第27話ウミ&ラルク
次の日、僕はラルクさんと再び狩りに来ていた。
すぐに試験を受けに行っても良かったのだけど、どうせ行くなら売れる物を増やしたかったし、少し実証実験もして見たかったのだ。
「と言う事で、やって来ました!森の〜中〜!」
「何が、と言う事なんだ?」
「あ、いえ。テンプレは大事かな?と」
「はあ?何だそれ?」
「いえ、気にせずに。それよりもほら、前方10時方向、距離約150m索敵6です」
「本当に何で分かんだ?ウミちゃんは」
「まあ、企業秘密と言う事で」
「はあ?きぎょお?」
「いいから行きますよ」
「何だってんだ、たく」
ぶつくさと愚痴るラルクさんを引き連れて獲物に近づく。
「おい、ウミちゃん。ありぁベアウルフの群れだ。数が多すぎる。一旦引き返そう。俺ら2人じゃ手に余る」
「そうですか?そうでもなさそうですけど」
「おいおい、マジで言ってるのか?ベアウルフは5匹見かけりゃ2倍はいるってのは狩人の常識だぞ」
「あ、本当だ。この先50mに10匹反応有りますね」
「言わんこっちゃない!気づかれる前にずらかるぞ!ウミちゃん」
「え?いやいや!問題ないですって。怖かったらそーですね。その木の上にでも登って置いて下さい」
「いや、なんでだよ!」
「いいですから!とりあえず見てて下さい」
そう言ってアイテムボックスから愛剣の木刀を取り出す。
「う、ウミちゃん?そんな棒切れで何するつもりだ!危ないって」
「いいから、ほら早く登って下さい。もう本当に心配性ですね。前も言いましたけど僕って結構強いんですって!見てて下さい」
「あ、ああ。本当に無理すんなよ。怪我なんかさせたらマルタにドヤされちまうからな!」
納得しないままでも取り敢えず木の上に登らせる。
「だから大丈夫ですって!んじゃあ!行ってきます!」
剣圧鎌鼬を5連撃をそれぞれに放ってダッシュで突っ込む。
ダッシュの途中で鎌鼬が当たった5匹のベアウルフが一瞬でポリゴンエフェクトを散らして消えた。
「ありぁ?牽制のつもりだったのに一撃かぁ。こりゃあっちの群れ巻き込めないな」
慌てて引き返しラルクさんの所に戻って呼びかける。
「ラルクさん、すみません。やっぱり検証の為に一緒に着いてきて貰って良いですか?」
「はあ?」
ズリズリとラルクさんが顰め面で木の上から降りてきた。
「なんだ?やっぱり無理だから戻るのか?」
「いえ。ちょっと思った以上にオーバーキルだったのでラルクさんにお手伝いをお願いしたいなぁと」
「ん?何するんだ?」
「えーと、僕がこれからこの石ころをモンスに当てるんで、ラルクさんは弓矢で追撃して貰って良いですか?」
「ん?まあ、良いが、だが1匹でも倒せば他の奴らに気づかれるぞ」
「それは、問題ないので」
「ん?どういう事だ?」
「まあ、ただの検証実験なんで宜しくお願いします」
「お、おー。それより先にいた5匹はどうした?」
「え?倒しましたよ?」
「なんだと?いつ」
「え?だから先程」
「別れてから1分も経ってないだろうが。つくならもう少しマシな嘘をつけ」
「いや、本当なんだけどなぁ」
そして群れ10匹の方へ歩き出すとラルクさんが慌て出す。
「やっぱり10匹も居るじゃねぇか!戻るぞ!ウミちゃん」
「いやいや。何でですか。さっきからめんどくさいなぁラルクさんは」
仕方が無いので、木刀を取り出し1番手前のモンス以外を鎌鼬で消す。
「んな!」
最後に残ったモンスは何が起きたか分からないままキョロキョロしながら後ずさり始めた。
「それじゃあ行きますよ。ラルクさんも用意して下さい」
ラルクさんに弓矢の準備を促し、その辺にあった小石をモンスに投げつける。
すると、当たった瞬間モンスはポリゴンエフェクトを散らして消えた。
