#07 真偽

「大丈夫ですか!!」


 そう言って先輩に近づく。

 脈を確認する。いつも通りの脈をしている…が、体温が高すぎる。


「何が起きたんだってんだ...!?」


 そうして、救急車を呼ばせ、来るまでに、できる限りの応急処置をする。


 数十分後、救急車がきて、なぎさ先輩は搬送。男はその後すぐにきた、パトカーに連行されていた。

 今は、先輩が乗っている救急車に乗っている。すると、今日の朝聞いた懐かしい声が聞こえた。


「あの…あおいさん?お言葉ですけど…いく病院は、決めてるんですか?」

「?…なにも伝えてないけど。」


 【脳に直接語りかける能力】で返事をリンセとする。


「…佐藤病院に向かってください。そこでは能力関係の診察をやってくれます。」

「なるほど。ありがとう。」

「いえいえ。」


 と、助言されたので、佐藤病院に行って欲しいとお願いする。

 先輩の苦しそうな顔は初めて見た。でももう見たくはないかな。



 そして、佐藤病院に着いた。先輩は連れて行かれ、僕は待機となった。ということで、気になったことをリンセに聞く。


「どこにいるの?」

そらにいますよ?」

「じゃなんでテレパシーが繋げれんの?」

「あぁ…。君はまだ完全な模倣はしてないわけだ。」

「?」

「つまりね、私が持っている能力の方が強いんですよ。」

「それはテレパシーがつなげる理由ではないような…?」

「このテレパシーは私のリクエストです。私のテレパシーは君に話しかけることができるよね?そして、君の能力でも私に話しかけれるよね?」

「…なるほど……。と言うことはLineと同じ感じのことをしてるってことか。」

「電話っぽい気もしますけどね。…あとは聞きたいことはありませんか?」

「なにその質問を待っている感じ。うーん……。あ。」

「何かありますか?」

「先輩の能力…。」

「ふふ。それです♪」

「えーと。【透明化】と【筋肉強化】だっけ。というか、リンセ見てたの?」

「はい。それはもうバッチリ。ピンチになったら、手助けをするつもりでした。」

「マジか...いるのがそらだもんね…。そりゃ見えるわ。」

「ふふ。かっこよかったですよ?あの、回し蹴り。」

「やめてくれ…。というか脱線したな…。なんだっけ、能力についてだっけ?」

「はい。まずは、【透明化】についてですが…。あのなぎさっていう人帽子かブレスレットって言ってましたよね?」

「うん、そうだけど...。」

わかりますか?」

「え…?えーと。……わかりません。」

「じゃ、予想してください。」

「えー。【透明化】が帽子で、【筋力強化】がブレスレットじゃないの?」

「はい。私もそう思いました。でも、確信はないですけど、多分ちがいます。」

「なんで?」

「まず一つ目。電車内で帽子かぶっていましたよね。」

「あぁ。」


 俺がからかおうとした時だ。


「でもブレスレットもつけてたよね?」

「はいそうです。それだけ大事ということです。」

「あぁ。なるほどね…。」

「でもそのあと、腕を掴まれ、引っ張られている時、あおいさんの助言で、位置を伝えるために帽子を投げましたよね?」

「…。」

「あんなに大事な能力の核を投げ捨てるのは、おかしいと思うんです。」

「でも、緊急事態だったから…。」

「じゃ、二つ目。…彼女、左手にブレスレットつけてましたよね?」

「うん…。殴ったのも左手だった。」

「そこです。」

「へ?」

「彼女の利き手はどっちですか?」

「えーと、右手…です…。」

「ということはですよ。彼女は【筋力強化】の能力で、殴るのに、わざわざ利き手ではない、左手で殴ったんですよ?」

「でも、利き手が右なら、左手につけるはずじゃないの?」

「能力はつけたら、体全体に付与されるように、なっていたはずです。あの機械製のは。」

「うーん。謎だなぁ。」

「結果的に、能力を付与する機械を持っているのに、それをまるで知らないように動いていることがおかしい点です。」


「本当、どうなってんだ…」

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