第7話【清流の村】
【
「兄上、ホタルーー!!!」
狼が
【
「とっとと、立ち去れ。」
その後、森を急ぎ足で抜ける頃には、夜が明け初めていた。村人も荷物を守る動物もへとへとに疲れている。しかし、本流の村に戻るには、まだまだかなりあった。
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「皆、疲れきっている。この先は確か、
【ホタル】
「
【
「うん。
【
「・・・、あぁ。」
【
「ホタル、もう少しだから、頑張ってね。」
【ホタル】
「はい・・・。」
ホタルは落ちてくる
【小波】
「カァー」
小波も眠たそうに、力無く鳴く。
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「よしよし、
【
「そうか、そうか。でも、もし眠くなったら、遠慮なく寝ていいよ。」
カラスは、カァーと鳴いて答える。
それから、
【ホタル】
「怪我の状態を見ますから、怪我をした人は、私の所にいらっしゃってください。」
ホタルは、持ってきていた薬草を取り出し、狼に襲って来た際に、足を捻挫した人や、転んで擦りむいた人などの手当てをした。その間、
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「そうか。狼の神が、襲って来たか。やれやれ、世も末だな。何はともあれ、無事で良かった。」
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「すみません、暫くお世話になります。」
【
「
【
「ありがとうございます。それと、
【
「ん?なんだ?」
【
「気術・・・についてです。」
【
「・・・、。誰に聞いたんだ?」
空気が変わった。ピリッとはりつめた空気。いつも、陽気で人懐っこい笑顔を向ける
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「まぁ、いいさ。どうせ、上住さんが変なことを吹き込んだんだろう。気術については、俺が勝手に語れるもんじゃねぇ。五月雨と相談をして言うか決める。だから、それまで、待っていてくれ。」
そう言うと、
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「・・・二人とも、悪かった。ごめん。オレがあの道を選択したがばっかりに、皆を危険な目に合わせちまった。俺がいるから大丈夫といっておきながら、俺は・・・。」
ホタルが狼に襲われた時、一体オレは、何をしようとした?狼の前に
【
「あの時、
涙が
【
「泣いてはダメだ。」
【
「え?」
【
「泣いては、ダメだ。兄上。上に立つ者は、決して涙を見せては、ダメだ。悔しいことも、辛いことも、自分のことが嫌で嫌で許せなくなることだってあるだろう。だけど、上に立つ者は決してその弱さを周りに見せてはいけない。さもないと、周りにいる皆が、道に迷ってしまう。不安になってしまう。だから、上に立つ者は意地張ってでも、背伸びしてでも、自分が迷ってる姿なんて、見せちゃいけない。大丈夫。兄上が道に迷うことがあれば、ワタシや、ホタルが兄上を助けるよ。兄上は、一人じゃない。ワタシに、ホタル、
【ホタル】
「
ホタルも笑う。
【
「二人とも・・・。ありがとう・・・。」
本当に悔しかった。弟に助けられて、諭されて、許嫁に気を使わせて、本当に自分は情けない男だ。だけど、
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「オレは、この先何があったとしても、お前達を必ず守り抜くと誓うよ。もう、二度と・・・涙を見せることはない。もう二度と、皆をこんな危険な目に合わせたりはしない!・・・この命に変えても、絶対に・・・。オレは、父ちゃんの後を継いで立派な雲海の名に恥じない男になる。」
【
「うん!兄上だったら、絶対大丈夫!」
【ホタル】
「・・・。」
それから、
あれから、どれくらいの時間が経っただろう。
【
「つ、冷た!!!!」
ビックリして、飛び起きたは良いが、目の前はまだぼんやりとしていてよく見えない。しかし、少しずつぼやけた世界がはっきりとしてくるにつれ、
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「はっはっはー!オイラは、この村の時期村長になる男、
【
「うわー!!!!!!」
【
「つっ、つめてぇー!な、何しやがる!!!」
【
「へへーんだ!他人の家で呑気に寝ているのが悪いんだよ!」
状況が飲み込めずその場でポカーンとする
【
「ふ、ふふふふふ。オレの名は、
【
「今さっき、聞いたようなセリフが・・・。」
【
「おい、お前、お前は何て言う名前なんだ!」
【
「ワ、ワタシもやるのか!」
【
「そうだ。さもなくば、もう一発、水鉄砲食らわせるぞ!」
【
「もー!・・・えーと、ワタシは!」
【
「
【
「なんだよ!そこは、最後まで言わせてくれよ。兄上。」
しかし、
【
「
【
「兄上、ワタシもう、ついて行けないよ。」
【
「何、言ってんだ!勝負する前から諦めて、どうする!勝敗ってのは、最後まで分からないものだ、弟よ。」
【
「いや、そう意味じゃないんだなぁ・・・。」
そこへ、タイミングよくホタルが部屋に現れた。
【ホタル】
「あっ、二人とも、起きた?」
【
「お前は、誰だ?」
【ホタル】
「あ、私は、本流の村から来た
【
「ホタルもノリノなんだ。」
【ホタル】
「二人とも、お風呂に入って来たら?銀様が、お風呂沸かして、着替えを用意してくれたの。昨日、森で
【
「おー、それは、ありがたい。」
【
「ふん!お前、シッペーとか言ったな?」
【
「まだ、やるんかい。」
【
「オイラの名前は、イッペーだ!」
【
「イッペーでもシッペーでも、どっちでも良い。とにかく、勝負は風呂から出てからだ!」
【
「おぅ!おいらん家の風呂はバカみたいに広いから、楽しいぜ!」
【
「おおお!本当か!
【
「もう本当に、ついて、いけないよーーーー!!!!!!!!!!!!!」
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