エピソード 負けなしの城 〜エヴェン〜

 街を抜けた先に広野にはがあり、そこをさらに進むと大きな城が見え出す。

 万縁の中央に聳え立つ幻想的な石造りの城——

 通称 負けなしのエヴェン


 ある日、その国の城上にどこか分からない場所から、石が落ちてきた。


 国の中心たる城が潰れたことにより、城内、否、国内が大騒ぎとなった。


 数日後、この国の王がその石をどうやって退かして城をもう一度建てるか悩んでいると、このことを預言していたと自称する者が現れた。


 その者は言った。


『これは神が切り、天から落とされたという物であり、神の与えてくれた恵です。上手くお使いなさるように』


 王はその言葉を信じ、ならばと、その石の中に穴を開け、城を作った。


 数年後、その石は城となる。


 その国は、五〇〇年——その石から城を作ってから戦争負けなしとなったそうだ。

 その石はそれから通称、神が切り落とされたエヴェンと。


 城はその石の名前からもじって、

 負けなしのエヴェンとなったのだった。

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