第36話ウミ&幼女??&厳ついオッサンズ
「………うん。これはどう見ても事案ですね。お巡りさ〜ん!こっちです!!」
「誰だ!」
一斉に振り向くガタイのいいオッサンズ。
うわぁ〜。どう見ても堅気の方々では無さそうですね。
そんな事を思いつつもどうやって幼女を助けようか悩んでいると唐突にオッサンズがジロジロと人の事を何度も上から下まで舐め回す様に見てくる。
……何だろう。凄くゾワゾワする!!
産まれてこのかた1度も経験した事の無い視線に晒されて僕は身震いをした。
「何だ?商品がわざわざ攫われに来たのか?」
「ガハハハ!ちげぇねぇ!」
「よく見りゃべっぴんさんじゃねぇか。売りに出す前に味見してもいいよなぁ?」
「いいんじゃねぇか?」
「げへへへ。たまらんなぁ〜」
下卑た感じでお喋りし出すオッサンズにゾワゾワが止まらない。
「キモっ!!」
自分の両肩を抱いて身震いしつつも思わず叫んだ僕は悪くないと思います。
何だ?このオッサンズ、ゲイ集団なのか?男の僕に気持ち悪い視線で迫ってくるとか!
押さえ付けられてる幼女はどう見ても格好は幼女だけど、実は幼女の格好した男児とかなのか?
等と思考していたらワラワラと男臭いオッサンズに囲まれてしまった。
「もがんんが〜」
すると幼女?が口を押さえ付けられたまま抵抗していた。
……抵抗してるんだよね?
何か喋っただけとかじゃないよね?
全くジタバタもしない幼女?を見て心配になる。
何か幼女?が、ただただ僕をガン見してくるのだ。
それは、助けてってことだよね?
全く幼女?との意思疎通出来ない。
まあ、口を塞がれてるから意思疎通も何もあったものでは無いのだが、初対面だし仕方がない。
この際、幼女だろうが男児だろうがどうでも良いだろう。
取り敢えず色々考えるのは救出してからにしようそうしよう。
等と更に思考に耽っていたら後から汗臭いオッサンが僕を羽交い締めしようとしてきた。
のでキモイけどオッサンの腕と胸ぐらを掴んで一本背負いしたった。
ズドン!!
「うぎげぇ!」
潰れたカエルの様な声を上げて気絶してしまったオッサンは地面に半分めり込んでいる。
「あれ!?なんで!?」
自分の一本背負いの余りの威力にビビっていると
「てめぇ!このクソアマァ〜やりやがったな!!」
と一斉にオッサンズが飛び掛かってきた。
右手側から手を伸ばして来たオッサンを躱して反射的に裏拳をかますとオッサンは吹っ飛んで壁にめり込んだ。
「はぁ?なんで?」
疑問の答えを探す暇なく更に次々に襲い掛かるオッサンズに裏拳、正拳突き、回し蹴りやカカト落とし等で瞬時に対応する。
そして結果としてオッサンズは皆、吹っ飛んで行ったり地面にめり込んだりした。
「あ、ヤバ」
今更になって今の自分のボディが空音の創ったウミアバターだった事を思い出す。
「はぁ〜。このアバターでの対人戦なんてして来なかったからなぁ。人間相手の手加減って本当に難しい……もしも〜し、皆さん生きてますよねぇ?」
ぺちぺちとその辺に転がっているオッサンズの顔達を叩きまくる。
「ゔゔっ」
良かった皆一応生きてるみたいだ。
しかし、オッサンズの舐め回す様な視線。
気付いて見れば納得だ。
まあ、控え目に言っても可愛いしな、このウミアバター。
世の中の女性はいつもこんな虫酸が走る様な視線に晒されてるのか?
怖っ!!
男、怖っ!!
って僕も男だった。
うん。確かに僕も綺麗な人とか色々育ってる人見たら多分無意識に見ちゃいます。
全国の女性の皆様!
男性代表としてここにお詫び申し上げます!
よし!気を取り直して次行こう!次!
またしても思考の坩堝から帰還した僕はチラッと幼女を押さえ付けてるオッサンを見る。
もう幼女の口を押さえ付けてるオッサン以外は皆撃沈させてしまったようだ。
僕に見られた幼女を押さえ付けてるオッサンは脂汗を流しながらガタガタ震えていたが、唐突に幼女の口から手を離し、腰からナイフを抜き取り幼女の首に当てて叫びだした。
「おい!そこのアマァ!このガキを殺されたくなかったら大人しくしやがれ!」
まるで形勢逆転だとばかりに脂汗を流しながらニヤニヤし始めるオッサン。
本当に気持ち悪い。
そしてそんな気持ち悪いオッサンに抱えられている幼女はナイフを首に当てられいるのにも関わらず、じっと僕を見つめ続けていた。
イヤなんで?
なんで幼女なのに、そんなに落ち着ついてんの?
なんかサトリでも開いちゃった感じですか?
まあ、変に抵抗されて怪我とかされても困るから助かるけど…
等々激しく突っ込み要素満載幼女だけど取り敢えず、あの幼女を助けてからオッサンズとはオ・ハ・ナ・シする予定だったので、僕は「はぁ〜」と溜息を履いて一瞬でオッサンの間合いに入った。
突然目の前に来られてオッサンの目は見開かれていたが幼女は一切動じていないようだった。
離れていた時同様、じっと僕を見つめ続ける幼女がそこに居た。
イヤ、逆に怖ぇわ!
そう思いつつ瞬間、僕はナイフの刃を指でパキりと折り捨て、速攻で幼女を奪還し、その後オッサンにデコピンを喰らわした。
パコーン!!
裏路地だったからか、デコピンの響きの良い音が周辺の建物へと高らかに反響する。
とオッサンは白目を向いてお倒れ遊ばれた。
「どうか安らかにお休み下さい」
オッサンに弔いの言葉を投げかけ僕はそのまま幼女を地面へと降ろす。
まあ、オッサンはピクピクしてるので死んではいないのだが。
「さて、お嬢ちゃん……で良いのかな?状況の説明は出来るかな?」
地面へと降ろされても、じっと僕を見つめ続ける幼女に対し年上の上から目線でお伺いを立ててみる。
すると幼女はニコリと愛らしく微笑むと突然身体を光の粒子へと変貌させ僕の中に吸い込まれていった。
「なっ!なっ!なっ!」
余りの唐突で不可解な出来事に「なっ!」しか出ない僕に更なる衝撃が訪れる。
突然に目の前にスクリーンが現れ文章が表記される。
内容は……
_______
エクストライベント【新世界への架け橋】
この失われた世界に新たな世界の構築を…
あなた達にはその架け橋となる素質が見出されました。
さあ、この失われた世界に誰も見た事の無い新たなる風と創造を。
それこそが【Genesis World】の真なる命題なのだから…
_______
「んなんじゃこりゃあぁーーー!!!」
意味もわからず僕は叫んだのであった。
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