10るん♪ あれから…あたしゃ疲れたよ ~サバイバル生活のススメ2~
あれから何十年経ったのかのう。この島の小屋には、二人の老婆がいるんじゃよ。足腰もガタがきておって、寝床から起き上がるのも一苦労でのう。
「ミヒャンさんや、腰の塩梅はどうじゃ?」
「……てるよサン、悲シイ気持チノ痛イ。ダカラ」
こりゃまぁ、それは難儀じゃてぇ。と思ってみても私も人の事を心配出来る程、余裕はないっちゃぁないんだよ。
もう、あたしゃ疲れたよ。今日は一日、身体を労わってあげたいねぇ~。そんな提案をミヒャンに投げかける。
「て、てるよサン、言葉オカシイ…ダカラ。
あ、いやね。二人して筋肉痛でプルってるのって、なんだか老婆っぽい? って、現実逃……じゃなくてなんとな~くね、なんとな~く島に来てン十年たちましたコントをやってみたくなった感じ? だって…mjd朝起きて、まともに体動けないって、なんか年寄りってイメージだし。痛みで動くのが面倒でさ、目はガッツリ覚めちゃってたから……まぁ、暇だったし。テヘペロ♡
ミヒャンも体がまともに動かせないってのには賛成みたいで、痛みにプルプル震えながら、物資の方を指さす彼女。流石のミヒャンも今日は筋肉痛になってて、大丈夫? って聞いたら、何か、私が寝た後にふと目が覚めちゃって、浜辺の荷物を一人で小屋に運んでだんだって。そこは流石に説教したよ、だってそうじゃん。目が覚めたとは云ってもさ、暗い中で一人せっせと荷物運んで、しかも朝方までしてたって云うんだから、説教でしょ。
一人が苦労して生活の基盤をつくたって、寝てるとは云ったって手伝えなかったもう一人は居た堪れないよ? とミヒャンに言って聞かせたよ。そんなに急ぐことないじゃんってね。
「安心して下さいデス、私、船カラ薬持ッテキタデス」
そう言えばミヒャンってずっと船底みたいな所に閉じ込められてたんだよね……あ、思い出したら泣きそうになっから、モヤモヤとした回想の煙を頭の外へ追い出す。
コホン、んまぁ、なんだ、
だけど、ミヒャンは私が思ってた以上に辛いみたいで、顔を動かすだけでも痛がってた。なので、新兵の訓練ヨロシクと言わんばかりの匍匐前進…所謂、荷物の所まで這って行く私なんだけどさ。今日の私は頑張っちゃうよ。レフッ、ライッ、レフッ、ライッ。後ろの正面~♪ って感じで、気分はテケテケ・ホラーよ。
でも“右ひじ、左ひじ~”とかはやんない。私、お笑い芸人じゃないしね。バンダナもしてないし、袖を切ったジージャンだって着てないしぃ。ミヒャンだってエアピアノしてないってか………まぁ、いいや。
んだけど、ちょっ
流石に、ボーが沢山の名前の人程じゃないけど、昔付き合ってた
何たらハートマン軍曹何某のブートキャンプで困憊している新兵達がヒィヒィっちゃってる一場面の様に見える情けない貧弱の
「てるよサン、先ドゾ」なんて、可愛い事言ってくれる“ぷりちーミヒャン”に甘える事にした。
「あ、ありがと。んじゃ、お先ぃぃ」
ジャージを脱いで、ランジェ姿になってからぷしゅー、ぷしゅーと肩から順に下の方へスプレーしてく。
「あぁぁ、気持ちええ~。ヒンヤリ感…ごっつぅ堪らんわぁぁ」
何でこんな時って関西弁が似合うんだろ? 的な思考が過るも、フルフルと頭を振って気を取り直し、いざミヒャンの元へ「ひあうぃーごー」ってなもんよ。まぁ、レフッ、ライッ、レフッ、ライッで向かうんだけどね、数メートルの移動だけど、痛みは私の全身を駆け巡るで…
んで、頑張ってぇ頑張ってぇのがんばルンバルンバでミヒャンへ向かうんだけど、速度はカタツムリよか若干早いってくらい。mjd痛ぇ…。
「あう、くっ、ぎゃん、どべば」
自分の口からとは思えない擬音を吐きつつミヒャンの横にやっとこさ辿り着いて、ぷしゅー、ぷしゅー、ぷしゅーってしてあげた。
