第48話賢者サイド クレア視点 手がかり
クレアサイド
冒険者ギルドにやって来た私達は、きょろきょろと辺りを見渡します。
前の町のギルドも見たことがありましたが、それよりもずっと清潔で整っていて広いです。
ステラさんも感心していますね。
「わお、流石は王都のギルドですね。あたしの古巣よりもしっかりしています」
「これからどうしよう?」
アトスさんが尋ねると、ステラさんは受付を指します。
「とりま、受付でレオダスさんが来たのか聞いてみましょうか」
そう言ってスタスタとステラさんは受付に向かいました。
受付のお姉さんはこちらに気が付くと、ニコリと笑います。
「ようこそ、冒険者ギルドへ。依頼ですか? それとも受注ですか?」
「えっとですね。人を探していまして」
ステラさんが尋ねると、お姉さんはニコリと笑う。
「人探しの依頼ですね。それでは書類を作成してください。依頼料とギルドへの仲介料もお願いしますね」
「あ、違くてですね。冒険者を、というか、なっているか分からないんですけど、ここに来ていた人を探してるんです」
上手く説明できずにあたふたしていると、ギルドのお姉さんも首を捻ります。
「冒険者がここに来たのかを聞きたいと?」
「そうそう。そんな感じです」
お姉さんは合点がいったというように頷きます。
「登録されている冒険者さんでしたら、教えることが出来るかもしれませんね。なんという方でしょうか?」
「レオダスさんというんですけど」
「・・・なん、ですと」
「んぁ?」
さっきまでニコニコしていたお姉さんが、ピクリと眉が動きます。
「・・・レオダスさん」
「そう、レオダスさんです」
どうもおかしいです。
お姉さんは何を慌てているのでしょう?
「貴方達はレオダスさんお知り合いですか?」
「はい! そうです」
私は力強く頷くと、お姉さんはタラりと汗を流します。
やっぱりおかしいです。
「レオダスさんは先日こちらのギルドに登録されましたよ。国王様の紹介状を持っていたので、いきなりAランクの冒険者として」
「・・・は?」
ステラさんは口をポカンと開けました。
『わかってくれますか、この気持ち』という風にお姉さんは笑います。
「当ギルドでも前代未聞です。登録したばかりの冒険者がいきなりAランカーに上がるなんて」
「ま、マジなんすか? 登録したばかりでAランカー。あ、あたしと同じ・・・」
「はは」と、ステラさんは汗を流して、顔を青くしました。
確かAランクというのは上から三番目のランクでしたね。
そうなんですか。
ステラさんはAランカーだったんですね。
この歳でAランカーというのは、門外漢である私でも解るほど凄いことです。
流石というべきですね。
そのAランク冒険者に登録したばかりのレオダスがなったと。
「す、凄いことですね?」
「当たり前ですよ! というか、あんまり広めると、他の冒険者が自信を失うか嫉妬で怒っちゃいますよ」
お姉さんは「その通りです」と口に指を当てて「しー」としました。
私は口を塞ぎました。
「で、でも、レオダスがここに来たのは間違いないんですね!」
「そうだね。あの、レオダスが何処へ行ったか分からない?」
アトスさんが尋ねると、お姉さんは不思議な顔をしました。
「可愛い子ですね。弟さんですか?」
お姉さんはアトスさんを見た後に私を見ました。
あらら、アトスさんの機嫌がちょっと悪くなってしまいました。
アトスさんは子供扱いされるのが嫌いですからね。
ああ、でも、そんなアトスさんも可愛、けほんけほん。
「レオダスさんなら、Aランクの依頼を受けて、クエストに出発しましたよ」
「・・・そう、ですか」
少しガッカリしました。
すぐに会えると思っていたので、その失意は大きいです。
「依頼を受けたのは一週間前。カルルタート山へ向かいました」
「「「カルルタート山!」」」
確かこの王都からほど近い位置にありながら、非常に危険な地域です。
私は血の気が引きました。
「そ、そんな危険なクエストを受けたのですか?」
「あの、そうは言ってもクエストの内容はあくまでも採取ですので、強いモンスターの討伐とかではないんですよ?」
ホッとしました。
ですが、危険地域であることには違いありません。
「行こう」
「え?」
「探しに行こう。カルルタート山へ」
アトスさんは力強くそう言いました。
それに私とステラさんは頷きました。
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