9るん♪ 寝床の準備と川を探すだぁ! ~サバイバル生活のススメ1~
シャワーを浴びて、その日は下した荷物の横で寝袋を引っ張り出してきて、焚火に当たる。
「なんだか、キャンプしているみたいで、少し楽しいかも」
「ハイ、私モ、キャンプガ好きデス」
ミヒャンも私と同じ気持ちみたいで、顔を綻ばせて『細雀茶』って云う韓国の高級茶を飲んでる。彼女ってば、ちゃんとお湯を沸かして、急須で淹れててんだから、すげーって思っちゃった。女子力ぱねぇよミヒャン。
船でもっと高級なお茶『雨前茶』ってのも見つけたみたいだけど、それは『取って置き』にしとくって嬉しそうに言ってた。
『雨前茶』ってのは、韓国茶の中で
だからさ、お茶文化と聞いて真っ先に浮かぶのが中国、台湾なわけよ。韓国っつたら焼き肉にキムチが真っ先に思い浮かぶしね。
紅茶なら、インドとイギリスってくらいなら分かるけど、ダージリンとかアールグレイとかね。オレンジペコとか云う等級も知ってる。
まぁ、私からしてみたら、コンビニで買うペットボトルのお茶がメインだし、それで満足してるからお茶の種類とか、正直興味ナッシングなんだけど、ミヒャンが説明してくれてるんだから、一応は聞いておくよ。振りじゃない、ちゃんと記憶に留めて置くつもり。多分、忘れない。と思うし。多分……ね。
そんなミヒャン先生のお茶授業を聞きながら、夜空を見上げると。
「ミヒャ~ン、上、見て見て。星が凄いよー、mjヤバッ超カンドー」
私に言われ、釣られる様にミヒャンも夜空を見上げて、そんで感嘆の溜息。
「
「おるらお、もっちむにだ?」
「ハイ、ハングルデ、凄い素敵、云ウ意味デス」
「そっか、んと。……オルラオ、モッチムニダ。イントネーションとか発音合ってる?」
「놀라워 멋집니다デス」
「놀라オ モッチ니다」
「モウスコシデス」
「놀라워 멋집니다」
「ハイ、
「そ、そっか、あんがと。んと。놀라워 멋집니다」
「
「お? ミヒャンの今の日本語も上手だよ」
「本当でスカ?」
「今のは、ちょっと惜しい」
「頑張りマス」
「うん、私も頑張るよ」
「「フフフフフフ」」
そんな感じでほんわかな気持ちになった私達は、飲み物を置いて、星空を眺めながら寝袋の中眠りに就いた。
「おやすみ」
「
「うん、チャルジャヨ」
「オヤスミ」
◇
朝、目覚めた私、真瀬輝代は、目下、たうち回っていまぁす。こんな情けない姿、うんどー不足をまさに痛感してる最中なのよ。
「きゃう……いつぅ……はうっ、痛いよ。うぅぅ」
……筋肉痛になったの私、mjd超~お久ぶりのぶりぶりなんですけどぉ。つか、この痛みの中
ほんの少し身動きを取る度にね、ズキンって貧弱“マイ・マッソー”達がギャーギャーと文句の悲鳴あげるってば……んでもって、その痛みで私のテンションは駄々下がりの昼下がりよ。いや、まだ朝だけどさ。
もう、な~んもしたくないんだけどってミヒャンに抗議するんだけどさぁ聞いちゃくれねぇよ。ったく。
へ? ……わかった、分かったやるってばぁ。だから、ニタリと腿とか脹脛とかツンツンすんのやめぇぇ。mj洒落んなんないってば。
これ見よがしに“オ昼ゴ飯”とか言いながら、ホレホレッて唐辛子の袋を見せつけないでぇ。目がシパシパするご飯は嫌ァァ。
「てるよサン、体、痛イハ動ク一番。ダカラ」
「いや、
「ハァ……分カリマシタ、少シまっさーじシマス」
ミヒャンってば溜息一つ
「あたた…よいっしょ。いつつ…どりゃっしゃぁぁ、おふっ」
変な掛け声で気合を入れて、痛みに耐えながらミヒャンの優しさに超甘えん坊? 嬢? の私はゴロンと葉の上で
そこでラッキーと思ったのも束の間。遠慮無しのマッサージは腿や脹脛、腰、腕は激痛で蹂躙され。逃げる気力さえもぶっ飛んで、終わる頃には青息吐息で虫の息。
声すら出せず、七転八倒って感じの悶絶を味わった私は、作業して動いてた方が良かったんじゃね? と超絶に訳の分からない後悔をしまくっていた。mj痛ぇ。
とは云うものの、若干痛みが引いてきた感じで10分もしないうちに楽になったのを実感。んで、作業開始と相成っちゃったよ。しゃーなしだな。輝代さん、いっちょ頑張りますか。
「んしょ、んしょ。はぁ…重いし、痛いし、泳ぎたいし」
痛みが引いたのは一寸だけ、だからって事じゃないんだけど口から出るのは文句しかない訳よ。
何でかって? 今、私達がいるのは浜辺から少し奥ばった所でMyベース? Asベース? を建設中? なんだけどさ。眼下には白い砂浜と打寄せる波の誘惑に勝てないってぇの。取り敢えず泳がせろ的なクレームだって言いたくもなるじゃない?
