第6話 世話焼きリーナ
リーナがとても機嫌がいい。
せっせと、ハーブをブレンドしたり、作り置きの手作り焼き菓子を綺麗に並べて花を飾ったり。
実にかいがいしく、エルネストの世話を焼いていた。
憧れの、
用件は、近日の園遊会についての確認事項とのことで、宰相である父とその
園遊会に出席するための衣装を見せられると、素敵だ、似合う、さすがは騎士を目指すエルネスト、まるで姫君を守る聖騎士のようだなどと誉め称える。
システィアーナも、白に近いクリーム色のAラインのミモレ丈ドレスを着ることになった。
夜会やお茶会ほど格式張ったものではない事と、庭園でのガーデンパーティーなので動きやすさを優先した為だ。
厚手のペチコートやキュロットタイプのアンダースカートを重ね着し、編み上げのブーツを履けば足が出ることもないので、そんなに品がないと思われることもない。
「エル
「いや、シスの事だから、季節柄、淡い色を着るだろうとは思ったんだよ。でも、兄上が、どうせなら事前に打ち合わせしておいた方がいいだろうと⋯⋯」
爽やかな微笑みを照れにかえて、エルネストはリーナの淹れたハーブティーを啜る。
「美味しいね。さすがは侯爵家の茶葉⋯⋯」
「これは、リーナが、エル
「そうなのかい? とても美味しいよ。ありがとう、リーナ」
「あ、いえ、そんな。エル
タンポポ茶は女性の不妊治療に効果的なお茶として知られているが、利尿作用や
ブレンドに使われたユーカリも、風邪の初期症状や予防によく、喉や鼻が傷むこの時期に効果的だ。
少しレモングラスが入っているのも、疲れや気落ちなどのリフレッシュによく、その他少しづつ入れられたハーブで味を調えてあるのは、システィアーナからみても素直に飲みやすかった。
お茶のおかわりを勧めたり、焼き菓子を足したり、飾りの花は、ハーブティーに入れて飲めるのだと説明したり。
ちょこちょこ動き回るリーナは可愛らしかった。
自分にも、あんな気持ちを持っていたことがあっただろうか? また、この先、あんなかいがいしく誰かの世話を焼く日が来るのだろうか?
エルネストのためにせっせと世話を焼くリーナは微笑ましく、システィアーナには少し眩しかった。
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