第18話ソラ&ウミ&ルールー&ラルク&マルタ

「いえ、目出度くはないです」


「あら?私声にでてました?」


「はい。ハッキリと」


「あら、ごめんなさい?修羅場って第三者視点だと面白くてついね。てへ」


「てへって…」


 微妙に複雑な顔をする面々にタマルちゃんだけが首を傾げて不思議がっていた。



「兄にぃ。そう言えばバージョンアップのダウンロードってした?」


「バージョンアップ?何の?」


「〈Genesis World〉に決まってる」


「え?」


「運営からメッセージ届いて無かった?」


「ちょっと待ってくれ。確認する…あった。でも既にインストール終わってるな。ん?……お!ダンジョン解放されたんだ!ラッキー!………解放?解放ってどういう事だ?解放って事は今までは無かったのか?ブツブツ……まさか、いや、まさかそんな事有り得るのか?……でもならレイドとエリアって…ブツブツ」


「どうしたの?兄にぃ?」


「あ、あの!ラルクさん。ちょっと聞きたいんですけど、ラルクさんはダンジョンって知ってます?」


「ダンジョン?何だそりゃ?」


「兄にぃ?」


「あの、ルールーさんでもマルタさんでもいいのですけど噂とかでも、ダンジョンって言葉を聞いた事ありませんか?」


「いいえ、無いわね」


「私もないわ」


「何?何なの突然?兄にぃおかしいよ?」


 突然青ざめて震え出すウミちゃんに言い知れぬ不安が生じる。


「………空音。もしかしたら僕達はやらかしてしまったかも知れない」


「な、何を?」


「この世界に〈Genesis World〉の因子をダウンロードした可能性がある」


「え?え?どういう事?この世界って〈Genesis World〉の世界じゃないの?」


「考えても見てくれ僕達がやっていた〈Genesis World〉はここまでリアルだったか?風を感じ、匂いを感じ、味覚まである。どう考えてもゲームから逸脱しているんだ。それに空音がこっちの世界に来た事によって、僕達の世界の空音の体が部屋から消えて無くなっていた。恐らく僕の体も今頃消えているだろう」


「そ、そんな!」


「それでも今までは恐らくオフライン状態だったんだ」


「で、でもアイテムボックスとか普通に使えてたよ!」


「オフライン状態でもアイテムボックスは使える。但しメールやチャットは出来ない。僕もこっちに来たばかりの時は送る事は出来ても送信はずっと送信中で止まったままだった。多分それがトリガーになったのかも知れない。たぶん僕が空音にチャット送信してしまったから、〈Genesis World〉がこの世界で送信出来る様に最適化したんだ。そして、最適化されたのはメールやチャットだけじゃない!元々の〈Genesis World〉のプログラム……戦闘システムとエネミープログラムまで上書きされたみたいだ」


「え?え?それって不味いの?」


「下手すりゃ、この世界で数万人いや、数十万人規模の死人が出る」


「な、なんで!なんでそうなるの!」


「この世界に〈Genesis World〉のモンスターに対応出来る戦力があるとは思えない!例えあったとしても……ぐぅ、エリアボスやレイドボスに突然遭遇した一般市民は為す術もなく皆殺しだ!」


「ひぅ……………!!!」


「だから、すぐに行動しないと行けない。何処にいるか分からないけど、兎に角急いで一匹でも多く被害が出る前に制圧しないと!それが出来るのは、きっと僕達だけだ!」


「………うん。わかった。やろう私達が招いた悲劇、何としてもどうにかしなくちゃ!」


「ああ、兎に角まず1番ヤバいのはエリアボス、いや移動するレイドの方か?兎にも角にも情報が足りない」


「そうだね兎に角、情報を得ないと!」


「ああ、行くぞ!空音!」


「うん!」


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る