「筋肉痛なのニ泳ゲマス?」
「……そ、それは……おあずけなんて……くっ殺せ!」
「ハイハイ…仕事スル先。ダカラ」
「う、う、うみぃぃぃ」
「ハイハイ、海逃げない、今ハ家作ル仕事、とてモ大事デス」
「私の浜辺ぇぇ」
「ハイハイ、浜辺モ逃げないだカラ。てるよサンも仕事逃げない」
「……くっ殺せ!」
てなやり取りをしながら、丸太を運ぶ。なんだか日本語上手くなりつつあるミヒャン。嬉しい反面、何だか反抗したくなっちゃうよ、ちくせう。
で、ミヒャンに「筋肉痛じゃないの?」って聞いたら「余裕です」だって、うぅmちくせう。
んで、丸太だけでって……ログハウスでも作るつもりなんだろうか。つか、私、ログハウスは嫌いじゃないけど、建てるってのはどうかと思うよ? なんて言ったら、ミヒャンに笑われた。
「てるよサン、コレハ骨組ミ。後で大きな葉で壁作るマス」
「柱って言っても、どうやって立てるのさ?」
「柱、
んも~! ちゅっちゅ云うミヒャンちょ~可愛くね? なんて思いながら、蔓ロープを丸太に縛って、近くの木の太い枝を滑車代わりにして引き上げるんだってさ。
んで、まずは蔓のロープ作り。鉈で切ってきた蔓の皮を剥がしていくんだけど、中々に難しくって長いモノになんない。ほら、リンゴの皮むきで切れない様に剥くんだけど、途中で切れちゃってダメだった感じでさ、ちょ~イライラしてくるんだけど、コレ。
「ムッキー」
「ハイ、
「いや、そうぢゃね~よ」
「???」
「……」
まっいいやって思いながら、ため息交じりにロープ作りを再開。
うりゃ、とう、よっしゃーとか何とか言いながら、剥いた皮を三つ編み状態にしながら編んで、見てくれは不細工ちゃんなロープが出来上がったけど、私mjd頑張ったと思う、自分で自分を褒めてあげたいわ。
「てるよサン、ちょべりぐデス」
「はい?」
「ちょべり…ぐ、日本語間違ってますカ?」
いや…つか、死語ぢゃん…とはミヒャンの笑顔を見ちゃうとさ、言えなかった、流石に。
「う、うん。ちょべりぐ……だね。あはは」
あんた、何時留学してたのさって思っちゃうくらいの
「日本語教えてクレタ人、ほーむすていノままサンですだカラ」
「あ~ね……さっし」
BBAが変な日本語、ってか死語使ってるとかないわぁぁ。何か意気揚々と「ギャル語使ってるアタシってまだまだ若いわ」とか思ってママさんの顔が想像できちゃう。てか、私の叔母にもそうゆー人いたし。
あれは、mjイタかったわぁ。もうね、超ドヤ顔しながら
もし私が男だった頑張って頑張って叔母さんに好きになってくれる様に努力するよ。三高(意味はお母さんから聞いた)なら、それに向かって頑張る。って思う位、叔母さんは美人だったし、私の目標の女性でもあるんだよ。
まぁ、あのイタイ死語さえなかえれば、自慢の叔母さんって事よ。いや、mjd。
てな思い出に浸りながら、私の渾身の蔓ロープ……うぅ、見るに堪えない。だって、ミヒャンが作ったヤツ、mjdロープって感じだったしね。それに比べて私のヤツは……くっ殺せ!(あ、コレ
その後も、蔓を切ってきてはロープモドキを私達は量産してった。でもね、だんだんロープらしくなってきたから、結果オーライ、見て頂戴ってな感じで結構楽しんだかな。私って単純だって……思ったら負けよ、だから黙々と頑張っちゃったんだ。だけど、手のひらがジンジンして、ちょ~痛い。mjd。
そんでロープモドキを日向に晒して乾燥。昼食はキャロリーメイトをカジカジ齧る。目線はオアズケを食らってる浜辺……ちょ~泳ぎてぇ~。
◇
軽めの昼食を終えて、運んできた丸太を地面に描いた線に沿って置いていく。もち、二人で1本の丸太をだよ。一人でやれなんて無理だし、筋肉痛もまだ残ってっからね。つか、これ以上、重労働はmjカン。
それからミヒャンがXにした(Λに近い感じ)丸太の交差した所を縛っていく。
