第33話ウミ&受付嬢&ギルド長
「貴女は…何をしているんですか」
「え?」
受付嬢さんにめっちゃ注意された。
別に暇つぶしでからかった訳では無いし自分の身は自分で守れるから問題無いのだけれど。
まあ、心配してくれたという事で素直に謝った。
「はあ、まあ無事なら問題ないです。えーと、すみません貴女のお名前は?」
「あ、ウミです」
「そうですか。ではウミさん、こちらの方が貴女のお仕事の斡旋をしてくれます」
「はあ?どういう事かね!ミレイ君!」
「いえ、私の手には負えない案件だと感じまして、是非ギルド長に対応していただきたいと」
「この子がかい?私にはそうは見えないが」
「貴方の目は節穴ですか?むしろ節穴にしてやりましょうか?」
「恐ろしい事言うな!」
「あ、あのー」
「何かね!」
「ダンジョン…いえ、古代遺跡に潜れる許可は貰えるのでしょうか?」
「何処の都市の学生だ?学術ギルドのサポートは間に合っているんだが」
「いえ、学生ではないです」
「ん?学生ではない?ならギルド員なのか?何処のギルドだ?」
「狩人ギルドです」
「狩人ギルド?お前の様な小娘がか?はははっ!話にならんな!」
「え?でも斥候役があるって」
「斥候役は危険性が高い上に、失敗すれば後続の危険性が増す。貴様の様な責任も取れない小娘が出来る仕事ではない!」
「な!」
〈side ミレイ〉
うわっ!学生じゃないって言った時点で気づけないとか!
流石は節穴ギルド長!
終わったな。
「ギルド長、私知りませんからね」
「何がだ」
「あの子、多分貴族の娘ですよ」
「なんだと!?」
「馬鹿なんですか?どう考えてもそうでしょう。あの歳で学生じゃなくてギルド員って事はスラムの子供か家庭教師が付けられる貴族の子でしょう。で、ギルド長にはあの子がスラム街の子供に見えるんですか?」
「そんな…馬鹿な…」
「まあ、責任者は責任取る為に居るんでしょうし、それが自分がやらかしたものなんですから自分の蒔いた種はご自分で刈り取って下さいね」
ダラダラと大汗をかいているギルド長にほくそ笑む。
ふふ。いい気味だ。いい加減このギルド長のパワハラにもウンザリさせられていた。
この機会に何処か飛ばされてくれないだろうか。
すると突然ギルド長がウミ嬢に猫なで声で語り掛けた。
キモイ!
「ああ!お、お待ち下さい!お嬢様!お嬢様にピッタリな案件がごさいますですはい!」
「お、お嬢様!?」
ギルド長の余りに唐突な手のひら返しにウミ嬢が引きまくっている。
「は、はい!斥候はその危ないですから難しいのですが、此方の探索グループのサポート要因等は如何でしょうか!」
「は、はあ。入れるなら何でもいいですけど」
「ありがとうございます!では、此方にお手続きをお願い致します!それと、この探索グループは明日の朝9時に出発予定でごさいますですはい!」
「はあ、どうも。メンバー表とか相手が分かるものはあります?」
「はい!勿論でございますとも!此方の相札をお持ち下さい!」
「あ、どうも」
「それでは!お気を付けていってらしゃいませ!」
引き続き引きまくっていたウミ嬢は引き攣った笑顔で探索ギルドを出ていった。
マジでウケるんだけど!
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