第20話 作戦会議

次の日の午前中、日沖探偵事務所のメンバーは、今後の方針を決めるため、全員事務所に集まった。


社長の日沖は、メンバーが全員揃ったのを見て、すぐに話を始めた。


「すでに皆も知っていると思うが、近日中に闇カジノに手入れがある。我々はそれまでに何としても柵木重則を闇カジノから遠ざけなくてはならない。そこで皆の意見を聞きたい。我々はどうやって彼を闇カジノから遠ざけたらいいと思う?」


「素直に現状を話したらいいと思います」


冨田が手を挙げて答えた。


それに対し、上井がすぐに反論した。


「それであいつは納得すると思うか? 自分の運命を確かめるため、闇カジノにまで行った人間だぞ? 例え今回、素直に話を聞いたとしても、あいつは納得していないから、また同じことをする。それは止めさせたい」


「とりあえず、何とかしないといけないから、今は強制的に引き離してもいいんじゃないですか? その問題は、あとから考えましょうよ」


中里理栄が優先順位をつけるよう言ってきた。


「理栄の意見が一番手っ取り早い方法だと言うことは、俺も認める。だが、その前に何とか彼が納得する解決方法を考えて欲しいんだ」


上井は再び自分の意見を述べた。


「上井さん。なぜ、そんなに彼に入れ込むんですか?」


理栄が聞いて来た。


「あいつが、すごく真面目でいい奴だからだよ。ただ、その真面目さが行きすぎて、今ちょっとこんな風になっているだけなんだ。そんな奴だから、俺はなるべくあいつが納得する形で救ってやりたいんだ」


「あー」


突然、早希が声をあげた。


「どうした、早希?」


上井がたずねた。


「私、いい方法、思いついちゃったかも。これなら悩みは解決しないけど、解消させることはできるわ」


「それって、どんな方法なんだ?」


「愛の力は無限大作戦」


上井の質問に、早希は自信満々な表情を作り言った。

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