「てるよサン、
ミヒャンへの昨日の仕返しは当然の如く、やったと報告しておこう、いっひっひぃ! つんつんっと。
イヤンイヤン言うミヒャンを眼福とばかりに
鳴かぬなら、鳴かしてみよう喘ぎ声…だっけ……あれ? 違った? ……まぁ、いいや。案の定、ミヒャンからの反撃もくらったんだけどね。あっ…ら、らめぇ~。やめれ~。
◇
んで、医療行為と云う名のイタズラをやりあっちゃってから、息も絶え絶えって感じで二人して、小屋かっこ仮かっことじるから出てきて、すぐそばの木に寄りかかって涼むことにした。
二人して全身に熱を持ってたから、風通しが良い木陰は体の熱をやんわりと取ってくれてる感が最高だなって思ったわ。mjd。
「ミヒャン、今日は作業的なのって無理っぽだと思うんだよね~」
「ハイ、私、ソウ思いマス。デモ、小屋の周リ探すハ大事デスヨ」
「そだよねぇ、まぁ今日は朝から探索しよって決めてたし、筋肉痛は結構ヤバめだけど…しゃ~無しか……行こっか……んとこしょっのよっこらせっと」
立ち上がるのにも、アダッ、ホワッチャ、アウアウとか言いながら立ち上がって、お尻に付いた土をパンパンしてから痛みを覚悟に準備を始める。
まずは、厚手のジーンズと作業服みたいなのを着て、三本のひっかき傷がマークのモンエナのグローブに…野球のキャッチャーが足にするヤツも着ける…レガースって云うんだっけか? 何んでこんなのも密輸品にあるんだろう? って思いながら着ける。
そんで、昨日の水浴びの教訓宜しく、着替えの入った安物感バッチバチのリュックを背負い、ゴーグルらしき物が着いてるバイクメットをかぶって、右手に鉈を持ってから、ミヒャンを先頭に取り敢えず昨日見っけた川まで行って、食料になる魚や川エビは居るのか、木の実や食べれそうな物を探し出すってなった。
◇
歩きながら私が変な声を上げてたら、ミヒャンはツボったらしくてプルプルと肩震わしてんだけど、彼女も彼女で筋肉痛から解放されてないから、小刻みに震えてるのは笑いを堪えてるんだか筋肉痛を堪えているんだか分っかんないけど、そんな感じで二人してのプルプル探検隊は“密林じゃんごー”を突き進む。
ミヒャンはミヒャンで「
へー、アパって言うんだぁ、なんてやり取りをしつつ鉈で枝を切りながら進んだ。もち、ほわっちゃとか、あぱ、とか言いながらだよ。自分で自分の声が可笑しくって、小枝や邪魔な蔓を切っては奇声を、奇声を上げては笑っちゃう“プププのプ~で痛みのスパイラル”探索はmj疲れた。おもろかったけど……きゃう…あぱっ…プププ。
◇
そんで、小屋かっこ仮かっことじるには沢山の密輸品があるんだけど。勿論、水や食料だっていっぱいあるのに
「探索するのはいいんだけどさぁ、船から降ろした食料って凄い量だったよね? 身体も痛いしさ、今日くらいは、そこにある物でやりくりしても良くない?」
「ハイ、二人で1年以上、大丈夫デス。デも、良くナイ事、来たら心配デス」
ミヒャンが言うには、今ある食料に最初から頼って生活すると、何らかのハプニングで食料がダメになった時は大変になるから、食料に余裕がある内に“万が一”に備えるんだって。そんな事言われたらね、頑張るっきゃないでしょ。
まっ、私も探検って嫌いじゃないしぃ、救助が来るまで色々覚えてやんなきゃいけない事が沢山あるってのは理解してっし、彼女からサバイバル技術を教えて貰うのも当分の間、島での生活をするなら余裕がある内に色々やんなきゃって…それはネセサリーだっちゅーのは分かるよ。うん、ガンバロ…。
◇
道中、ミヒャンは時折振り返ったり、上を見たり、木に数字を刻んだりしてた。これもじゃんごーで迷わないためにはネセサリーなんだって事を教えてくれた。ふむふむ、輝代さん、一つも二つもおりこーさんになった気がするよ。うん。
