第43話【弟の泣き声】
ーーーーーーーその頃、
しかしそれでも、ここ
弟が生まれてから暫くは、家族4人、本当に幸せな時間を過したのだという。しかし、そんな幸せも長くは続かなかった。両親は
そんな時、
だが・・・。ワタシの情報を引き出そうとするためだけに、赤ん坊を人質に取るだろうか・・・。
そんなことを思いながら、屋敷の中を詮索して行く・・・
はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・
【
「はぁ・・・ やれやれ、はぁ・・・ なんて広い屋敷なんだ。」
【
「・・・にぃちゃん。大丈夫か?」
【
「・・・うん。大丈夫だよ。
【
「うん。父ちゃんも母ちゃんも優しいんだ。二人は、どんな敵にも、情けをかけなかったことはないし、女の人や子供には、絶対に手を出さなかった。戦わないで解決できることなら、必ずそうしたし、いつもそうであって欲しいって願ってた。皆には、お前の両親は伊賀の恥だって言われるけど、俺はそうは思わない。父ちゃんも、母ちゃんも優しくて強い、俺の誇りだ。」
連雨は自慢気に言う。
【
「・・・そうか。お前のご両親は、良いご両親なんだな。」
時雨がそう言うと、
しかし、幸運なことと言うべきか、不思議なとこに屋敷の中はまるで人がいる気配がしなかった。
そして、人の気配のしない屋敷の中をどんどん進んで行くと、オギャーオギャーと赤ん坊の泣く声が聞こえた。
【
「にぃちゃん!俺の弟かも知れない!上の階から聞こえた!」
【
「よし、分かった!」
・・・血の臭い・・・
階段を登るとそこに広がるのは、二人の忍の亡骸と、その二人の忍が守るようにして抱かれた赤ん坊の姿だった。そして、その亡骸の前には、血に染まった刀を持つ
【
「父ちゃん!!!母ちゃん!!!」
【
「ダメだ!
【
「そんな・・・。」
時雨は、
うああああああああああああああああぁああああああああぁああああああああああああああああああああぁああああああ!!!!!!
連雨は部屋が震えるほど、泣き叫んだ。しかし、そんな連雨嘲笑うかのように目の前の忍びは、言う。
【
「・・・やれやれ、まったく忍が敵を前にして、感情を出すなんてな・・・。お前も・・・そして、お前の親クソだ。忍として生きる価値もない・・・。ゴミは処分するのが、普通だろう?入らないものをいつまでとっておいても、部屋は汚れるだけだしなな・・・。」
【
「ふざけんな!」
【
「良いか・・・。
時雨は、部屋中に響き渡るような大声を上げて、そう叫んだ。しかし、師走は表情1つ変えずに言う。
【
「ふ・・・心を持たない?・・・では、逆に聞くが、心を持たなければならない理由はなんだ?心、情、優しさなんてのは、忍をダメにする。」
すると、
ああああああああぁぁああああああああああああぁああああああぁああああ!!!!うああああああぁああああああああ!!
【
「
時雨は叫んだ・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
一瞬の出来事だった。我にかえると自分の目の前にあったのは、今の今まで自分を守ってくれていた少年の背中だった。自分の手に自分を守ってくれた人の真っ赤な血が、クナイをつたって自分の手に落ちてくる。
自分が
・・・
・・・オギャー・・・オギャー・・・オギャー・・・
赤ん坊の泣き声が響き渡った・・・。
苦しげに顔を歪める
・・・グハッ・・・
口から、吐き出された赤黒い水・・・。血・・・。
【
「・・・・・・
死を恐れず、最期の最期まで、お前の弟を必死で守った、お前のご両親のように・・・。
二人が願っているのは、お前とお前の弟が笑っている未来だ・・・。お前には、心がある・・・。優しさもある・・・。お前の両親と同じように・・・。弟を守れ!!!
【時雨】
「お前の相手は、ワタシだ!!!!」
煙が消えるとそこには、すでに三人の姿は無かった。
その時、自分の太ももに針が刺さっていることに気づく。
騒ぎを聞き付けた、
【
「竜に選ばしモノを捕らえろ・・・。赤子とガキは殺せ・・・。」
しかし、その時だった。
ドッカーーーーーーーーーン!!!
大きな爆発音がする。何事だろうか・・・。城の外にいる忍び達は、海が抑えているはすだ・・・。すると、慌てた様子で一人の忍が入って来た。
【伊賀の忍】
「
なるほど・・・この部屋に来る前に、あの少年・・・爆弾を仕掛けていやがった。しかも、情報が全てと言われる忍びの国の他国機密情報庫を爆破するとは・・・。
【
「ふ・・・ふふふふ。なるほど・・・。」
【
「流石は龍に選ばれし者ということか・・・。だが、あの体で・・・しかも二人のガキを庇いながら、逃げられまい・・・。」
師走は楽しげに笑った。
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