第4話【蛍とホタル】
【ホタル】
「
【
「あぁ。それはね、ホタルに聞いたんだよ。」
【ホタル】
「えっ?どういうこと?私、何も言ってないわ。」
【
「あ、すまない。ホタルはホタルでも、こっちの蛍に聞いたんだ。」
【ホタル】
その小さな光の玉達は、橋の下に流れる川を照らしたり、夜空に輝く星と共に夜空を舞ったり真っ暗な夜の世界をキラキラと輝かせた。
【ホタル】
「うわー!キレーイ!」
【
「ここの橋は、皆から"
【ホタル】
「すごーい!とっても、綺麗!でも、どうしてかしら、どこか寂しい気がする。」
【
「・・・蛍の寿命はね、成虫になったらたったの1週間なんだ。」
【ホタル】
「たったの一週間?」
【
「うん。でも、一週間なら良い方で、強い雨に打たれたり、
【ホタル】
「なんて、儚い人生なのかしら・・・。」
【
「・・・うん。確かに、蛍は儚い生き物だよね。結局、生まれた育った川の中から出ても、結局、一週間と絶たずにその生まれ育った川か、そんなに遠くない場所で死んでしまうんだから。でも、ほんの一時でもこんなに綺麗に夜空を舞えるなら、ワタシはそれもまた美しい一生だと思うな。」
ホタルは、夜に舞う蛍達を見て思う。自分もいずれ死ぬ時が来た時、この夜空を蛍のように美しい人生だったと思えるだろうか・・・。思えるような人生にしていきたいとそう思った。
【ホタル】
「
もう、逃げるのはやめよう。この先、どういう結末が待ち受けているのかは、分からないけれど、それでも、きっと運命からずっと逃げて続ける人生よりも、それは美しいものになると思ったから。
【
「うん?何から?」
【ホタル】
「ううん。なんでもないよ!」
ホタルは、ニッコリと笑った。
【ホタル】
「それよりも、蛍に私の場所を聞いたって・・・。」
【
「あぁ・・・。」
【ホタル】
「いいわ。
【
「えっ?」
【ホタル】
「人には、言いたくないことだってあるもの。
【
「なんだか、
【
「・・・実は、生まれつき、動物の言葉が分かるんだ。今まで、家族しかこのこと知らなかったんだけど、里の皆だって、ホタルだって、家族なんだから、言っても良いよね?」
【ホタル】
「動物の言葉が分かるの!?すごーい!ここにいる蛍達がなんて言ってるか、分かるの?」
【
「まぁ、、ね、、。へへへ。あの葉にいるのは、お嫁さんを呼んでる。あそこにいるのは、こっちに良いエサがあるよって、他の蛍に知らせてる。それに、こっちにいるのは・・・。」
ホタルは、目を輝かせながら、
【
「おーい!
【
「見つかったよー!」
すると、
【
「ホタル!どこ行ってたんだ?まったく、心配したんだぞ?」
【ホタル】
「・・・ごめんなさい。」
【
「まぁ、まぁ、いいじゃないか兄上。無事だったんだから。」
【
「そういう問題じゃないだよ!何かあったらどうするんだ?熊が出たり、狼が出たりしたら!それに、皆だって心配・・・」
【
「ほら、そんなことよりも、兄上、見てみなよ!」
【
「おぉー!スゲー!蛍だ!初めて見たぜ!本当にキレイだな!なぁ、ホタル、お前もそう思うだろう?綺麗・・・だなぁ・・・。」
本家の前につくと、
【
「あなた達三人!一体どこに行ってたの!!!こんな遅い時間まで!まったく、
【
「はい、ホタル。今日は、
【ホタル】
「はい!いただきます。」
ホタルは、豚汁に口をつける。
【ホタル】
「・・・。うわー!」
この時の味をホタルは、今でも覚えている。味噌と塩の入れすぎで、
【
「ホタル、どう、美味しい?」
ニッコリと笑顔で自分の味の感想を少年は、はたして自分で味見というものをしたのだろうか?
【ホタル】
「そうねぇ・・・。うーん・・・。」
ホタルは涙目になりながら、自分の顔から血の毛が引いていくことか分かった。しかし、暗い森の中にいた時を思い出す。すると、今こうして、皆と豚汁を食べていることがなんだか幸せだなと思う。
【ホタル】
「・・・そうだなぁー。とぉっても、温かいよ!」
ホタルは、嬉しそうにニッコリと笑った。
暫くして、お風呂から上がった
【
「うわっ。マッズ。ホタル、こんなもんよく食えたな。」
そこへ
【
「あっ!兄上、お風呂から上がったんだね。どう味の方は?」
【
「お前これ、味見したか?」
【
「あぁ。もちろん。」
【
「そうか。なら、俺から言えることは一つだ。・・・、温かいよ。うん。本当に温かい。」
【ホタルと蛍】終
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