第42話【 もう一人の時雨 】
伊賀城近くに、
それは、
しかし、本人さえ知らない事実をコイツらに話すわけにはいかない・・・。
ましてや、双子の兄と弟が逆だったなんて、本人達が知ったら、一体どうなるだろうか・・・。
どんなに
自分がもし、兄ではないという事実を知ったら・・・
そして、
・・・しかし・・・
竜に選ばれモノとして重い宿命を背負ったことにより、無理矢理、双子は後に生まれた方を兄とするという、東の里の伝統をねじ曲げられ、弟として生きていかなくてはならなくなった・・・。しかも、それをやったのが実の父親っていうな・・・。
あいつは、
知らない方が良いこともある・・・。そういうことか・・・。
それに・・・時雨の体が弱い理由なんて聞いたら、コイツらが心配するに決まっている・・・。時雨なら、体が弱い理由は絶対にコイツらに話さないだろう・・・。
・・・だが、
・・・だが、まだ知らなくて良い、知ったところで、どうにもならないのだ・・・。予言とはそういうモノ・・・。なら、その時まで知らなくて良い・・・。
・・・しかし、時雨は今は
結果として、
そして、その力によって動物と会話ができたり、髪の色や目の色が違っていること、また、時として人知を越えて力を発揮することを話した。
そして、そのことはごく一部の人間しか知らないということを話した。
【
「
【ホタル】
「
その場に、静寂が落ちる。しかし、その静寂は、一瞬で終わった。
【ホタル】
「
【
「・・・。このことは、誰にも言うなよ?俺の首が飛ぶ・・・。」
泡沫の言葉に、その場にいた全員が、頷いた。
一匹のカラスが飛んで来て、
【
「小波が、
小波は、空高く舞い上がり、
そこは、深い森の中に突如として現れた巨大な城の周りにひいくつもの屋敷が立ち並び、その周りは高い壁が取り囲まれ、そのさらに外側を深い堀で囲まれていた。
【
「伊賀の国の回りがこんな深い堀で囲まれているとは思わなかったな。さて、
【ホタル】
「え、ええ。本当だわ。
【
「ふふふ、まぁまぁ、下がっていたまえ。東の住人供よ。」
【
「なんだと、てめぇ。」
怒こる
【
「まぁ、見てろよ。なぁ、ネネ。」
そういって、
【
「糸?そんなものをどうするつもりなんだよ?」
【
「ただの糸じゃねぇぜ。オイラ達、特性の見えない糸だ。しかもかなり丈夫たぜ。」
【ホタル】
「見えない糸?」
【
「そうさ。この糸は太陽の光を浴びると光に混じって人の目には見えないのさ。よし、小波、悪いがこれを堀を越えてある木にくくりつけて来てくれ。」
【カラス】
「カァー!」
小波はそ一声鳴くと、糸の端を加えた。
そんな時だった。近くの茂みから人の気配がした。
【
「そこにいるのは、分かっている。出てこい。」
【
「やれやれ、死ぬところだったよ。
一同、騒然となる・・・。
【ホタル】
「えっ・・・?」
【ネネ】
「
【
「
【ネネ】
「
【
「何してやがるんだ!
【ホタル】
「二人とも、あの人は
二人は、目を丸くする。すると、
【
「何故、分かったんだい・・・?」
すると、
【
「バーカ。お前、可愛げがねぇんだよ。双子でもなぁ、俺は兄貴なんでな・・・。そんでもって、あいつはお前と違って、礼儀正しい性格してんだよ・・・。あいつが、俺のこと、
【
「なるほど、呼び方までは、情報がなかったな・・・。だが、あいつが、可愛い・・・?あの化け物が・・・?お前達も見ただろう?あの男の真の姿を・・・。」
氷雨は、ふっと笑う・・・。
【
「何とでも言いやがれ。だが、お前達がなんと言おうと、あいつはただの心優しい家族思いの可愛い弟だ!」
ふぅーんと目の前の
【
「悪いがここで全員死んでもらう。だが、その前に東の国がどこにあるのか、教えてもらおう。」
【
「こいつの相手は俺がする。今、師匠は堀の周囲の調査に行ってて暫くは帰って来ない。ネネ、お前は、師匠を呼びに行ってくれ。ホタルは
【ホタル】
「でも、、、。
ホタルの心配をよそに
【
「大丈夫だ、ホタル。弟が一人で見知らぬ敵国の中で戦ってるのに、俺がこいつから目を背ける分けにはいかねぇ。それに、将来東の国の長になり、皆を守っていく男が、敵を前にして逃げるわけにはいかねぇーんだよ。」
ホタルは、
【
「大丈夫だ。ホタル、あいつはバカでどうしようもねぇーやつだけど、根性だけはあるからよ。」
ホタルは、頷くと
ホタルの結界は本当に綺麗な光を放つ。そうネネは思った。その結界の輝きはまるで、蛍の光のようだった。
【ネネ】
「それじゃあ、
ネネは、
【
「あぁ。頼む。」
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