第29話ウミ&ラルク
結果から言えばギリ合格だった。
まあ、僕のモンハンは基本スキルありきな訳で、実際の狩人の知識を本当の意味で理解している訳じゃないのだ。
それでもギリギリでも合格出来たのは、ラルクさんとの実習の成果だったりする。
ラルクさんに結果を報告するとギリでも合格は合格だと背中をバンバン叩かれた。
「痛い」
ジト目で抗議するとガハハと笑って誤魔化された。
まあ、実際は衝撃が軽く来るだけで実際には痛くも痒くも無いのだが。
装備防御力は10万超えは伊達では無いのだよ。
だけど、この思考考察で気付いた事が1つある。
此方のモンス、つまり野獣とか海獣と呼ばれているこの世界のモンスは力玉がドロップしないのだ。
何故そう言いきれるかといえば、エリアボスとレイドボスは力玉がドロップしたけど、ラルクさんとの狩りでは一度も無い。
出た試しも無ければ出る気配すらない。
つまり、〈Genesis World〉経由のモンスは力玉が出るけど現地産は出ないと言うことだ。
ならば、ダンジョンは〈Genesis World〉産である可能性が高く、力玉がドロップする可能性が高い。
何せ、アルファ村の人達はダンジョンを知らなかったしね。
だとすれば、更に強化出来る。
うんうん。
メイド・イン・ソラちゃんの本領発揮だな。
使い熟す為にも強化に添った訓練をしないと装備に振り回されて身体の動きがチグハグになってしまう。
レベルが上がっても時に翻弄される事があるからな。
頑張らねば。
狩人ギルドでギルドカードの制作が完了するまで、狩人ギルドの図書室にある野獣・海獣図鑑を眺めて時間を潰す。
名称欄を見ていると相変わらず1匹の野獣の名称は2匹の動物の名称の組み合わせで出来てる。
だから、どっちなんだよ。
「ウミちゃん、出来てたぜ。ほらよ」
「あ、本当ですか?思ったより早かったですね」
ラルクさんからギルドカードを受け取る。
これ本来、本人受取りなんじゃ?
いいの?
微妙に怪訝な顔をしていたらラルクさんが続けて言ってきた。
「まあ、ぶっちゃけギルドカードってのは身分証と財布でしか無いんだし、俺はウミちゃんの推薦人だからな。俺が取ってきても問題無い」
「本気でぶっちゃけましたねラルクさん」
「ガハハ!まあ、何だかんだ言ってもそんなもんだろ?」
「そうなんでしょうけど」
「んなもん、取り繕ったって変わらんだろ?」
「はあ、そうなもんですかね」
「そんなもんだよ」
「さて、先生とこと合流しなきゃだっけか?」
「ああ、はい。ちょっと待って下さいね」
ポチポチとチャットに書き込む。
「なんか、それって隙が多いな」
「それ?」
「今なんか連絡してんだろ?」
「あー。はい。僕と空音しか使えないですけど、手紙のやり取り的な?」
「そうなんか。ずっとなんかボーと空中眺めて微動だにしないから、そんな状態で襲われたら洒落にならんなと思ってな」
「ああ、まあそうですね。一応対策はしてるんですけどね」
「お?なんかしてんのか?」
「まあ、空音の方はどうか知りませんけど、僕はオートカウンターがパッシブで掛かっているので敵対行動と見なされる行為をされると勝手に迎撃する様になってます。
ただ、これ僕の意識化に無いので手加減無しで発動するんですよ。
だから逆に町の中だと周りに意識とばして警戒してますね」
「なんか大変だな」
「そうなんですよ。オンオフ出来ないから逆に街中って疲れるんですよね。まあ、発動しても基本は防御系が発動するので大丈夫だと思うんですけど、偶に攻撃もしちゃうので」
「おっかねェなぁ、おい」
「本当にねえ。あ、空音から連絡来ました。3番通りの喫茶店にいるそうです。行きましょうか」
「そだな」
そして、僕達は女性陣のいる喫茶店に向かって歩きだした。
「でも、合流したら女性陣の買い物ですね」
「やな事思い出させるなよ!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます