5るん♪ 台風襲来? ~なんもかんもぶっ飛んで~
ベルトで数か所を固定されているとは云え、その固定先が揺れちゃってるんだから、当然私もレッツ・シェイキングなうってな事になっちゃってて、花も呆れる乙女……オ‶ドメ‶って濁った発音が良く似合う感じの無様
もう、ゲロゲ~ロふぇすてぃぼーブレス5秒前って状態の我慢の限界灘の限界で臨界点突破みたいな? もうやっちゃってよくね? ファイヤっちゃうよ? と私の脳内で訳の分からないスパイラルにハマっちゃってる感じは、ヤヴァい末路の確定フラグかもしんない。ヤバッ、mj無理っぽ。
んで、さっさとふぇすてぃぼーして、終了ですよ。『あ~ぃとぅいまてぇ~ん』って醜態をさらしちゃうんだわ、…ぅんぷ。
前もって結構なぐらいに揺れるとミヒャンに言われてた私だったんだけどさぁ……正直、舐めプだった、まさか此処まで揺れるとは想像しなかったよ。
一応、双眼鏡やトランジーバーは、頑丈そうなストラップで出来ているみたいだったし、私の着けている救命胴衣から飛ばされない仕様にしてある。ぁう……かなりヤバいヤバいのヤンバルクナーかも。うぅ、充分パニクってるわ私。
そんで、こんな極限状態の私を知ってか知らずか、トランジーバーから聞こえるミヒャンの問いかけに応える余裕もなく、
んだけどさ、時間が経つにつれ海はもっともっと荒れて来てて。正直『私を殺す気かぁぁ? あ、ヤるんなら、さっさとヤりなさいよ、化けて出てやるんだかんね』って呪いたくなった。
つーかさ、こんなに揺れてて奴等の船を監視しなきゃダメとか……ま、捕まったら性奴隷は見え見えだから、超必死なんだけれど……ひょぇ~とか嘆いて、ふぇすてぃぼーを堪えながらもプルプルしている腕を持ち上げて、なんとか双眼鏡を覗く。あ、なんか一艘沈んでね?
「ミ、ミヒャン」
『良カタ、てるよサン無事』
「ぅん、あり。つーか、
打ち合わせっつーか、作戦会議的な話をしている時に、船首が0時、時計回りで何時、何時とかミヒャンが言ってたんだけど、んなん覚えれるわきゃね~と却下して、私でも分かる様にしたのが、船首=頭、肩、腰、お尻とゆー風にして、索敵した時の暗号表現にしてもらったのよ。こっちのほーが簡単ってなもんでしょ?
まぁ呆れ顔してたなぁミヒャン……さっきまでガン泣きだったのに、状況の変化に敏感で、即座に思考を切り替える事が出来るって、この子は強いと思った瞬間だったなぁ。私? 私には無理、無理。あんな経験して、助かっても直ぐには立ち直れないわね。
そんな事を思いながら頭に過った単語は「アイアンメイデン・ミヒャン」
ん~、彼女のイメージとして瞬時に浮かんじゃったんだけどさ。これ言ったら、多分“鉄拳”落とされそうだから黙っとく。痛いのは嫌い、あっちに行ってよ、シッシ。
ジュコ
『……ア、ソノ船、沈没デス。ザマミロデス』
ジュコ
「……そ、そうね。因果応報ってヤツね……うひゃぁぁぁぁ、うっぷわぁ」
ジュコ
『て、てるよサン。大丈夫デスカ? てるよサ~ン』
ジュコ
「……うい、でーじょーぶよ……ゲホゲホ。波を被ってビックリしただけだから。少し海水も口に入ったからビビっただけ……大丈夫、大丈夫。ケホ」
いきなし来んな、波ぃ~。そう思いながらジャケットのポッケに入れたあるペットボトルの水を口に含んで、くちゅくちゅ
『てるよサン、チョト問題アリマス』
「え゛? も、問題って?」
こんな状況で問題って、ヤナ予感しかしねぇぇぇ。
『台風イマス』
「……あははは、今、台風~つった?」
『ハイ、台風言イマシタ』
「モーちょい詳しく、プリーズ」
『……台風、船ノ行クトコ、イマス。波、モット大キイ沢山、大変ナるマス』
mjk~ぁ……薄々だけどさぁ、気付いてたよ、うん。輝代さんってば予報士になれっかもしんないくらいに分かってたさ。
うん、これが今の私の運命つーか、宿命てな事っしょ? ハイハイ、もー覚悟決めるっきゃないってのは分かんだけど……いい加減ハードラックがカモンベイベーしている状況に疲れてきた。mjd。
んで、超ため息ついた私の目の前に見えてきたのは、この船を余裕で飲み込める程の巨大な波。
「ナンジャソリャァァァァァァァァァァ!!!」
咄嗟にガシッと柱にしがみ付き、これでもかって位に腕に力を込めて、すぐにやってくる波のドバシャッって物凄い勢いで降りかかる海水の水圧の攻撃に備えて、それに堪える様に全身フルパワーで覚悟する。怖いよー、mj怖い。
つーかさ、何でこんな状況に陥ってんの……私。まっ、今更だけど。
落ち込む事すら儘ならず…泣くに泣けないナウな状況。……だって今の私ってば、圧し掛かる波と込上げて来る“ふぇすてぃぼー”を堪えてる訳で、こんなのって無いよね、mj有り得ないって頭ん中で叫んでる。
つか、感傷どことじゃねーし! んで、敵が追っかけて来てっし! 折角シャワー浴びて、磯臭い下着ともバイバイキン出来た筈なのに、また濡れてっし! 超ずぶ濡れだし! mj超~最悪だよ。 おまけに台風とか……何の因果なのコレ?
