#08 症状

あおいさ〜ん?大丈夫ですか〜?」


 何か声が聞こえて、テレパシーをやめ、意識を戻す。


「あぁ。ごめんなさい。どうしたんですか?」

「症状の説明をしますので、こちらの方にお願いします。」


 と、診察室の方に促される。



 診察室には、いろんなものが貼ってあった。彼女の体の状態やX線写真、症状の一覧表や、異常状態の説明書等等、さまざまな紙が貼られている。


「はい。えーと、彼女さんのことなんだけど。まず能力持ってるの知っているよね?」

「は…はい。知ってます。」

「わかった。ok。じゃ症状についてなんだけど。“メカニカラー”の機械での生命力の低下と、衰弱だね。」

「…。」


 いきなり情報量が多い。わからないのがたくさんある。


「ちょっと待ってくださいね...。」


 テレパシーを繋ぐ。


『解説してくれ。』

『え〜。めんど。』


「大丈夫かい?」

「ああ。大丈夫です。続けてください。」


『メカニカラーは機械製の能力を作っている組織です。全部番号がついていて、GPS機能も付いていて、結構高性能なはず。』


「まず、能力を使用したときに消費した生命力は、13%。全体の1割ほどね。で…彼女さんが今まで、能力をどれだけ使ったかわかる?」

「えと…わかりません。」

「今までに使ったのは、3割程。生命力は回復するのはかなり遅いから、残っているのは5〜6割ね。」


『生命力。よろしく。』

『はぁ。生命力は簡単に言えば、HPです。ゲームと違って自然に回復しますけど、1日に2〜3%程度しか回復しません。』


「はい…。」

「でも、普通の人は生命力がそんなに減ったりしないのね。まぁ簡単に言えば、体の残りってことね。」

「…?」

「彼女さんは体が4〜5割無くなったのと同じってこと。」

「ということは…動くのは、回復を待つしかない…?」

「そうなるね…。」

「早く回復する方法はあるんですか?」

ない。フラッターが開発するかどうかだなぁ…。」


『フラッター、よろしく』

『今日の朝聞いたじゃないですか...。能力の研究をしている組織です。人間と能力者の共生を目指しているらしいですけど。』


「今開発しているんですか?」

「今頑張っているんじゃないかなぁ。情報が少なすぎて、よくはわかっていないんだけどね。」

「なるほど…。」


 そうして、話を終え、なぎさ先輩の元へ行く。

 その病室には、ベットに横になっていて、呼吸器をつけたなぎさ先輩がいた。生命力が回復するまでは、意識は回復しないし、傷の治りも遅くなるらしい。


『どう思いますか?』

『なにがよ。』

『その人の能力のことです。多分嘘ついてますよね?』

『そんなこと今じゃなくていいだろ。その話は、先輩の意識が回復してからだよ。』


 先輩の容態を確認した僕は一度家に帰ることにした。


「ただいま〜。」

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