第5話 スタジオトーク その2
「はい。以上が高校生の頃の堂島道汚さんでした。いやー、まさか放送部から高校生で初めてラジオ番組に出演されたというのは、驚きですね。こういった高橋さんとのご縁があり、今の堂島道汚さんというキャラクターが出来上がってきたんですね。どうですか?今の話を聞いて。小説家の大島治夫先生」
「いやー……ほんとにねぇ……。道汚さんは、フィクションの世界のような生き方をしている人だよねぇ……。今となってはネットラジオとかやろうと思えば誰でもラジオとかできるけど、高校生でラジオ番組に出れるなんて当時では、なかなかできない経験ですからね。ほんと凄い縁だなって思いますね」
「私もあの時、ラジオに出ていなかったら、今この場に立っていなかったと思いますね。高橋さんに感謝です」
「えー、そんな堂島道汚さんに突然ですが、サプライズゲストが見えています。どうぞ!」
サプライズゲスト?
そんな話は、聞いていない。まあそりゃそうか。サプライズだもんな。
出てきたのは、高橋さんだった。
「おおおー!?高橋さん、お久しぶりです!!」
「道汚君。久しぶりだね。いやー、立派になって……。久しぶりに会えて嬉しいよ」
私はお辞儀をして、高橋さんと握手を交わす。
「高橋さんは、当時の事で特に印象に残っている事とはありますか?」
司会の女子アナ梅田美紀が訊ねる。
「さっきのVTRでもあったと思うんですけど、当時の道汚君は、緊張して本番前に喉が渇いて水をがぶ飲みする癖があるんですよ。それである時、ラジオ中に険しい顔してるからさ、何?どうしたの?またトイレ我慢してるの?って聞いたら、はいって言うんですよね。それだといつもどおりだなと思うんですけど、今日は大きい方をしたくて我慢してますってラジオ中に言っちゃってさ。それが凄いウケたんですよ。言い方とか間の感じとかが絶妙で。普通なら苦情の電話とかが来るんだけど、不思議と道汚君がやると一切苦情が来なかったんです。やっぱキャラクターというか人柄なのかなぁ」
「いやー、ほんとすみません。高橋さんには、いつもトイレ我慢してるっていう事ばかり言っていた気がします」
スタジオが笑いに包まれる。
「さあそんな高校生だった堂島道汚さんは、卒業後どうなるのか。続きのVTRをご覧ください」
梅田美紀が司会を進行する。
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