こんなもんさ

@kankokunori

第1話

 僕の名前は田中太郎。どこにでもいる苗字、学校のプリントとかで出てくる男の平凡な名前。見た目も地味。陰キャオタクみたいな見た目はしてないけど、かといって陽キャみたいなわけでもない、友達数人ってわけではないけど、めちゃめちゃいるわけでもない。THE・平凡な見た目、性格ってよく言われる。

 そんなつまらない僕だけど、人並みの欲求はある。美味しいもの食べたいとか趣味に没頭したいとか色々あるけど、1番は恋愛だ。性欲といってもいいかもしれない。目的のためにはなんでもやる覚悟だった。髪色変えたり服装気にしたりして、イメチェンとかしまくった。サークル紹介の時はヤリサーないかと血眼で探しまくった。結局そんなのなかったけど人数多いサークルに取り敢えず入って色々やった。サークルの活動について女の子とも話しまくった。

 その結果は、やっぱりこんなもんかってもんだった。女の子とは仲良くなって一緒に帰ることもあったけど、めっちゃ仲良い男友達感がすごかった。遠回しに聞いてもやっぱそんなもんらしくて、なんとか脱却しようとして、LINEして遊び行ったりしたけど無理だった。

 大学入ったやつ全員が全員成功するわけない。そんな大学あったら教えてみろ、てかぜひ入れてください。そんなの高校の時にもうわかってた。けど、そんなことない!、俺は変われる!、今は特別!そんなことばっか頭に浮かんでた。現実は努力とかじゃなくて、運で決まるってことをすっかり忘れてた。

 自分は特別でもなんでもなく、平凡なんだってことを理解するのに一年かかっちゃった。そっからコロナでさらに一年たっちゃって、風のように憧れてた大学生活が過ぎていく。青春って言える時間はあと僅か。平凡ってことを自覚して、残りの二年、就活とかあるから一年ぐらいをちょっと大切に過ごしていこうかな。平凡を自覚してね。

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