威圧面接した彼奴らに『つーかハゲろ、クソ親父共め』とか『ニヤついてんじゃねーよ、キモいんだよ、加齢振りまいてんじゃね~よ!クセェんだよ』なんて思ったから? それとも、私を捨てたアイツに『ンコ踏んづけて、その上に転んで「臭い臭いメンズ」になっちゃえ』なんつー呪念を送ったから? その所為で、私こんなんになっちゃってんの? それよか、飛行機で沖縄に行けば良かったの? バレバレの愛想笑いするCAに、こっちもバレバレの愛想笑いで応えながら、エアポケットで内蔵がひっくり返って「極大ふぇすてぃぼー」に堪えてでも空路を選択してれば良かったって? そんな思考錯乱状態だったんだけど、ガランガコンと云う音がして我に返った私の目の前を大きなゴミ箱が飛んで行く。
「っちょ!」
事件発生つーか、羞恥心の問題発生。飛んでいくゴミ箱から吐き散らかされた中身は……私の磯臭いパンティー&ブラ。略して磯パンが水面へと落ちていくとこだった。おきにの下着が……飛んでいく~。もういいや、どうとでもなっちゃえばいいじゃん。グッバイmy磯パン、ふぉーえばぁぁ。
シルク素材で超気に入っていたのに…水色が清純さを醸し出す…とか店員に勧められるままに買ったオキニの一枚。
よし、ここはお別れの歌でも歌ってしんぜようではないか。
こほん、♪……SAYONARA, すいーとめもりーず、いっつグッバァァァイ。SAYONARA, どんっるっくばっく、どんっあすくわいぃぃぃ……♪……音痴とか言ったらぶっ飛ばすかんね! ん? 何々、英語の発音が?仕方ないでしょって……うっさいよ!
んで、一週間後に築地で競り落とされ、超有名寿司屋の厨房で本マグロの胃の中から出て来るなんて誰が想像出来ただろうね? …ざっけんな! とか、もうね、私の脳内どーなってんの? ってくらい平常心じゃいられないって事よ。誰にツッコまれて、ツッコミ返したのかってのは
それと『充分感傷に浸ってんだろ!』とかも思わないでいいし、ツッコミとかも受け付けないからね!
そうこう考えている間も、相変わらず大波が土砂土砂と叩きつけ、トランシーバーからはミヒャンの声が聞こえる中、必死こきまくって、出来るだけ周りを見ようと顔を上げる私の視界に入る大波の波間に見えるさっきとは違う船の船首部分は直立してたよ。
あ~、あれ逝っちゃったね。藻屑第二号よ
コホン、ま、まぁ、ミヒャンの操舵が上手なんだって事は沈んだ二隻の船をみりゃぁ素人の私だって分かるよ。そうだ、そう……うん。
だってさ、さっきから私達の船は高い波の間を上手にすり抜けていく感じだもん。馬鹿でも分かるわ。
その度に“ひぇ~”だの“うっひょ~”だのの情けない私の悲鳴は抑えられなかったとだけ言い訳しとくわ。mjd超怖いんだって、一回体験してみなさいよ。ちびっちゃうから!
