第38話 ウミ&ソラ(チャット)&ギルドのお姉さん


 ぴこん。


 突如、チャットの着信音が鳴る。


「あ?何だよ、この訳わかんない時に!」


 まあ、相手はソラ以外、考えられないので、ぶつくさ文句を愚痴りつつもチャット表示をONにする。


 まあ、メールじゃなくてチャットとか緊急案件かもだし、しょうがない。


 チャット表示された途端に目に入る罵詈雑言。



『兄にぃ!何してくれてんの!?このクソ忙しい時に、なにイベントフラグ立ててんのよ!?馬鹿なの?死ぬの?』


「は?」



 突然の妹からの罵倒に頭が追い付かない。



『何なの!?この新世界への架け橋って!』


『は?なんでそらがその事知ってんだ!?』



『知ってるも何も、突然、目の前に表示されたんよ!兄にぃが何かしたとしか考えられないじゃん!』


『うぐ、全くもってその通りなんだが、こっちとしても唐突に起きた出来事だったんだ!僕も未だに混乱してて訳が分からん。取り敢えずダンジョンアタックは一旦中止して、そっちに合流するよ』



『わかった。ちゃんと説明してよね!』


『説明…説明か…訳が分からなすぎて何を説明すればいいのか、よくわからんのだが…』



『い・い・か・ら、兎に角、早く戻って来て!』


『了解だ』



 チャットを終えてギルドの人に持ち帰ってもらった案件の先延ばしをして貰わなくてはならなくなったので、僕は急いで探索ギルドに向う。



「すみません、少しよろしいでしょうか?」



 対応してくれのは先程も対応してくれたお姉さんだった。



「なるほど、その件でしたら、しばらくお待ち頂く事になりそうでしたので、寧ろ良かったのではと。解答の成否に関しましては、掲示板にお貼りしておきますので、都合の良い時にでもご確認下さい」


「あ、本当ですか?なんだか重ね重ね申し訳ありません」



「いえいえ、これも仕事ですから」


「それでも、ありがとうございます!」



 嬉しくなって思わずニッコリ笑顔を向けるとお姉さんが笑顔のまま固まってしまった。


 隣りを見ると他の受け付けの人や仕事の報告に来ていた探索者らきし人達まで固まっている。



「ん?」



 不思議に思い首を傾げると目のあった隣り人が赤面する。


 よく分からんと思いつつお姉さんに向き直ると何故だか、お姉さんも赤面していた。



「可愛っ…」


「はい?」



「ゴホン!し、失礼しました。ではソラ様、またのお越しをお待ちしております」


「あ、はい。ありがとうございました」




 こうして、後ろ髪を引かれつつも、僕は折角やって来たカイロ古代遺跡都市を後に空との合流場所であるガンマリン沿岸都市へと急ぐのであった。


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