第30話ソラ&ウミ&ルールー&ラルク
「ウミちゃん受かったって?」
「あ、はい。こっち来るそうです」
「そう。でも本当に貴女達は優秀ね。ハッキリ言って異常なくらいよ」
「そうでしょうか?」
「そうよ。でもそのお陰で短時間で薬も大量に揃えれたし、まあ薬師の面目躍如って所かしらね」
「だと良いですけど、でも正直言えば直接ガンマリン港湾都市に持って行きたかったです」
「まあ、気持ちは分かるけど、でも適材適所って言うでしょ。
彼等は彼等で組織だてて災害対策してるんだから。
私達には私達の出来る事で手を差し伸べれば良いのよ」
「それは…分かってるつもりですけど」
「今行っても恐らく死体処理ぐらいしかやる事ないわよ。それだけの被害だったのだから」
「ううっ」
「ほら、泣かないの。折角の美人が台無しよ」
「だってぇ」
「もう、言ったでしょ?貴女達のせいじゃないって。
むしろ貴女達は貴女達にしか出来ない事をやり遂げたのよ。
だから、今度は私の番。
私は私の出来る事で少しでもガンマリン港湾都市についた爪痕の傷を癒すわ。
そこには少なくないソラちゃんの力だって含まれてるのよ」
「はい」
「だから、胸を張りなさい。誰にも貴女達は咎められない。むしろ感謝しか無いわよ」
「はい!」
「うん。良い顔になった」
「えへへ。何だかルールーさんってお姉さんみたいで安心する」
「あら?良いのよ?お姉さんって呼んでも」
「え?えと、…る、ルールーお姉ちゃん……ううっ。恥ずい」
「ブハッ!」
「ルールーさん!?」
「や、ヤバいわね。思わず食べちゃいたくなるわ」
「?」
ルールーさんがハアハア言ってるので後ろから声を掛けた。
「空音に欲情するのは止めて下さいね。ルールーさん」
「うわっ!」
不意打ちで声を掛けられてビクンちょしたルールーさんは、ちょっとだけ面白かった。
「兄にぃ」
「よ!お待たせ」
「もう!びっくりさせないでよ。大体ウミちゃんだってこの間、私に甘えたじゃない。私はソラちゃんにも甘えて貰いたいし甘えたいわ」
「ゔっ!でも欲情はしてませんよ!」
「欲情から始まる愛情だってあるでしょ」
「あるか!」
「すごく、嫌な愛情だな。それ」
「うるさいわよラルク。私の胸で欲情したくせに!この胸の代償は高いんだからね」
「ばっ!か、だからあれは事故だって言ってるだろ!」
「はん!マルタはどっちの言い分を聞くのかしらね。戻ったら楽しみだわ」
「すまん!ごめん!申し訳ない!あやまる!あやまるからそれだけは勘弁してくれ!」
「謝って済むなら騎士は要らないのよ!」
「どうしろと!」
「そうねぇ。高価なアクセサリーとか良いかしらねぇ」
「うえ!お、俺そんなに持ち合わせ無いぞ」
「甲斐性ないわねぇ!現金無くてもギルドカードがあるでしょ」
「そ、そんなぁー」
「いいから、買い物付き合いなさい!」
ラルクさんが打ちひしがれている。
「あ、もう行く感じなんだね?」
「みたいね」
「でも昼抜きか。ちょっと辛いかも」
「屋台とかで買い食いしたら?」
「それもそうだな。そうしよう」
「私も兄にぃの甲斐性、楽しみにしてるね」
「へいへい」
泣いてた子がもう笑ったか。
まあ、気が紛れてくれたならなんでもいいか。
「ほら、ラルクさんも行きますよ」
「マルタに絶対ドヤされるよぉ〜勘弁してくれ〜」
そうして、僕らはあっちこっちとルールーさんに振り回され荷物持ちをし、屋台で買い食いしつつベータウン城塞都市の街を堪能したのだった。
ラルクさんは終始フラフラだった。
こうして、僕達の日帰りベータウンツアーは終了したのだった。
ちなみに、アルファ村に到着した時に、ルールーさんがラルクさんにマルタさん用のアクセとタマルちゃん用の髪留めを渡していた。
ラルクさんは号泣していた。
ルールーさんはそれを見て呆れていたが、何だかんだ言ってルールーさんは優しい女性なのだなと改めて思った今日1日だった。
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