第44話【紫雲という名づけられた少女】
ーーーーーーーその頃、城の外ではーーーーーーーー
真っ白な霧の中、あちこちからクナイやら手裏剣が飛んで来る。この霧は
そんな中、耳元で、ブーンという音がし、
・・・これは・・・?
はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・
息を切らし、
【
「・・・お前、弱すぎて話にならない。何が、
とうとう、
【
「これで、終わりだよ・・・。安心しろ、お前の弟も時期に、お前に行くところに行くことになる・・・。」
しかし、
【
「それは、どうかな?・・・」
【
「・・・やれやれ、馬鹿の一つ覚えだな。木刀一本で立ち向かって来るとは・・・。お前、大した忍術も使えないんだろう?そんなんじゃ、忍びとしては、クズなんだ・・・。」
《キャーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!》
霧の中から少女の悲鳴が聞こえる。
【
「・・・よし!」
【
「おらぁ!くらえぇーい!
【
「今だぁーー!
【
「おうよ!」
【
「一体・・・何が、どうなっているんだ?」
霧が晴れる・・・。見れば、近くで一人のクノイチ、
【
「
見ての通り、俺達は、まだ大した忍術は使えねぇー。お前等みてぇーに、
んだからな、最初からお前達相手に俺一人で戦うわけねぇーだろが・・・。
一平も一緒に戦っていたんだ・・・。この濃い霧に乗じて、一平はこの辺りに糸を飛ばしていた。俺がほとんど同じ場所にいたのは、この濃い霧で動けなかったんじゃねぇー。動かなかったんだ。この霧じゃ、お互いの場所なんて分かりやしねぇー。動いた先であいつの投げる糸に引っ掛かっちまうってこともあり得た・・・。
それと、もう一つ・・・。
さっき、耳元をブンブンと、何が飛んでるのかと思えば、季節外れの蜂だったぜ・・・。 俺は、そこにいるクノイチが
だから、じっとこいつらの糸にお前ら虫がかかるのを待ってたんだ・・・。」
「良いこと教えてやるよ・・・。忍
ると、
【
「
【
「さぁ、もう、観念するこったな・・・。弟は、返してもらう・・・。」
しかし、
【
「ふっ。バカだね。これで本当に僕を捕らえたつもりか?」
【
「くっそ、こいつ。なんちゅーバカ力してやがるんだ。」
ホタルも必死に糸を掴み、引っ張る。細くて頑丈な糸はホタルの手に食い込み血が滲む・・・。
【
「バカはテメェーだ!それ以上抵抗すると、死ぬぞ!!」
なんとか糸から抜け出そうとする
【
「・・・動くな・・・。」
【
「・・・
【ネネ】
「皆、お待たせ!」
【
「いやぁ~助かったぜ、ネネ!ありがとよ!さっすがオイラの・・・。オイラの・・・えぇっと・・・。」
一平は顔を赤くして口ごもる。そんな一平を
【
「何、自分で言って、照れてんだよ。」
【
「いやぁー。へへへへ。」
一平は、照れ臭そうに頭をかく。すると、泡沫は、厳しい口調で言った。
【
「お前ら、敵を前にして隙をを見せるな。とっとと、こいつら縛りやがれ!」
その言葉に、びぐっとした4人は、急いで
【
「ホタル・・・。手、見せて見ろ。」
【ホタル】
「・・・大丈夫よ。大した怪我じゃないわ。」
ホタルはそう言ったが、
【ホタル】
「ありがとう・・・。
すると、それを見ていた一平がピューと口笛を鳴らす。
【一平】
「お熱いことで、何よりですなぁ~。」
一平はニヤニヤと笑みを浮かべて2人を見る。
【
「うっせぇーな。」
一難去ったとホッとしたのか、一同はいつものように軽口を叩きあう。するとそんな中、縛られたクノイチは、今にも消えそうな声で言った・・・。
・・・アタイを殺しなよ・・・
一瞬にして、その場の空気が変わり、その場にいた全員がそのクノイチを見た。
少女は、物心つく前にこの伊賀の城へと連れて来られ、来る日も来る日も忍術という名の暗殺術を叩き込まれ、7才の時に初めて人を殺した・・・。
年をとった老夫婦だった・・・。老夫婦が営んできた茶屋に、敵国の忍びや侍がよく立ち寄っていたことが上に知られていたそうだ。老夫婦は、その客達が敵国の者だと知らずに入れていたそうだったが、上はそれを信じず幼い少女と少年にその老夫婦を殺すようにと命令した。
少女と少年は、両親に捨てられた孤児を装って、近づいた。老夫婦は、二人を引き取るお、2才年上の少年には、八雲(やくも、)そして、少女には
しかし、ある日、
黒いアゲハチョウが、老夫婦の亡骸の回りをヒラヒラと、美しく舞う・・・。
遺体となった二人の老夫婦を前に、少年はただその二人を見下ろしていた。しかし少女は、心に大きな傷を作り、ずっと泣き続けたそうだ・・・。
その後、少女は多くの人を殺してきた。
そして、もう、疲れてしまった・・・。
【
「アタイを・・・殺しなよ・・・。情けは、いらない・・・。」
その場に静寂が落ちる・・・。なぜ自分達とさほど年齢が変わらないであろうこのクノイチの少女が、そんな残酷なことを言うのか・・・。
・・・しかし・・・
・・・おいっ!そう呼ばれ、
【
「・・・殺せとか・・・。そんなこと悲しいこと言うなよ。・・・だってお前まだ生きてるんだから・・・。」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます