第19話ソラ&ウミ&ルールー

「空音、どれくらいなら情報収集出来る?」


「わかんないけど、この世界にエリア制限がないなら大気圏外にプロトタイプの空中移動要塞を衛星の代わりに設置出来ると思う」


「よし!なら直ぐに設置してくれ!世界マップと緯度経度と僕の位置のマーキングとレイドボスの位置を確認次第マーキングして教えてくれ!僕が1人で行く」


「ちょ!ちょっと待ってよ!なんで兄にぃだけ行くの!私だって行けるよ!」


「分かってる!だけど空音にはサポートと情報収集に集中して欲しい。ボスは一体だけじゃないんだ」


「うっ」


「分かったら早く頼む!」


「ちょっと2人共!急にどうしたって言うのよ!」


「ルールーさん。ごめんなさい!後でちゃん説明します」


 そうして、私はアイテムボックスから強化外骨格を取り出し乗り込む。


「な!何よ!これ!」


 騒いでいるルールーさんを放置し、強化外骨格を発信させる。


「直上!フルバーニア!」


『スラスターフルバーニア起動』


 キイィィィーーーーーーーゴアァァァーーーードン!!


 ◇


『第一宇宙速度安定、現在高度16859km二到達。警告!コレ以上ノ上昇ハ、マスターノ身体二害二ナル影響ノ恐レアリ。安全装置起動。リバースプロセスヲ実行』


「待ってマキナ!もう少しだけお願い!上昇高度ギリギリまでお願い!」


『高度21010kmガ機体ノ限界値デス』


「なら、そこでホバリング待機、直上最大望遠!千里眼の使用を許可!」


『高度21010km到達。ホバリング開始。最大望遠デス。マスター』


「空間ロック!マキナ算出、あそこは人工衛星が落ちて来ない高度?」


『重力値算出、高度測定完了、惑星ノ回転周期ノデータ不足ニヨリ正確デハアリマセンガ、ロック地点高度35788km、地球デノ静止軌道範囲内デス』


「ロック内に空間設置!アイテムボックスから空中移動要塞プロト転送!」


『スキル発動確認シマシタ。成功シマシタ』


「空間設置解除及び空中移動要塞プロト起動!コネクト!要塞カメラで映像記録マップ構築及び索敵開始!後、私達のマーキングよろしく。管制はマキナに任せるわ。急いでこの空域から離脱します」


『了解。離脱シマス。リバースプロセス実行』


「これで第1段階終了。データをリンク。兄にぃ…いえウミちゃんに繋げて」


『了解。マップ構築完了マデ後10分デス。但シ、プロトノ超広角レンズト魚眼レンズデ収集出来ル映像ダケデハ、コノ惑星全テヲ網羅出来マセン。現状況ヲ網羅スル為ニハ最低デモ、プロトモデルガ20機ハ必要ト算出サレマシタ。報告。高出力エネミーノ存在ヲ複数確認シマシタ。出力値ハ色別二区分ケシテマップ二表記シマス』


「ありがとう」


『警告!強化外骨格二甚大ナ損傷アリ、本機体ハ通常戦闘システムノ約60%ノ出力低下ヲ感知。本機体デノ戦闘ハ極力避ケル事ヲオススメシマス』


「あー。やっぱり無茶が祟ったかぁ~。これを見越してのサポートと情報収集じゃないよね?セルフメンテナンス行ける?」


『ハイ。完全補習マデ約1週間程掛カル予定デス』


「なら、いっその事オーバーホールしようか。アイテムボックス内で使用可能なパーツで最適化しておいて」


『了解』


「こっちもこれでプログラム完了っと。兄にぃ?聞こえる?」


「ザザ……うわ!何?空音?」


「フレンドチャット機能をボイスチャットにプログラム変更しておいたから、これで多分情報のラグが大分マシになるはず」


「空音、いつの間にプログラムの書き換えとか出来る様になったんだ?」


「え?イベントであったじゃん。スキル構築最適化の勧め」


「え?あれで出来んの?僕は無双武技の最適化でしか使わなかったんだけど」


「それは見ために捕らわれ過ぎだね」


 そんな会話をしている内にアルファ村とベータウンの間にいたエリアボスの反応が消えた。


「あれ?兄にぃ、もう移動してるの?」


「勿論!地図データとエネミーポイントの情報が上がってきたからね。とりあえず1番近いボスは仕留めた。次に行ってくる」


 そういうとウミちゃんのマーキングポイントが凄い速さで移動していた。


「私も大概だと思ってたけど兄にぃも大概だね」


「なんだそりゃ?」


 そして、また1つボスのマーキングが消えた。


「後で戦利品分けてね。私しばらく動けないし」


「ん?OK」


 やっぱり兄にぃは頼りになると改めて感じた今日だった。

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