第31話ソラ&ウミ&門番

「それじゃあ、行ってくる」


「うん。行ってらっしゃい兄にぃ。気をつけてね」


「ああ」


 あの日から20日程たった。

 あれから、僕はダンジョン探しを開始していた。


 予想としては階層の変わりに1都市毎にエリアボスが居たのだから、1都市を1階層で考えた場合、第5階層事にダンジョンがあるはず。


 なので、デルタワー学術都市とカイロ古代遺跡都市の2箇所にダンジョンがあるのではと予想しているが、必ずしもそうとは限らないので、とりあえず初めにその2箇所の街へ行き、最近急に変化のあった事はないか情報収集していた。


 ただ、思い込みで他にあった場合、大惨事なので一応、他の都市でも聞き込みをし、情報収集を徹底したので結構な時間がかかった。


 すると予想通り、デルタワー学術都市の総合図書館が無限に広がりを見せる無限書庫と化し、本の化け物が徘徊する様になったらしい。そして、カイロ古代遺跡都市の古代遺跡からも突如、人と獣の混じりあった化け物が出没する様になったという情報を得た。


 問題があるとすればどちらから攻略すべきかだ。


 そのどちらも、この世界の進歩と生活向上に関与しているのだが、学術研究の遅れと過去の遺物の発掘と研究。


 なんか考えたら今すぐその街の人達の食いぶちに影響を与えるのは、カイロ古代遺跡都市の方だなと結論づけ、今日カイロ古代遺跡都市のダンジョン攻略をする事にしたのだ。


「と、言う訳でやって来ました、カイロ古代遺跡都市!」


 さて、遺跡ダンジョンはどこかいな?


 街の中心付近へ近くと巨大な囲いで覆われた場所に行きあたる。


 学者や探索者っぽい格好をした人達がちらほらと見受けられる。


 囲いの門らしき場所を見つけ門番らしき人に声をかける。


「すみません。遺跡はここから入れるんですか?」


「ん?何だ?嬢ちゃん。誰かのお使いか?」


「えーと、そう言う訳ではないのですが、ちょっと遺跡に入りたくって」


「何だ?嬢ちゃん探索ギルドの人間か?ギルド証は?」


「え?あ、はい。コレです」


 ギルド証を手渡すと、門番らしき人は燻げに顔を顰め、受け取って免許証を見る。


「嬢ちゃん。警告しておいてやるが、ギルド証は財布でもあるんだ、おいそれと人に手渡すと盗まれるぞ」


「え?でも自分以外使えないんですよね?」


「そりゃそうだが、何事も裏技ってのはあんだよ。それにギルド証は闇市とかでも売られる事がある。肌身離さずに……なんじゃこりゃ?狩人ギルドのギルド証じゃねえか!ほれ!返すから帰った!帰った!」


「え?なんで?」


「ここは、探索ギルドの人間以外は入れないだよ」


「ええ!?嘘でしょ!」


「嘘付いてどうする。さあ、お嬢ちゃんいい子だからさっさと帰んな!」


 まさかの入場拒否された。


「マジかΣ( ̄□ ̄;)!!」


 さて、どうするか。


「あれ?でもおっちゃん!あの学者ポイ人達も探索ギルドの人なの?」


「ありゃ、探索ギルドから依頼された学者だろうが。そんなんも知らないで来たのか?嬢ちゃん」


「あはは、今日着いたばかりなので。ちなみに探索ギルドからの依頼なら入れるんですよね?」


「そりゃそうだ。さっき言ったろう、何にでも裏技はあるってな」


「なるほど。勉強になりました。ありがとうございます。おっちゃん!」


「おお。ちゃんと寄り道しないで家に帰れよ。ここら辺はゴロツキも多いからな」


「どもです!」


 そうして、僕はこの街の探索ギルドに向かう事にした。

 というか、この間来た時にきちんとそう言った情報も聞いとくんだった。


 なんか、ダンジョンなら誰でも入れるという先入観があったので全く気に止めてなかったのだ。


 この世界は現実だ。


 分かっていたのに未だに僕の心の奥底にゲーム感覚が残っている事に恐怖した。


 死んだらリセットもリスタートも出来ない。

 勿論、この世界の人達も。


 改めて気持ちを引き締め、僕は探索ギルドへ足を向けた。


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