あ……後で着替えよう……うん、な、な、な、波で全身濡れちゃって風邪を引くといけないしね。そ、そ、そそ、そうゆう事なのよ。……うぅぅ、この歳で、おも……いやぁぁぁぁぁぁ。台風~、あんたの所為だからねぇぇぇぇぇぇ。ばっきゃろー。って、私の暴言が届いたのか、押し寄せた大波の飛沫に、また体が打たれる。
とほほ……。
◇
それから、かれこれ4時間以上この状態が続いてんだけど……救命胴衣の下に厚着させられたのは此の為だったのかとミヒャンに感謝しないきゃね。じゃなきゃ私、寒さでやられてたと思う。さんきゅっ、ミヒャン。
なんて感謝してた時もありました。ハイ、もう体力残ってません。mjの限界。朦朧とする意識の中、眩しい光に包まれたってだけは覚えていた。でも、もう無理ばい、バイバイ私の体力。
んで、私は柱の根元にしゃがみ込んで意識をうしなっちゃったんだ。
◇
「……サン!……るよサン、シッカリ下サイ。起キテ、目開ケテ」
ぼーっとする頭で何とか目を開けると、真っ青な顔をして私の頬をペチペチ叩くミヒャンが居た。
「ミ、ミヒャン…痛い…ってば」
「嗚呼、良カタ、嗚呼」
ガシッと私に抱き着き感嘆するミヒャン。
「ごめ、体力持たなかった。えへへ」
抱き返したかったけど、もう何処にも力が入んない。無理。柱に括り付けていた紐とか色々なモノを私から外しながらミヒャンが現状を教えてくれた。
「てるよサン。今、台風ノ目入るマシタ。波、静カ、風モ静カ。大丈夫、安心出来るマス」
「台風の目に入ったの?」
「ハイ」
「や、奴等の船は?」
「マダ来るナいデス。デモ、今、時間アるデス。てるよサン、着替エスル休ム、
「そっか、取り敢えずはここから船内に移動したいんだけど……、動けない……かな……あはは」
「オ任セろデス、私、力
んでね、ミヒャンってばさぁ、すげー力持ちでやんの。男も真っ青ってね。もし、ミヒャンが男だったら惚れて……ないな。うん、百合ちゃんぢゃないしね私。
まぁ、お姫様ダッコされちゃってるんだけど、て、照れるよね。私の名前は輝代。テルヨ、テレテルヨってうっさいよ!
なんつー事を考えている私を気遣いながら、ミヒャンはシャワー室につくと一旦私をそっと下ろし、
「あははは、いつもすまないね~」
「エ?」
「だはっ! 何でもない何でもないよ」
まぁ、オヤクソク台詞言っても滑っただけだった。およよ。
んで、ミヒャンが介護してくれながら二人して、ひと時の安寧? リラックスタイム? をスタートしたんだ。彼女が言うには小一時間は台風の目に入ってるらしいから、その間に私は体力回復を優先してってさ。いい子だよぉぉぉ。
さっぱりして、新しい服にも着替えた私達は倉庫に積まれていた食料の中から簡単に調理できる食材? んと、レトルト系とかを見っけてソレを食べていた。
「ん~、栄養が、栄養が体に染みわたってくよぉ」
ってな感じなんだけど、まぁ味はイマイチ。この際味とか、好みとか言ってらんって~のよね。分かってる、うん。
ただ、ミヒャンが嬉々として食べていた韓国のインスタントラーメンの「超辛々」とかのパッケージだったかな。あれは無理、目がシパシパしちゃって、もう、あれは兵器と言ってもいい位。
んで、ふと思い出した訳。私も唐辛子パウダーをヤツ等にぶっかけだじゃん? これよかもっと痛くてヤバかったんだと思う。だってさ、近くにいるだけでシパシパってなるんだよ? ダイレクトに目に入った奴等は……考えるだけで身震いしちゃうわコレ。
でも、私を襲うとしたんだし、天誅天罰で執行人は私だったって事。あんな下衆共は当然の報いってもんよね。OK,OK、OK牧場ってなものよ。
そんな食事も終わって、ペットボトルのお茶をクピクピ飲んで、心も体もリラックスのマックスで大分体力も回復してきたって思ったし、なにせ疲労とストレスがパなかったからさ。台風の目様様のお代官様よ。東山の金さん、大岡の越前さんって事よ。ん? 時代劇好きですけど? 何か? ちょんまげ舐めんなよ? 日本の心よ? まぁ私はちょんまげしないけど、古き良き日本の文化なのよ! そこのトコロはちゃんと理解してよね?
