第13話ウミ&タマルちゃん&マルタさん

「ママ〜。ただいま〜。ウミお姉ちゃんお泊まりしていーい?」


「タマル?今日は随分と早いのね?あら?」


「お、お邪魔しま〜す」


「あら?ソラちゃん?ルールー先生とお出かけじゃなかったの?」


「ママ〜違うよ〜!ウミお姉ちゃんだよ〜」


「?」


「えーと。初めまして、ウミです」


「ウミお姉ちゃんはねぇ〜ソラお姉ちゃんのお姉ちゃんなの〜」


「???」


「えーと。そのはい」


「今日ねぇ〜ウミお姉ちゃんと一緒にお泊まりなの〜」


「えーと?ルールー先生の所にお泊まり?するのかしら?」


「あははー。違うよーママ〜。変なの〜」


「えーと。すみません。こちらで暫くご厄介をさせて頂きたいのですが」


「あら?そう?なの?」


「うん!ウミお姉ちゃんとお泊まり〜」


「ウミお姉ちゃん?」


「えとそのはい。ウミです」


「ウミお姉ちゃんは双子なんだよ〜」


「あら!まあまあ、そうなの?あらあらごめんなさいね。気が付かなくて」


「いえ、本人以外、基本気付かないので…恐く」


「あらあら、でもどうしましょう。それなら今日は4人分の食事を用意しなくちゃだわね」


「あ、すみません。あ、そうだこれよろしければ使って下さい」


 そう言ってアイテムボックスから25階層で採れたエリンギョのキノコと30階層で採れたブタマルのお肉を両方5kgづつ(多分それくらい?)取り出した。


「まあ!ウミちゃんだったかしら、良いの?こんなに」


「い、いえその、ソラが帰って来るまでご厄介させて頂けると助かるというか」


「あら、そう言う事?」


「ええ、出来ればお願いしたく。それで…そのもし足りなければ、まだまだ有りますので言ってください」


「まあ、そうなの?なんだか逆に申し訳ないわ」


「いえいえ、とんでもないです」


「ウミお姉ちゃん凄〜い!どっから出したの?」


「え?あ、ああ。アイテムボックスだよ。物がいっぱい入るんだ」


 そう言ってアイテムボックスから色々な物を出しては引っ込める事を何度か繰り返す。


「凄〜い!ウミお姉ちゃん凄〜い!」


「そ、そう?アハハ。そ、ソラちゃんも同じ事出来るよ?」


「ふぁぁ〜そ〜なんだぁ〜凄〜い」


「あらあら、うふふ。じゃあ今晩はご馳走ね。ママ張り切っちゃう!」


「あ、お手伝いしますよ?」


「あら、良いのよ。ウミちゃんはタマルの相手して上げて?」


「え?で、でも」


「ん〜。そうねえ、それならお風呂沸かして貰って良いかしら。タマル、ウミお姉ちゃんに教えて上げて?」


「分かった〜ウミお姉ちゃんコッチだよー」


「お、おお」


 そうして、連れて来られた裏庭には手押しポンプがあった。


「これがねぇ〜お風呂用のホースなの〜。それでそれでコッチがお台所用なの〜」


「へぇー成程。用途別にホースを切り替えるのか。考えたなぁ。あ、じゃあ早くやらないとオバサ…んんっ!ママさんが困っちゃうよね」


「大丈夫なの!お台所のお水さっきいっぱいだったの」


「そ、そうなんだ。でも早く終わらせるに越したことはないよね。うん。じゃあやろっか」


「こうやって外して、コッチを着けるの!」


「成程。アタッチメントの概念はあるんだな。ふむふむ」


「それでそれで!これをコキコキするの〜」


 そう言うとポンプのコックを上下させると水がホースを通してお風呂場へ流れて行く。


「ウミお姉ちゃんもやる?」


「うん。そうだね、じゃあタマルちゃんはお水がいっぱいになったら呼んでね」


「分かった〜」


 タマルちゃんに変わりコキコキとコックを上下する。


「思ってたより抵抗無いな。いや装備のせいかな?」


 逆に余り力を入れると壊しそうなので、そこそこの手加減でコキコキしてると、タマルちゃんからもういいよぉーと声が飛んできた。


「んとね!次はこれで温めるの〜」


 タマルちゃんが持って来たのは……石?


「これをここに嵌めるの!」


 薪ストーブ的なアレかと思っていたら、なんと温水器だった。


「温まったら勝手に止まるのぉ~」


 更に自動機能付き。

 侮っていたぜ!この世界!


「ウミお姉ちゃん!後で一緒に入ろ~うね!」


「あ、うん。…え?」


「やったあ!」


 えーと、女児と風呂とかって入っていいのか?

 これ犯罪にならんだろうか?


 しかし、タマルちゃんめっちゃ喜んでるしなぁ。

 うーん。


「ウミお姉ちゃんウミお姉ちゃん!終わったから一緒に遊ぼ!」


「う、うん。でもママさんのお手伝い良いのかな?」


「ん〜。ママに聞いてくるぅー」


 ドタドタと駆けていくタマルちゃんを見ながら僕も追いかける。


 ◇


「あら?もう終わったの?」


「終わった〜。ウミお姉ちゃん凄いの!お水ドバドバ早かったの〜」


「あら、そうなの」


「えーと。ママさん、後は何かする事あります?」


「あらあら、ごめんなさいね。マルタよ。よろしくね」


「あ、マルタさん。はい!えーと」


「そうねえ。と言っても、もう殆ど終わってるのよね。あ、そうだタマル。ウミお姉ちゃん用のお布団出して上げて」


「ウミお姉ちゃんは一緒のお布団で寝るから大丈夫なの!」


「あら、そうなの?ウミさんには狭くない?」


「あ、僕は大丈夫ですよ。何処でも寝れるんで」


「そお?ならいいけれど」


 ピロピロピロピロ


「あら、お風呂沸いたみたいね。ご飯前に入っちゃいなさい」


 沸くの早ええな!

 すげぇよ、この世界!


「はーい!ウミお姉ちゃん行こう!」


「え?」


「ウミちゃん。タマルを宜しくね」


「うえ!は、はい。お先いただきます」


 ◇


「気持ち良いねぇー。ウミお姉ちゃん」


「そ、そうだね」


 うーん。なるべくタマルちゃんの裸を見ないようにしていたが身体の流しっ子とかしてしまったので今更感が半端ないな。


「んふふ〜ウミお姉ちゃんのお胸柔らか〜い。ママと一緒だね〜」


「え、えーと」


 僕の身体をリクライニングチェアの様にして湯船に浸かるタマルちゃん。

 僕の胸を枕にするのはどうなんだろ?


「そろそろ上がろっか?」


「うん!」


 ザバアァァァ…


 ガララララ…


 開いた扉の向こうに裸の男がいた。


「あ、パパ〜」


 ドタドタドタ


「アナタ!なにしてんの!」


 パンッッッ!!!



 目の前には裸の男がマルタさんに頬を叩かれる光景があった。

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