「うわ!マジか!これでも一撃とかどうしろと!」
「う、ウミちゃん。君は一体」
「うーん。どうなってんだ?これ。あ、ひょっとしたら。うわぁーやっぱりだよ」
ステータスボードを見るとLvがカンストしていた。
「うーん。試しに」
小石を拾い近くの木に向かって投げてみる。
当たった瞬間にポリゴンエフェクトを散らして消えた。
「ふむ」
もう1つ小石を今度は狙わずに投げてみる。
カンッと甲高い音と共に小石が弾けた。
「なるほどなるほど。そういうパターンなのね。ラルクさん!」
「今度はなんだ?」
「今からパーティー組みましょう」
「ウミちゃん。俺はもうウミちゃんがさっきから何を言っているのかさっぱり分からないよ」
「いえ、以外と予想道理だとラルクさんも楽ちん出来るかもですよ?」
「本当に訳がわからないよ」
「まあまあ、良いですから」
そう言って僕とパーティーを組む宣言をさせるとログボートに[ラルクとパーティーを組みました]と表記された。
「うんうん。予想道理ですね。んじゃ次行きましょう次!」
「お、おお」
等と会話しつつ、500m先に1匹だけの反応を感知したので行ってみることにした。
そして、今度は大きさ15m級の鼻の長い熊っポイ何かと遭遇した。
「な!なんでこんな所にこいつが!ウミちゃん本気で不味いぞ。彼奴はエレファントバーサクベアだ!厄介だぞ!」
「だから!象なの?熊なの?ハッキリして!」
僕はすかさず小石をぶつけると象熊さんはポリゴンエフェクトを散らして怯んだ。
「お!一撃じゃない!ラッキー!ほら、早くラルクさん撃って撃って!」
「なっ!う、ウミちゃ!?」
「ほら!早く早く!」
「お、おう!」
慌ててラルクさんが弓矢で攻撃すると今度こそポリゴンエフェクトを散らして消えた。
「き、消えた!?か、勝ったのか?」
瞬間、ラルクさんの頭の上にドロップ品が降ってきた。
「のあっ!」
「あー。こうなるのか。なるほど」
ドロップ品に埋もれているラルクさんのドロップ品をアイテムボックスに仕舞っていく。
「コールは出ないのかな?ラルクさん財布の中身増えてたりしませんか?」
「え?どういう事だよ」
「兎に角、確認してもらっていいですか?」
「んー?いや、増えては無いな」
「えー?それって取りっぱぐれって事?あ、そうだ。カードは?ギルドカードって財布代わりにもなるんですよね」
「ああ、そうだな。ちょっと待ってくれ。…うーん。すまん元々幾ら入ってたか覚えてないから何とも言えんのだが、若干増えてる?のか?」
「なら、もう一度狩りをしましょう。それならハッキリしますよね」
「ああ、そうだな」
「あ、左手9時方向、50m先索敵3です。次、ラルクさん先に狩って見て下さい」
「お、おうよ!」
検証の結果、ラルクさんの場合。
コールはカードに増えていた。
ドロップ品は空から降ってきた。
パーティーを外すと普通に死体が残る。
敵認証しなければエフェクト消えしない。
この時、カード内のコールは増えない。
僕の場合。
コールはステータスボード表記が増える。
ドロップ品はアイテムボックス内に。
敵認証しなければエフェクト消えしない。
この時、コールはGET出来ない。
消えなかった死体に敵認証して攻撃を加えると再びエフェクト消えする。
「ありがとうございます。ラルクさん何となく理解しました。検証終了です。お疲れ様でした」
「お、おう。お疲れ。俺は最初っから最後まで訳が分からなかったがな。後でちゃんと説明してもらうぞ!ウミちゃん」
「いやー。そこは企業秘密で」
僕はキメ顔でそう言った。
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