Tale of kitty
めあやん
ep1 始まり
アドナイにたどり着くためには、この狂った街のすべての情報を洗わなければならない。キティは、奴につながる情報を得るため、町の情報屋「イルミカ」の乱雑な部屋を訪ねていた。
「・・・やあ、よく来たね。なにがほしい?」
夏だというのに分厚いジャケットを羽織った彼は、人当たりのよさそうな声で言った。
「アドナイについてだ。」
キティはぶっきらぼうに、慣れたように答える。
「君も飽きないね。どこまで追い詰めるつもりなんだい?」
「無駄話はいい。新しい情報は?」
「おーおー、相変わらず手厳しい。奴の情報なら・・・新しいのが一つある。」
キティの表情が変わり、机に手を置いてイルミカに詰め寄る。
「だが・・・残念ながら今回は教えられない。」
「どういうことだ?金ならいくらでも・・・」
持ってきていたケースを机に置くが、イルミカはそれを押し返す。そしてその上に住所の書かれた紙を置いて、
「少しばかり厄介な状況でね。どうしても知りたければ・・・実力行使しかない。」
と、不敵に笑って見せた。
「君には一度、この街を出てもらう。名前も、素性もすべて変えてもらおう。
そして、ある団体を壊滅させてほしい。」
椅子から立ち上がったイルミカは、また笑った。
「アンタの頼みなら仕方ない。」
「よし、交渉成立。ならこの情報代は、向こうでの滞在費にするといい。」
というと、イルミカは手早く準備を始める。
武器はすべて現地調達、援軍は無しの殲滅作戦。ヨーロッパ南部の街を牛耳るギャングが、アジアへの足としてルフトゥーンを抑えるつもりで、攻撃に備えている。
今叩かないとルフトゥーン、特にイルミカの身に危険が降りかかる。だがギャングを一人で相手にするような度胸のある奴がなかなか名乗りを上げず、困っていた・・・
長ったらしいブリーフィングは、1分でまとめられる内容を2時間かけて説明した。
「さて、君には新しい身分をあげなきゃな。」
そういって、イルミカはパスポートをキティに手渡した。
「よろしく頼むよ、Martin Avery. ・・・マットと名乗るといい。」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます