第30話【白い雨と共に生まれた子】
それから、
貧困の村では、骨と皮だけになった人々が食料を求め徘徊し、戦の跡地では侍や馬の死体から出た血が大地を真っ赤に染めあげ、まるで地獄絵図のような光景。今まで自分達とは無縁だった光景。この時、初めて
一週間後、各地の戦争孤児や、貧困の村で身寄りのない子供を3人連れて東の村へと帰り着く。その後、
五人は、暗い気持ちのまま東本家へ戻ったのだった。そして、、、。
【赤子】
「オギャー!オギャー!」
【
「よし、よし、、、。ほらほら、いい子でしょう?お兄ちゃん達が帰って来ましたよ。」
居間で
【
「・・・母上?その赤ん坊は?」
【
「あなた達の弟よ。名前、、、まだ決めてないの。二人とも考えてくれない?」
【
「名前・・・。」
【ホタル】
「かわいいー!白くて、まるで雪の結晶のように綺麗な赤ちゃん!」
【
「・・・お、俺は、名付けのセンスないから、
【
「ワタシ・・・かぁ。そうだなぁ・・・。」
赤ん坊は、真っ白な髪と肌をしており、時おり開かれる目は青く透き通るトンボ玉のような目をしていた。家の外を見れば、天泣竜が祝福してくれるのか、美しい白い雨が降っている。
【
「
【
「それじゃあ、
【
「よかったじゃねぇーか。
ニカっと笑った
【ネネ】
「まぁ、でも、
【
「それ、どういう意味だよー。」
【
「あははは。でも・・・まさか、ワタシが兄になる日が来るとは、思ってもいなかった。生まれて来てくれてありがとう。
【ホタル】
「それにしても、
ホタルは、
【
「でも、
【ホタル】
「
【
「なんだよ、それ、俺はどうなんだよ?」
【ホタル】
「も、もちろん、
慌ててホタルは、付け加える。
【
「あ、ありがとうホタル・・・。ははは。」
【
「・・・抱いてみる?」
【
「・・・生きてる。ワタシの弟が・・・生きてる。」
村に帰って来て3日目の夜明け前、
【
「・・・弟を寝かしつけてるのか?お前は、本当に、面倒見がいいな。」
明け方、大月山の方から涼しい風邪が吹く。
【
「・・・師匠、ワタシ達が見てきた外の世界は、この里の未来なのでしょうか・・・?
【
「お前達を連れて約一ヶ月。俺は、お前達にこの世の地獄というモノを教えたつもりだ。生きていくというのは、辛く、険しいものだ・・・。生き残るため、仲間、家族を守るために時には、時には、人を殺さなくてはならないこともある・・・。」
しかし、その迷いのある目というのも、あからさまなものではなく、どこか違和感があるといった程度のモノだったため、
【
「師匠・・・。ワタシは、この里の家族を守りたい。しかし、ワタシは誰かを守るために誰かを殺すのは、間違っていると思うのです・・・。師匠だって、分かっているのでしょう・・・?」
長い沈黙。自分の腕の中で弟が動くのを感じる。
【
「ワタシは・・・誰よりも強い忍びになりたい。この里を守るため。この里の家族を守るために。」
朝日が昇り始める。
【
「もう一度、試験を受けさせてください。」
雲一つない空に太陽の光がさし。東の里は今日もまた、朝を迎えるのだった。
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