Λを四つ作って、頂点を丸太で繋げて箱型にしてから、壁なんかも丸太や、さっきマッサージで使った葉を何枚も重ねて小屋風にするんだとか。
私が? って理解してない顔に気付いたみたいで、ミヒャンはすかさず地面に図みたいなのを書きながら教えてくれてね。思わず“コイツmj天才じゃね?”とか思っちゃった。
それも顔に出てたみたいでさ、ミヒャンたら「子供の頃に兄達に混ざって基地とかみたいのを作ってた」とか言ってた。天才じゃなくて、野生児だったみたい。mjすげ~んだか、
で、目下Λ型4つを組み終えて、それを立てる途中なんだけどさ。丸太を縛るのは「もやい結び」なる縛り方をしてやるんだけど、蔓ロープがまだ若干固いうえに、もやい結び? なんてしたことないから一本目を釣るのに時間が掛かっちゃって。それから、張り出した木の枝(太い枝)に蔓ロープを上に通して、滑車代わりにしてるんだけど。これがちょ~面倒で、何回投げても枝の上に行ってくんない。mjイライラってきて、ムッキッキーのコンニャロ~! と声を出したら通った。何故に? 掛け声が必要って事? まぁ、蔓を掛けの苦労が終わったって~ことでいいや。
「やっと…やっと通りやがったよ」
ミヒャンは成功したのかな? って思って彼女の方を見ると、ヒョイヒョイ蔓を枝に掛けているのが見えた……チョック! くすん、私ってばダメダメのダメ子ちゃんだって認識した瞬間だった。
「ちょ、ちょべり…ば」って言わずにはいられなかった。
でもさ、経験則かもしんないけど彼女ってば重し代わりの石を蔓に括り付けて投げてたんだよ……そりゃ簡単でしょうね……ズリィよ、私にも教えて欲しかったなぁ。でも少し考えれば解る……訳ね~って。シロート様が、んな事解んね~ってぇの。閃きすらしないって、mjd。
「あれ? 船にロープ沢山なかったっけ?」
ふと思い出したから、ミヒャンに聞いてみたら「アレハ、違う場所で
そこから小屋の骨組みが出来上がった時には、夕方になってて。続きは明日の朝からって事になった。mj助かった。もう腕とか上がんないし、無理。
しっかし、水の確保って言うかペットボトルがあるからいいじゃね? って言ったら怒られた。
「今ハ大丈夫デすマス、デモソレガ無クナッタ、大変ナルデス。てるよサン、水ハ大事デス。ダカラ探すマス」
真剣な顔の彼女にたじろいじゃったけど、それほど水は大事だって事も理解した。
「今カラ水探すマス」
鉈を手に取って海とは反対の山の方へと歩き出し、道なき道を切り開く様に鉈無双っぷりを発揮しながら彼女は進んでいく。
「逞し過ぎるよミヒャン、惚れちゃいそう」な訳はなく、私は一定の距離を保って後に付いていった。いや、ミヒャンに近づくと鉈で切っちゃうよ? って言われたからなんだけどね。鉈こわっ。喜々とソレを振り回す、ミヒャンこわっ。
だた、荷物は運びを忘れているのか、もうこんな時間だし、水場を探した後になると、暗くなってるだろうからやんない方向なのかなぁ。でも、そうゆーやるやらないはちゃんと言って欲しいかなぁってミヒャンに言ったら、ごめんなさいってしょげてた。いやぁ、私も頼りっきりにしているから申し訳ないから、ミヒャンにごめんねって言ったら二人して何だか可笑しくて可笑しくて、ちょっと元気が回復して、頑張れる気持ちになったんだよね。不思議だね。
◇
ここは多分、大きな島だから、川は必ずあると言うミヒャンが今日の予定として『寝床確保(小屋建設)』『水場探索』の二つは最優先でやらなきゃいけないんだって。じゃないと死ぬよ? って言われたから、何でよ? って聞いたら、サバイバルで一番重要なのが、一に水、二に住居、それから三つ目に食料の確保なんだって。
なるほ~、衣食住って事ね。色々な物を船から降ろして、結構量があるから大丈夫と楽観視すると後でヤバくなるっちゅ~未来を想像したら、彼女の言葉は納得のとくとく情報だわ。うん。
