第21話【初日の出の約束】
次の日のも登らぬ暗い元旦の明け方、
【
「師匠。ここにいたんですね!部屋まで行ったのですが、いなかったので、探しました。」
【
「師匠。おはよう!」
【
「・・・。こんな朝早く、俺に何かようか?」
【
「師匠。初日の出を見に行きませんか?」
【師匠】
「悪いな。俺は今、そんな気分じゃないんだ。」
【
「師匠の気が乗るのを待っていたら、日が昇っちゃいますよ。さあ、さあ。」
【
「お、おい・・・。」
【
「いいじゃん!師匠ほら、行こーぜ!ほらほら!」
【
「お、お前達!!あのなぁ・・・。」
【
「まぁ。まぁ。いいじゃないですか!師匠はこの村に来て、初めての正月ですよ!行きましょう!」
そう言われて、
【
「海、、、か、、、。」
それは、ずっと昔の記憶、、、。
あれは確か、俺がまだ6つの時だった。母さんは生まれたばっかの
【
「母さん、海って広いね!ずっとどこまでも、続いてるね!この海の先には何があるんだろう?きっと 俺が、ワクワクするものがいっぱいあるんだろうな・・・」
【
「ふふっ、そうね。きっと、
母さんは、嬉しそうに笑う。
【
「本当?そしたら、父さんもこの海の先にいるの?」
【
「そうねぇ・・・。あの人は、たとえこの海の先にいたとしても、きっとあなたは見つけられないと思うわ。ふふっ。だってあの人、本当に闇に忍ぶのが上手だから・・・。」
母さんは、遠くにある水平線を見つめながら言った。
【
「ねぇ、母さん、父さんってどんな人なの?俺は生まれてから、一度も父さんに会ったことが無いんだ。ねぇ、父さんって今どこで何してるの?」
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「ふふっ。そうねぇ・・・。自分で会って確かめなさい。いつか必ず会えるわ。」
【
「いつか、父さんに会えるの?」
【
「えぇ。母さんは、嘘をつかないわ。」
【
「いつか、家族四人でこの海に来て、今日みたいに初日の出見れる?」
【
「ええ。もちろんよ。」
【
「そしたら、俺は、父さんに会うその時まで、母さんと
【
「ええ。ありがとう
・・・
水平線に、太陽が上がる。冬の冷たい空気を暖める暖かい日の光が、三人を優しく包む。三人は、しばらくの間その場でその光に包まれていた。その数ヵ月後、母さんは里の忍びによって殺された。里を裏切ろうとする一人の忍びが、夜中こっそり里を抜けようとするのを母さんは止めた。しかし、止めようとして、結局、母さんはその忍びに殺されてしまった。死の間際母さんは、俺に言った・・・。
【
「
【
「母さん!何言ってるんだ!大丈夫。傷はそんなに深くない。医者に見せれば、絶対!」
俺の話が終わる前、母さんは俺の頬に触れた。
【
「かあ・・・さん・・・。」
【
「
母さんは、そのまま事切れた。母さん、
海へつくと、突然ふいに
【
「師匠・・・。もうすぐ、日が昇りますよ。」
【
「へへへっ。ここからの日の出は、本当に綺麗なんだぜ。ちゃんと見ててよ。師匠。」
すると、目の前がパーと明るくなる。空が紺色から、鮮やかな紫へと変わりそして、美しいオレンジに輝く。水平線の彼方からゆっくり、ゆっくりと闇を切り開くように昇って来るそれは、この里に朝を伝えるため、暖かい光を灯す。
【
「やったあー!初日の出だぜ!」
【
「綺麗でしょう?師匠!この里の初日の出は・・・。」
【
「あぁ・・・。そうだな。」
【
「師匠。」
【
「・・・なんだ?」
【
「これから、毎年、こうしてワタシ達と一緒に初日の出、見ましょうね!」
母さん・・・
予言の巻物・・・。何が書いてあるか全て分かったわけじゃない。しかし、唯一分かったこと、それは、こいつらが、17才になった時この東の里に災いが訪れるということ・・・。その災いがなんなのかは、まだ、分からない。疫病か、飢饉か・・・それとも戦に巻き込まれるか・・・何にしろ、今のこの混沌とした時代に訪れる災いが、笑ってすませられるような優しいものなはずがない。恐らく、死者がたくさん出ることになるだろう・・・。
いや・・・ そうじゃないな・・・
今度こそは、必ず・・・
三人は、太陽が登り、村を照らしていくのをいつまでもいつまでも眺めていた。
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