双子無双～過剰戦力な双子のお嬢さんは好きですか？～

第39話 ウミ＆ソラ

　数時間後、僕は幾つもの都市を跨いで現在進行形で復興状態にある沿岸都市に来た。

「あ、ようやく来た」

「いや、ようやくって…これでも結構急いだんだけど」

「まあ、いいわ。兎に角、兄にぃ、説明を…」

「ん〜だから、説明つってもなぁ〜」

「………」

「ん？どうした空音？何かあんの？」

　何か僕の足元ら辺を凝視している空音の視線を追って右足下ら辺から更に後ろを振り返って見たが、別に何もおかしなものは無さそうだった。

「何？何かあんの？」

「兄にぃ、誰、その幼女、何処で攫ってきたの？」

「は？幼女？攫ってきたって何！？」

「は？何、言い逃れしようとしてんの？その子だよ！その子！タマルちゃんと言い、兄にぃは、どんだけ幼女、引き寄せてんの？ロリコンなの！通報するよ？」

「いや！何処に通報するんだよ！それに、さっきから言ってる事が意味不明なんだよ！何だよ、幼女って！何処にいんだよ！」

「何処って！兄にぃの足にしがみついて…」

「は！？いや、居ねぇわ！つか、居てたまるか！怖ぇよ！マジで！」

　空音（そらね）の言（げん）に思わず本気で足を振る。

「あっ！」

「いや、『あっ！』ってなんだよ！？何か飛んで行ったみたいに虚空を見つめんな！マジで止めろよな！そういうの！」

「え？いや、だって幼女がぁ〜ほァァァァ〜ライドオーン！！」

「何だよ！幼女が、ほあああライドオンって！！意味不過ぎて話しに全くついていけねぇよぉ〜！！」

「え、いや、その、ね、ねぇ、兄にぃ、もしかして、その、もしかしてなんだけど、何か幼女の霊とかに取り憑かれる様な事した覚えあったりとか……する？」

　そんな事を言いながら、顔を青ざめさせてジリジリと後退（あとずさ）る空音ことソラちゃん。

「いや、ねぇわ！何だよ幼女の霊って……ん？幼女？」

「え、と、うん。あのね？今ね、兄にぃの肩に、その幼女が肩車されてるのだけど……」

「いや！マジで止めろよ！そういうのマジで苦手なんだから！！」

　そう言って頭ら辺を両手でわしゃわしゃする。

「あ、今度はおぶさった。凄いよ兄にぃ！その子軽業師みたい！」

「いや、マジで怖ぇんだけど！！」

　ブンブンと身体を激しく振り回す。

「あ、消えちゃった」

「え？マジで！？ほっ、良かったぁ〜」

「何だったんだろうね？あの子」

「知らんよ。まあ、心当たりは、うーん。あり過ぎるけど…」

「あ、あるんだ、それは」

「うん、まあ。それもさっきのイベント絡みなんだと思う」

「なるほどね。で？何があったの？」

「うーん。まあ、話しとしては、非常に長〜くなりそうな、大して長くもないような？自分で言っててもよく分からんのだけど、まあ、簡潔に纏めると、幼女を助けたら、憑かれたみたいな？そしたら唐突にイベントが発生した…的な？」

「なるほどね！さっぱり意味わからん！！」

「ほんとそれ！マジで意味不な訳よ。そんな訳で、僕にも詳しい説明が、一切出来ません！悪しからず」

「はぁ〜、兄にぃ」

「何？」

「今後一切、単独行動禁止ね」

「んな！何でだよ！効率悪いだろ？」

「兄にぃが、状況改善しよう何かする度に、ウチらだけじゃ手に負えない自体が起きるくらいには、状況が悪化してんの！わかる？」

「だけど、ダンジョンを放っとくのは不味いだろ？実際チョロっとだけ入ったけど、地元住民だけじゃ手に負えないのも居たし」

「だからって、何でもかんでもウチらだけじゃ解決出来ないでしょうが！それに地元住民の人達だってバカじゃないんだから、ヤバそうなら手は出さないだろうし、慎重に事を進めるでしょ？」

「まあ、そうか…な？」

「だから、今はイベント進めない様にして、目の前の問題を先に解決するのが先なの。なので兄にぃも、こっちの手伝いして」

「だけど僕、医療関係は何も出来ないぞ？」

「瓦礫の撤去作業とかなら、兄にぃにも出来るでしょ！少しは自分の頭で考えてよ…もう」

「お、おう。すまん」

「とりあえず、救援委員会の本部に兄にぃ紹介するから一緒に来て」

「ふぇ〜い。はあ、やれやれダンジョンは暫くお預けかぁ〜。トホホ」