第5話【小波】
あれから四年。
どこからともなくカラスのうめき声が聞こえてくる。声のする方を振り向くと、4、五人くらいの子供達がカラスを棒でつついて、いじめていた。そこへ一人の少女が近づいてくる。
【ホタル】
「ちょっと、あなた達!弱いものいじめは、5よしなさい!可哀想よ!」
するといじめていた少女の一人が、機嫌悪そうに歩み出て言う。
【傘子】
「きたきた!どうもごきげんよう、お姫さまぁ。そんな口のききかたしていたら、お屋敷追い出されちゃいますわよ?」
【初子】
「こんな、気の強いじゃじゃ馬女が
【ホタル】
「じゃじゃ馬で、結構よ。それよりも、そのカラスを離しなさい。可愛そうだわ!」
【
「嫌だね。お前のじゃないだろう?ふん!お前なんか引っ込んでろよ!」
【ホタル】
「あなたのものでもないわ!」
ホタルは、掴んだ手に力を込める。
【
「な、何をするんだよー!お前、
【ホタル】
「私だって、許嫁になりたくてなったわけじゃないわ!ふん!えーーーーーーーーい!」
ホタルはさらに、掴んだ手に力を込める。
【
「やめろよ!お前!!イテテテテ!!!」
そこへ、道場から帰ってきたであろう
【
「な!何をしているんだ!」
【
「ホタル、大丈夫かぃ?」
【ホタル】
「えぇ。」
ホタルはニッコリと笑った。
【
「ホタル、喧嘩はよくないよ!君はいつか、兄上のお嫁さんになって、この村を守っていくんだろう?だったら、村の人達ともっと仲良くやっていく
【ホタル】
「
ホタルが言い終わる前に、
【
「ホタル。このカラス怪我をしているみたいだ。」
草影に隠れていたカラスがカァーと鳴く。
【ホタル】
「あっ!そうよ。そのカラスこたで、私、さっきの子達と喧嘩してたの。」
【
「そうか、さっきの子達にいじめられていたんだね。」
【ホタル】
「カラス君が言っているの?」
【
「うん。そうとう、痛いみたいだ。家に連れて行って、手当てをしてあげよう。ホタル、この子の怪我に効く薬をお願いしてもいいかい?」
【ホタル】
「はい。分かったわ。家に材料があるから、一度家に戻って、できたらすぐに本家に向かうわ。」
【
「すまないな。頼んだ」
そう言うと、ホタルと
【
「うわっ!何事だ!?一体!」
【
「あ!お帰り、兄上。こいつは
【
「飼うって、カラスをか?」
【
「あぁ。怪我してるんだ。それに、行くところもないみたいだから、ずっとここにいたいって言っててるんだ。」
【
「ここにいたいって、、、。でもなぁ、、、。」
【
「カァー!」
【
「カァー!ってお前、ここにいたら良い雄ガラスも見つからないぜ?ここは人間の住む家だ。」
【
「カァー!!!カァー!!!」
【
「兄上、
【
「イタタタタタ!!!!や、やめろ!!!」
【
「だ、大丈夫!?」
【
「あ、あぁ、、、大丈夫だ。」
【
「傷口が開くから、兄上を攻撃してはダメだよ。
【カラス】
「カァー!!!」
【
「カラスなのか!実の兄よりも、カラスなのか!
そこへ、ホタルがやって来て、氷姿が頭をさすっているのを見て、
【ホタル】
「どうしよう!大変だわ!!!大丈夫???」
【
「あぁ、、、。だいじょ、、、。」
【ホタル】
「
くいぎみにホタルは答える。
【
「おまえもか! おまえもなのか? ホタルさん!」
【
「ん?
【
「何、俺のこと可愛そう、みたいな目で見てるんだよ。」
すると、
【
「兄上、
【
「テメェー!コノー!焼き鳥にして食ってやる!!!!」
【
「まぁ、まぁ、落ち着いてよ。兄上。か弱いカラスじゃないか。」
【
「テメー!
【
「そうだなぁ、、、カラス、かなぁ。」
【
「テメーふざけんなよ!」
【
「冗談だよ。兄上。どっちも大切なワタシの家族だ。」
【
「答えになってねぇーよ。」
こんな会話がいつまでも続いていた。こうして、
【
「可愛くねぇーーーーーーーーーよ!」
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