とまぁ、私の明後日方向へ脱線する思考も絶好調になったつー事で、ミヒャンと二人で甲板に出て来た。
そりゃ、台風の目に入った経験なんてないしぃ、初体験つー貴重な時間を目で確かめてみたいってね。
そんで、船首から見渡す海は静寂そのもので、私ってば言葉を失うって云うの? そんな風に感動しちゃってた。
「うわぁ、これが台風の目の中なのか……すごいんだけど。私ってばmj感動ちゃんしてるんですけどー」
「私モ初メテ入ルまシタ、凄イ」
「だねだね、本当に雲一つないんだね~、つーか波迄チョー静か。ベタ凪ってヤツね……でも、彼方に見える雲はヤバすぎっしょ」
「ハイ、アソコ今カラ行くアリマス。船、沢山動クデス。モットモット大変アリマス」
「はい?」
「向コウ」
ミヒャンの指さす方角を見るけど、大して他と変わらない暗雲が立ち込めているだけ。
「そっちがどうしたの?」
「向コウ、台風一番
mjkぁぁぁぁぁぁぁぁ
「で、何で指さしてるの?」
「島、見エるマス」
ん? 身を凝らすと微かに島影らしきものが見える……気がする。
「あの島がどうしたの?」
さっきから質問しかしてないけど、分かんないしこれは聞かなきゃ、後で飛んでも10分歩いて10分的な目に合うのは確定事項だからね。“聞くは一瞬の
「避難スル事、可能デス」
「だ、大丈夫そうなの?」
「分カラナイ、デモ行ク
mjk、まぁそうだよね~、取り敢えず行ってみなきゃ分かんないだしさ。このまま台風の目の中でのんびりなんて無理だろう。その内、燃料が切れて身動き出来なくなって、最悪、大荒れしてるトコがやって来て、高波に飲まれてちゃって、沈んで、海中へレッツラゴーのお陀仏、南無阿弥陀仏の仏ちゃんになるか、島を目指して生き残る可能性を天秤に掛けるんだったら、絶対に後者を選ぶでしょ。mjdハードラックかもんべいべー状態継続なんだけど、行くっきゃないでしょ、コレ。ここはポジティブ思考でポジポジしなきゃ生き残れないって。
「悪イ人ノ船、マダ来るナイデス。チョット時間休ンデ、行くマス」
「しょ、正直、また台風の中に入るのは勘弁だけっどさぁ……はぁ、行くっきゃないんだよね……mj凹むわぁ」
「今度、大丈夫デス。てるよサン、外居ない。私ノ横居るマス」
「え?見張りは?」
「必要ナイデス、島ニ向カウ。悪イ人、船、見エナイだカラ、てるよサン安心スるマス」
おおおお、mjdか! もう、大波を怖がりながら必死こくのはしたくない。いやぁ、船内に居れるって、命の心配はしないで揺れに堪えればOKOKって事でしょ? 輝代さん、もう少しだけ頑張れる気持ちが湧いてきちゃったよ。うん。
◇
と思っていた、あの時の私は浅はかだったと後悔先に立たずで残念大将照代さんって事を忘れちゃってたさ。うん。絶賛チョー荒れ狂う波にギャァギャァと悲鳴を上げて、お鼻と涙で顔面大洪水だってばさ。
そんなチョー煩い私を他所に、操舵するミヒャンの表情も焦りが滲み出ていて、1ミリの余裕もないって感じだった。
島は目の前で、崖の間に砂浜が見える。そこへ真っ直ぐに向かっているんだけど、波は未だに大荒れで、近づいて気が付いたんだけど、見えた砂浜は崖に挟まれた向こう側にある。だからこのまま真っ直ぐに行くって事なんだと思う。我武者羅に強行? 上下左右に揺れる船をどうにかその崖の間に差し掛かったタイミングでミヒャンが叫んだ。
「てるよサン、
次の瞬間。『ガガガガガガ』って船体が岩に削られるような大きな音と衝撃が私達を襲ったんだ。
そんで、これもオヤクソクなのか、揺れの衝撃に耐えられなかった私は、共にバランスを崩して操舵室の壁に頭をシコタマぶつけて気絶しちゃった……テヘペロ、……ゴチン! いっ……。
二度目の衝撃音と揺れを感じながら、私の意識は遠のいていったのよ。
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