映ったうしろに“彼”の姿が見えて驚き、逃げるようにそそくさ校舎に入った。


 大嫌いな、アイツ……………………。




 「あ!!由美夏ちゃん、席、隣だー。よろしくー!」


教室に入って席を確認すると、由美夏と仲良く真ん中の列の1番前の席になった。座って勉強していた由美夏はゆっくり顔をあげて、「最悪だね」と呟いた。


「え………」


「あ、違う違う。この席、先生の真ん前で最悪だねって。」


「ああ、そうだね………………。」


でも、校舎前でクラス表を見たときに、これからもっと最悪なことが起こることを私は知ってしまった。それは……………。


「おはよー。」


来た。間延びした声で私の後ろの席に座ったのは、大嫌いなアイツ。


 佐藤拓真さとうたくま


 1年前は、私の中での“好きな人”という定義があった人でもある。でも彼には彼女ができた。だから、私は潔く身を引いたのである。 


 それまでは、私と彼は普通に仲が良かった。だが、彼女ができてから私が話しかけないようにしているのに、彼は私に彼女を見せつけるようにイチャイチャしていた。ほんとに、わざと。腹立つくらい。“小村さん、彼氏できないのw?”みたいな感じで。


 それからは反比例して嫌い方向に針が向いた。それに、人のことをバカにするし、蹴ってくるし、それはもう最低な人だと分かったので、付き合わなくてよかったと今では思っている。








 でも、その彼女とは、冬休み中に自然消滅したらしい。


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