幕間 手紙

「……よし、映ってるかな……」

ゴソゴソという音をマイクが拾う。

「あー、聞こえてる?……俺だよ、姉さん。」

イタズラっぽく笑う、見慣れた顔。

「急にいなくなって……心配してると思う。」

「実は……この街を出ることになった。もちろん一時的だけど……半年はそっちに戻れない。」

「でもこれは……姉さんと、この街を守るためなんだ。詳しくは言えないけど」

「あの時の恩の……少しでも足しにしてくれ。」

「これで最後かもしれないけど……言わせてくれ」


「ありがとう、姉さん」


映像はここで途切れた。

姉さん、と呼ばれた女。レッドラムは、今日も店に来る客を迎え、誰かの帰りを待っている。

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