第37話ソラ&ルールー

 一方その頃、ソラはルールーと2人忙しく街中を走り回っていた。



 他にも多くの薬師や治療師も来ていたが、街中の怪我人が多すぎて治療院だけでは入り切らず、あちらこちらの大きめな屋敷が簡易治療院として開かれていたのだ。


 なのでソラもルールーも1箇所で治療という訳にもいかず何ヶ所も行ったり来たりを繰り返しては治療と薬剤製作に追われていたのだ。



 特にソラは自前のチートスキルで建物内の衛生管理機構を構築しては設置したり、もう助からないと思われていた患者を回復させ、心肺停止していた患者までも数人だが回復させていた。



 そんな忙しく動き回っていたソラの目の前に突如として現れたスクリーン表示にソラの視界は奪われる。




 _______


 エクストライベント【新世界への架け橋】


 この失われた世界に新たな世界の構築を…

 あなた達にはその架け橋となる素質が見出されました。

 さあ、この失われた世界に誰も見た事の無い新たなる風と創造を。

 それこそが【Genesis World】の真なる命題なのだから…

 _______




 正面の視界を突然奪われたソラはそのまま目の前にいたルールーに激突していた。


「あだっ!!」


「痛たァ〜!!」



「ちょっとソラちゃん!何なのよ突然〜」


「いたた。ごめんなさいルールーさん」



 2人して尻もちをついた状態でルールーはソラにしては珍しい失敗をしたなと感じていた。



「どうしたの?らしくない」


「いやぁ〜、なんと言うか不慮の事故が…いや、予想外の時と予見し得ない出来事が目の前に広がっておりまして…」



「……何を言ってるの?ソラちゃん」


「あ〜その、何と説明していいのやら」



 目の前のスクリーンも予想外だったが、そのスクリーンに表示されている内容も予想外も予想外、正に予見出来ない内容そのものだった。



 何?新世界への架け橋って?失われた世界?新世界の構築?失われた世界の再構築じゃなくて?



 ありとあらゆるものが予想外過ぎる上に意味不明だった。



 何なのこれ?



「ソラちゃん?」



 ルールーさんの呼びかけに私は意識を戻した。



「ルールーさん、ちょっとすみません。ちょっと緊急で…今から兄にぃと連絡とって……えーと、ウミちゃんと連絡して来ますね」


「は?連絡?ウミちゃんと?ウミちゃんって今アルファ村に居るんじゃないの?」


「いえいえ、兄にぃは今、…いえ、ウミちゃんは今、カイロ古代遺跡都市って処の遺跡探索にいってます」


「はぁ?カイロ古代遺跡都市ですって?アルファ村より遠いじゃない!?手紙でも書くの?」



「ま、まあ〜似た様なものです」



「そうなの?でも緊急なんでしょ?間に合うの?」


「えーと、それは……問題ないです」



「…ふうん。そう、それなら良いけど」



「そ、それじゃぁ、ちょっとだけ抜けます!」



「ソラちゃん!なるべく早く帰ってきてね!こっちは、まだまだ手が足りてない状態なんだから!」


「わかってます!最速で行って帰ってきます!」



 そう言って私は1度、現在ルールーさんと一緒に寝止まりしている宿の部屋へと戻った。

 はっきり言って、落ち着いてチャットしないと今でも気持ちが暴走しそうだよ!



 こっちが大変だって知ってる癖に、突然イベントフラグ建てるとか!



 何しちゃってるわけ?兄にぃ!!


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る