第28話【足りないモノ】
【
「これから、試験を始める・・・。喜べ。この試験を合格すれば、晴れて忍術を教えてやる。試験を始めるにあたって、それぞれなぜ、忍びなろうと思うのか・・・答えてもらおう。」
【
「オレは、太古から東の村と清流の村を守ってくれていた天泣様の力が弱った今、東の村と長となるオレがこの東の里を守る。そのために、オレは忍びになりたい。」
【
「同じく、東の長として、今後いつ大国から攻められるかも、分からないねぇー。そん時のために、まずオイラが誰よりも強くなるんだ。」
【ネネ】
「ア、アタシは、将来、東の里を守る
【ホタル】
「わ、私は、
前日までに考えていた言葉がすらすらと出て来ない。各々の声は、言葉が最後になるに連れて小さくなっていってしまう。そんな中、いつもと変わらない、人の良さそうな優しげな笑顔を浮かべ、又、いつもと同じ口調で
【
「ワタシは、皆が安心して暮らせるように、、、。里の家族がずっと、ずっと、幸せで暮らせるように・・・。そのためにワタシは忍びになります。」
【
「・・・なるほど、お前達の言い分は分かった。試験の内容は簡単。この木に的がついているだろう?この的にクナイでも、手裏剣でもなんでも良い。忍びが使う武器を何かしら一つ、当てられたら合格とする。俺は、お前達にこの的に攻撃させないように邪魔をするから、俺の邪魔をかわして的に一発ぶちこめ。ちなみに、出来なかったヤツは、ここで山を降りてもらうから、そのつもりでいろ。」
【
「制限時間は、明日の日の出まで。俺が邪魔なら、殺しても良いぞ?オレを村に攻めて来た敵だと思って殺す気で来い。武器や、罠なんでも使っていい。」
【
「そんなんで、俺から物を、奪えると思ってんのか?俺は、お前達と同じ歳くらいの時には、既に、甲賀の七忍州の一人に選ばれていた。死ぬ気でかかって来なければ、俺に傷一つつけられないぜ。」
【
「・・・ワタシ達は、今年で13才。13才で、上忍でしかも甲賀の7つある起動部隊の隊長に選ばれてたなんて、、、。でも、だからって、試験を合格するの諦める理由にはなりませんよ。」
そう言うと
・・・・・・朝日が大月山を照らしていく。その大月山に息を切らして倒れこむ少年少女が5人。あっという間に試験は終わった。涼しい顔をして立つ
【
「くっそ、、、、。まったく歯が立たない。」
【ネネ】
「力の差が、、、あり過ぎる。」
【
「くっ、、、。体が動かない、、、。」
【
「・・・言ったはずだぞ。俺を殺す気で来いと。死ぬ気でかかって来なきゃ傷一つつけられないと、、、。全員失格だ。本当なら、とっとと山を降りろと言いたいところだが、よく聞け。お前達は、忍びとして圧倒的に足りていないモノがある。これから、お前達に何が足りないか、それを見に行くとしよう。」
【
「・・・ワタシ達に足りないモノを見に行く?」
【
「そうだ。」
六月の暖かくもどこか冷たい雨が、その場に振りだした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます