第25話ウミ&ラルク

 あの後、僕はタマルちゃんとままごとをして遊んだ。

 設定が夫婦の設定なのに「お姉ちゃん、おかえりなさい。ご飯にする?それともお風呂にする?」と聞かれた時は驚愕したものだ。


 その設定だと同性婚になるのだけどタマルちゃんは良いの?



 そんなこんなでまた僕はタマルちゃん家にお泊まりする事になった。

 空音はルールーさんの所で缶詰め状態だからな。

 流石にそんな所で1人のんびりさせて貰うのは気が引ける。


 マルタさんは喜んで迎えてくれた。


 そして、僕は僕で自分で出来る事をする事にした。

 まあ、ダンジョン攻略なんだけどね。

 僕にはそれ以外に出来る事がないから。


 空音は空音で自分の出来る事をやってる。

 僕も自分で出来る事、やらなきゃならない事を始めなくては。


 兎に角この世界の情報が欲しい。


「ラルクさん。少しお聞きしたい事があるのですが、良いですか?」


「ん?何だ?」


 夕飯後にラルクさんに相談しようと考えた。

 何せ、ラルクさんは狩人だ。


 狩りをするのに狩人のテリトリーや常識があるかもしれない。

 ダンジョンは別都市にあるのは確実だろうから、そう言った制約や常識を先んじて知っておくのは有りだと思ったのだ。


「ラルクさんは狩人ですよね?街によって狩人のテリトリーとか常識みたいのってあったりします?例えば、他の街の獣を勝手に狩っちゃいけないとか?許可がいるとか?」


「いや、そういうのはないなぁ。まあ、放置して置くと危険な野獣や海獣が多いし、狩ってくれるに越したことはないないな。あー、但し村の近くで狩りをする時は、血や内臓は必ず土に埋める事。これをしないと血の匂いに引きよれられる野獣に村が襲われる危険が増えるからな。これは絶対に忘れるな!」


「怪獣?」


「おう、海の獣な」


「ああ、なるほど。そっちね」


「後、そうだな。買取とかして貰うならギルドに入っといた方がいいな」


「そうなんですか?」


「ああ、何処でも良いからギルドには入っておいた方が何かと便利だぞ!」


「へー。ギルドって冒険者ギルドですか?」


「冒険者ギルド?何だそれは?」


「え?ギルドって言ったら冒険者ギルドじゃ無いんですか?」


「そんなギルドは無いな!あるのは傭兵・漁師・薬師・農業・鉱山・商業・狩人・鍛治・探索の9つのギルドだな。どれか1つでも所属しておけば、どのギルドでも顔が効く」


「へえ。別ギルド同士だと対立とかって普通にありそうですけど、どのギルドでも顔が効くんですね」


「まあな、どこのギルドも協働で成り立っているからな。どのギルドも不必要な分野はないのさ。まあ、街によってはその街に根強いギルドや贔屓ギルドがあるだろうが、ギルドカードがあれば、まあ大体は何処でも買い取ってもらえるし、買う事が出来る。分野違いの物だと買い叩かれるけどな!ワハハ」


「なるほど」


「ウミちゃんは狩人志望かい?」


「まあ、僕に出来る事ってそれぐらいしかないから」


「そうか。なら、明日一緒に狩りに行くかい?ギルドに入るには身元保証人というか、そのギルドに所属している人に弟子入りしてその師からの推薦が必要なんだ。それと、試験もある。試験は大きな街に行けばどのギルドでも受けられるが試験代が掛かるからな。その為の師弟期間と稼ぎ方法だな」


「あー。試験代ってやっぱり掛かるんですね」


「そりゃそうだ。共通の免許証だからな。財布代わりにもなるしな」


「財布代わり?」


「そうだ。このカードはギルド内なら何処でもこのカードを使って売り買いの金の取り引きが出来るんだよ。これは古代遺跡都市から発掘されたアーティファクトだな。これが高いんだ」


「古代遺跡都市なんてあるんですね」


「そうだ。この国にはここアルファ村から数えてベータウン城塞都市、ガンマリン沿海都市、デルタワー学術都市、イプシーロン農業都市、シグマグマ鉱山都市、タウ商業都市、ウプシロング畜産都市、ファイア鍛造都市、カイロ古代遺跡都市と全部で10の村や都市がある。その都市に因んたギルドが9つあるんだ」


なるほど。

言われてみればエリアボスもその都市に因んだモンスだった訳か。

でも、カイロ古代遺跡都市のエリアボスがスフィンクスって。

確かにエジプトのカイロって言えばスフィンクスだけども。


あと、畜産なのに狩人ギルドって。

畜産なのに野生なの?

彼処のエリアボス牛だったけど、その都市の牛って狩るモノなの?



「へぇー。そうなんですね。…そう言えばラルクさん」


「ん?」


「何で、アルファ村だけ村なんですか?」


「うぐっ。それ聞いちゃう?」


「え?普通に気になりませんか?」


「まあー。なんつうか、あくまで俺のじいちゃんから聞いた話だから眉唾程度で聞いとけよ?」


「はあ」


「この村のすぐ近くに海にまで繋がった湖あるだろ?」


「はあ、ありますね」


「彼処は昔、でっかい王城があってその名もアルファリアル王国ってのが有ったらしいんだわ」


「へえ」


「んで、その湖を含めた更に海の向こうまで大地が広がってたらしいんだけど、天空人?とか言うのと戦争があったらしくてな。んで、その戦争で」


「滅んだんですか?」


「じいちゃんの話ではな。そんで、土地まで抉り取られて、何とか生き残った俺達はその王族だか、守り人だかの子孫なんだとよ」


「それはまた、随分とスペクタクルな話ですね」


「まあ、今は誰も信じちゃぁいないけどな。でもだからこそ、この村の隣の都市は城塞都市なんだとよ」


「ふむ…辻褄は合いますね」


「ハハハ!だから間に受けんなって」

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