彼女は進みながら小枝と蔓で矢印を手早く作って、さっき傷つけた木の方向に向けて括り付けて調整してた。んで、それを見ているだけの私は、mjコイツすげーって思うしか出来なかったよ……不甲斐ない年上でゴメンよ、ミヒャン。
印を付けながら進んでいくと、なんだかチョロチョロと音が聞こえ、その方角を見ると昨日とは違う小川を発見。
「ミヒャン、小川があるよぉ」
「ハイ、見
マーキング的な事をしながら来たから小1時間はかかっちゃったけど、昨日とは別に水場があるのは、昨日の川がダメになったもしもの時の予備にはいいんだって。すげー笑顔だよミヒャン。mj惚れそうなくらいだよ。ん~、ちゅーしちゃうぞ、でへへのへ。
そんな私のエロ思考に気が付かない目の前の美少女は、足場を確保する為に、鉈で周辺の伐採をし始める。
「てるよサン、石デ囲イ
その声に、エロエロ考えていた私は現実に戻ってきて、ミヒャンの指示通りに石と鉈で足場の囲い的なスペースを
川べりの土のとこには二人して、大きめの石を置いて水汲みをする時に土崩れが起こらない様にしてくんだけど、これが結構な重労働だった。グローブが無かったらケガしてたかもね。グローブヤッホーって思った。
それから小1時間くらい掛かって、なんとか水汲み場として形になったところでミヒャンと一緒に小川を調べる事になった。
「深さは、ヒザくらいだねぇ」
「ハイ、水汲ミ楽デス」
最初、裸足で入ろうとしたら、ケガをするかもしれないから危ないとミヒャンに指摘されて靴を履いたままで川に入った。ここでも輝代さんってば、お利口さんレベルが1つ上がったよ。
テレレッテッテェ~♪ ※輝代の知識レベルがアップした効果音(輝代の脳内音)
小岩の下あたりとか、川が段々になっている所とかに川エビとか魚がいるかもって。で、罠を仕掛けておけば簡単に獲物が取れるとか、ミヒャンがかなり嬉しそうに教えてくれる。
テレレッテッテェ~♪
んで、気を付けなきゃいけない事も教えてくれた。
まずは、ダイレクトに水は飲まない事だったり、ヒルとかの寄生虫に気を付けなきゃいけない事だったり、蛇とか蜘蛛も毒を持っている種の特徴、蚊やダニにも気を付けるとかも教えてくれた。
特に血を吸う虫系は病原菌とか保菌している事が多くて、血を吸われると病気になるんだって。mjdコイツすげー。
テレレッテッテェ~♪
んで、川から上がって水汲み場の横にはヨモギが生えてるのを見つけると……これは乾燥させて燻すと虫除けとかに使えたり、止血に使ったり、煎じて飲むと下痢とか冷え性が良くなったりとかの薬にもなるんだって。つか、知識っぱないよ、mj凄すぎるんじゃね? この美少女……ミヒャン博士と心の中で呼んでおこう。
テレレッテッテェ~♪
小川に沿って探索を続けるか、一回戻って休憩するかで意見を聞かれたんだけど。私が水浴びしたいって云ったら、ミヒャンも忘れてたって顔をして、水浴びが出来そうな場所を探そうって事になった。
「てるよサン、川の下に行クデス」
「りょうか~い」
何で川下に行くのかは分からなかったけど、博士に任せておけば大丈夫と思った。
「川の下に行クト、島の雨、沢山、少ナイ分カリマス」
私が分かっていないのが顔に出てたのか、そう説明するミヒャン博士は鉈を振り振り、無双ゲームの様に邪魔な草木を伐採していく。勿論、私もミヒャンの指示でマーキングをして進んでいくと、潮騒の音が聞こえてきた。
「てるよサン、浜見エルデス」
「おおお、本当だ」
「多分、雨ハ沢山降るデス。ココ水、汚イデス。ヒル居ル思ウマス」
どうやら濁った水は雨量が多いって事みたいで、ついでにヒルとかのキモ虫も居るって…mjdか!