そうこうしながら進むとこ15分くらいで、なんと川を発見。しかも清流ときたもんだ。グルグル廻ってた感じだったから意外と住居? から近かった。多分2分も歩かないと思う。
「良カッタ、近くに川が…コレは嬉しいデス」
「だねだねぇ、ラッキーかもしんない」
最初にコッチ方向に来てたらソッコー良かったんだけど、それは言わないでおく。だって私、全然役になってないじゃん? ミヒャンが一所懸命になってくれてるんだから、そんな莫迦な事は言わない。
とりま歩きながら住居へ向かう。そんで水汲みは必要だとか、運ぶのは大変だとか聞かされてmjホッとした。でも、安心は出来なかったんだよ。発見はしたものの川原は泥の様な感じになっている所為で、あれこれと工夫をしないと水汲みすら出来ないって、ミヒャンが言ってた。そうなんだぁって返答しか出来なかった私ってば、情けなさで凹むわぁ。
「少し上に行くデス」
直接川に入れそうな場所を探しにちょっと奥へと行くと、ゴロゴロとした岩場が見えてきて、そこから水汲みや水浴びが可能な場所を見つけたんだ。
そこで今日は水浴びで汗を流すって事になって、二人きりだし、まぁいいかと私は真っ裸で川に入ったんだけど。
「てるよサン、私、少し準備、
というや否や、バッサバッサと草木を薙ぎ払いながら密林の中へ入っていくミヒャン。
「どこ行くの~?」
「道具を取りマス、寝ル時の準備デス……ア、有った」
戻ってきたミヒャンの手には鉈と……松の枝?らしきものを持ってた。
「それは?」
その枝を置いて、ミヒャンは川に入ってきた。私はミヒャン傍まで寄ってって、今持ってきた木について聞くと、寝る時にひちゅようだって。ニコニコしながら答え、ガバッと服を脱ぐ鉈女ことミヒャンは、川に飛び込む……なんて事はせずに、静かに私の横まで来ると着ていた服で体を擦り始める。
「てるよサン、後ろ向いテ下さイ」
んで、ミヒャンは背中を優しく、なぞる様に汚れを落としてくれた。
もち、交代して私もミヒャンの背中を洗ったよ。ボディーソープは持ってきてないから、垢すり見たいな感じ。
まぁ、帰りは勿論、真っ裸。もう恥ずかしいとかそんなのは無くて、次の探索からは着替えも用意して行こうねって決まって。二人して急ぎ足で浜辺の荷物の場所まで戻った。ちょっとだけ解放感に感動しながら、こんな生活も楽しさを見つけて過ごすなら悪くは無いなって。まぁ、ミヒャンが居てくれるからなんだけどね。私一人じゃ無理でしょ、絶対。
◇
川から戻って服を着て夜食&寝床の準備は始める。
昼間は体を使った仕事だったからね、ちょ~ペコってたんだよ。そ、これは仕方のない現象。だから、カップ麵を3つ食べたのは体がカロリーを欲してたんだよ。うん、これは必要な栄養摂取。心の中で言い訳をしながら、ミヒャンを見ると。彼女横にはカップ麵のから容器が4つ。
「………」
「………」
うん、ちょ~ペコってたからね、うんうん。お互いごちそうさまをして晩御飯を終えるんだけど、なんとな~く重い空気の中、ミヒャンが松の枝を持って小屋(未完成)の周りで燃やし始める。
「どったの?」
「コレハ虫ト、蛇、来ナイ木デス」
彼女がそうゆう知識が豊富で私、驚かされてばかりなんだけど? っぱないっすよミヒャンさん。
これは松の枝で
そればかりか、いつの間にか周りに溝が出来てて、そこには何かヨモギっぽい葉っぱが沢山あった、それもすりつぶされた状態。やっぱそれもミヒャンが準備してたみたい。私、気が付かなんだ……なさけなぁ。
あと、松脂だけじゃぁって事で、物資の中から虫よけスプレーを出して来たのはご愛敬。
そして、寝袋に潜り込み、木の葉の隙間から見える天の川に、またまた感動しながら、二人していつの間にか寝ちゃってた。
明日も小屋の完成を目指して頑張るっきゃないでしょって事で、おやすみぃミヒャン。
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