【第8章】伊賀の国~時雨の隠された力~
第35話【・・・声・・・】
【
「このオニギリを、作られた方は、
【
「・・・。優しくあたたかい・・・ですか?」
【
「・・・はい。この方は、きっと
【
「・・・慕う?・・・ですか・・・。」
ハァ・・・。ハァ・・・。息が切れる。この感覚は今まで幾度となくあじわって来た・・・。しまった・・・。このままでは・・・。頭が締め付けられるように痛む・・・。目の前にいる、
【
「
・・・バタンッ・・・
完全に自分の体を支えられなくなった
起きなくては・・・。
嵐吹き荒れる中、扉を何かが叩く音がしてホタルは目を目をさます。カァー!!!カァー!!!
扉の外には
【ホタル】
「
隣で寝ていたネネも、騒ぎに気づいて起き上がる。
【ネネ】
「・・・ホタルちゃん、どうしたの?」
【ホタル】
「
カァー!!!カァー!!!カァー!!!カァー!!!!!!
【ホタル】
「きっと二人に何か、あったんだわ!」
【ネネ】
「えっ!!!待ってて!アタシ、
ネネは、
【
「
【
「一体、二人は今どこにいるんだ・・・。」
ホタル懐から、一枚の札を出しそこに
【ホタル】
「・・・
ホタルは手の中の粉々になった札をふぅ~と吹く。するとそのバラバラになった札はまるで蛍のような小さな黄色い光を放ち、嵐の中を飛び立った。
【ホタル】
「
【ホタル】
「そう、分かったわ・・・。」
ホタルは、そう言うと皆の方を見て言う。
【ホタル】
「・・・今、螢火の術を使ったわ・・・。あの黄色い光の方向に
【
「よし!出発だ!」
4人と1匹は夜の嵐の中に飛び出した。真っ暗な森の中をひたすら黄色い光を追って走る。風が横に上に自分達を襲う。地面はぐちゃぐちゃで、今にも足をとられそうだった。
【ホタル】
「皆!大丈夫!?」
・・・・・・と、その時だった。
【
「ホタル!危ないっ!!!!!」
見れば、嵐の暴風によって折られた木がホタル目掛けて、すごい速度で落ちてきたのだ。
【
「くっ・・・・・・。」
【ホタル】
「
ホタルが心配そうに
【
「お、おぅ・・・。大丈夫だ。礼はいらねぇー。急ごう。
・・・ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・
熱にうなされて、夢なのか・・・現実なのか・・・分からない・・・。真っ暗な森の中をただ、何人もの人間がひたすら走っている・・・。
彼等は、誰かを探しているのだろうか・・・?
誰かの名前を叫んでいる。誰だろう・・・?
どんどん近づいて来る・・・。
・・・・・・れ!!・・・・・ぐれ!!しぐれ・・・しぐれ!!・・・
・・・あれ?名前・・・呼ばれてるのか?
・・・兄上・・・ホタル・・・
・・・
・・・起きるのだ・・・
・・・だれの声だ?・・・
一人だけ、分からない・・・。この太くて低い、この声は一体? ワタシは誰に呼ばれたんだ・・・?
目を開ける。そこには、ホタルと
【
「二人とも・・・。なぜ、ここに・・・?」
虚ろな眼差しで二人を見つめる。
【ホタル】
「良かった・・・。
すると、近くにいた
【
「ごめんなさい。わたくしのせいで、こんなことになってしまって・・・。」
姫は、丁寧に頭を下げた。息が切れて重い体に力を入れる。ぐらぐらと揺れる視界の中、頭をゆっくりと動かして姫様の方を向く。
【
「はぁ・・・はぁ・・・姫様・・・。謝らないで・・・ください。謝らなくてはならないのは、ワタシです。申し訳ございません。少し・・・。城に着くのが遅くなってしまいます・・・。」
【
「良いのです。どうか、
【
「そういうわけには・・・。」
こんなところで・・・。意識を保たなくては・・・。
【ホタル】
「
ホタルは、大きな葉に乗せた薬をワタシに飲ませる。その薬を飲み終わると、必死に保っていた意識がどんどん闇へと引き戻されてしまう。
・・・大丈夫よ・・・
意識が再び闇に落ちる瞬間、ホタル声が聞こえた気がした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます