第15話ウミ&タマルちゃん&マルタさん&ラルク
「ただいま、マルタ」
「あら、お帰りなさいアナタ。今日は早かったのね」
「ああ、いい獲物が取れたんでな。血抜きして保冷庫に置いてきた」
「あら、ありがとう。ふふ」
「タマルは?」
「今は、お風呂に入っているわ」
「そうか、なら。たまには一緒に…」
トタタタ
「ああ、そうそう今日お客さんが来ているのよ。アナタ見たらビックリするわよ!うふふ。今日から泊まって行くから………アナタ?」
振り返るともう、そこにはラルクの姿は無かった。
「………まさか!」
慌ててお風呂場へ走るマルタ。
辿りつけば裸で固まっているラルク。
お風呂場の扉は開け放たれていた。
「アナタ!なにしてんの!」
急激に頭に血が上りラルクを引っ張ったく。
意識が覚醒したかのようにラルクから鼻血が垂れた。
◇
「すまん、本当にすまん」
着替え終わってすぐにタマルちゃんとリビングに行くと頬に綺麗な紅葉痕を付けた男性が土下座をして平謝りしてきた。
この国にも土下座の習慣ってあるんだなぁ〜等と思い馳せながら、自分の子供の前で土下座していいのか?父親としての威厳は大丈夫なのだろうか等と考えてしまう。
「ああ、えーと。別に見られても減るものでは無いですし…」
「駄目よ!ウミちゃん!そうやって泣き寝入りするから女性の尊厳が軽んじられるのよ!きちんと罰を与えないと」
「パパ?」
「と言われましても僕は余り気にしてなくて…」
「ウミちゃん駄目よ!そんな風に自分を軽く扱っちゃ。もっと自分を大切にして!貴女はさっきお嫁に行けなくなるような事されたのよ!」
「え?えーと、別にお嫁に行く予定は……」
「アナタも、どう責任取るつもり!未婚の女性の裸を舐め回すなんて」
「うえ!舐め回してなど決して!」
「お黙り!今アナタに発言権はないわ!」
「うぐぅ」
「パパ?」
「タマルごめんね。パパとサヨナラになるかもしれないわ。本当にごめんなさい」
「ちょ!マ、マルタ!待ってくれ!」
「黙りなさいと言ったわよ!アナタ!」
「そ、そんな〜ぁ」
「パパとサヨナラするの?」
「そうよ。タマルはガマン出来るよね?」
「う、うん。ガマンするぅ〜」
「いい子ね」
「え、えーとマルタさん?少し落ち着きましょうか。ね!ほらタマルちゃんも泣かないで!ね!」
「ソラちゃんすまない」
「あ〜。えーと、ソラではないのですが……はい!分かりました!パパさん歯を食いしばって下さい」
「え?」
パンッ!!!
「これで手打ちにします。マルタさんも良いですよね」
平手打ちで手打ち!
うん!お
「ええ、ウミちゃんが良いなら」
「パパとサヨナラしないで良いの?」
「そだよ。タマルちゃんはパパさんとサヨナラしないよ」
「うわぁーん。よかったよぉ〜」
号泣するタマルちゃんを抱きしめて頭をなでなでして上げた。
◇
「ソラちゃんじゃないんだ。ウミちゃん?」
「そうです。ソラの双子の姉?になります」
「確かにそっくりだ。揃っていても見分けが付かないかもな」
「ははは。よく言われます」
「だけど先程は本当にありがとう。そして、改めてすまない」
「良いですよ。本当にもう。むしろ僕のせいで家庭崩壊の危機とか本当に勘弁して下さい」
「ごめんなさいねウミちゃん。私も止まれなくて」
「まあ、お世話になるのは僕の方ですし気にしませんよ。但し僕をダシに家庭崩壊はもう止めて下さいね」
「ああ、すまん」
「ごめんなさい」
「いいですよ。もう。それよりもお腹空きましたね」
「ああ、そうねご飯にしましょうか」
「あ、ああ、手伝うよマルタ」
「ありがとうアナタ」
「パパとママ仲直り?」
「そうだね。仲直り出来て良かったね」
「うん!」
その後、賑やかに晩餐は過ぎて行った。
「ウミお姉ちゃん!一緒に寝よ!」
「うん、そうだね。じゃあお休みなさい。マルタさん、ラルクさん」
「お休みなさい!パパ、ママ!」
「ああ、お休みウミちゃん、タマル」
「お休みなさい。ウミちゃん、タマル」
◇
そして、タマルちゃんのベッドは狭かった。
「えーと、タマルちゃん。これでどう寝るの?」
「んとね〜抱っこしながら寝るの!」
「ああ、抱っこ。抱っこね…だあああ!」
「どうしたのウミお姉ちゃん?」
「いや、なんと言うか最後まで試練があるのだなと」
「?」
「いや、寝ようか」
「うん!」
2人して抱きしめ合うように布団に潜る。
「ウミお姉ちゃん暖かくて良い匂い」
「ふ、そだね。タマルちゃんも暖かくて良い匂いだよ」
今日は色んな意味で長くて疲れた1日だった。
マジで疲れたよ。
お休み。
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