「ウナギ、捕レルデス。罠
流石は漁師の娘のミヒャンさん、魚を捌くのは得意みたいで浜に辿り着いて、小屋カッコ仮カッコ閉じるに戻りながら魚を捕まえる罠を作るんだと握り拳を掲げる……美少女の荒い鼻息、輝代さん精神的ダメージ喰らっちゃったよ……逞しいと言えるんだろうけどさ……ちょっと引くわぁ。
んで、結局、水浴びは水汲み場のやや下流でって事になった。ボディーソープ、シャンプーコンディショナー使うと環境破壊? んなこたぁどうでもいい。まぁ、良くはないんだろうけど、二人分の汚水なんてタカが知れてるって思うし、ヒルとか寄生虫とかの方が心配。身綺麗にしておけば病気にも掛かりにくいだろうし、特に女の子は色々とデリケートな部分のケアは必須よ必須。
だけど、用を足した後の「紙」は燃やすのも必須だってミヒャンと約束したっけか、紙は残るから見た目もそうだけど、寄生虫や病原菌の温床になるんだって……mjdか…「ンチョが付いていても絶対に燃やす事」って怖い顔したミヒャンに頷く事しか出来なかったんだけどね。ゴミは燃やすの一点張りだったし……美少女コワイ。ブルッ。
そういえば富士山の山小屋のトイレは垂れ流しで、それが世界遺産登録の障害になってるとか何とか子供の頃にTVニュースで見たことがある。あとは道からゴミを捨てるドライバーの所為で、ゴミ山富士って云われてるニュースも見たっけ。
まぁ、人口の物って確かにゴミだ。プラスチックとかの石油化学品に限らず、色んな物がゴミだって何かの拍子に見た? 聞いた覚えがあるよ。
さっきのミヒャンの雰囲気は多分、浜辺で見た沢山の漂流物なんだろうなぁ。悲しい目をしながら拾い集めてたし。そのゴミだけは船のボイラー室にある焼却炉で燃やすみたいな事、言ってた気がする。
あ、それで思い出した。流木は海水を吸っているけど、燃やすと、長い時間くすぶりながらも火種になってくれて、そこそこ暖が取れるとか何とか言ってたなぁ。つか、海水を含んでんなら、結構重たくね? 確か、後で運ぶって言ってたよね……mjkぁ、そこそこの数が打ち上げられてたんですけど。mjkぁ、まさか、全部とか言わないよね? ね? 聞くのが怖いんですけど……。
結局、今日のお風呂は船のシャワーを使う事で済ませ様ってなった。昨日は川で水浴びして、寄生虫の話しを聞いて、少し怖くなったのが主な理由なんだけどね。
とは云え、船のシャワーも水だから
だけどシャワーをするには時間が早いてんで、髪の毛のキュシュキュシュ具合は我慢して、とりま浜辺にある物資を小屋かっこ仮かっことじるの横に運ぶってなったんだよコレが。し、仕方
んで、ミヒャンも一緒に水着着ようよって言ったら、頷いてくれて、彼女が選んだ水着は白のハイレグワンピだった。
「わお! ミヒャンってば大た~ん」
「そ、そんナ事ないデスヨ。普通デス」
流石にビーサンでの散策は危ないってんで、ホーキンスのシューズを履いたよ。でも、気分はリゾートの浜辺でキャッキャウフフ……実際は探検続行なんだけどね。気分次第で楽しく運べるんだからいいじゃん。つかレガースが雰囲気まる壊しなのは無視よ、無視。
なんだかアマゾネスって云うの? そんな感じになった私達は中断してた探索に向かったのよ。
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