第7話ソラ&ウミ

 ソラちゃんと合流後、予想通り第100階層までのエリアマップコンプはあっという間に終わってしまった。

 そして、100層のエリアボスも2人でフルボッコだった。


「……なんかあっけなかったね」


「……ほんとだね」


「これで終わりなの?」


「一応?……あ、だけどチェインクエストのラストウミちゃんと行きたかったから残してたんだ」


「チェインクエストなんでしょ?途中参加とかって出来んの?」


「パーティ組んでたらいけるんじゃないかと」


「そうなん?その辺のシステムはよく分からんけど、まあ、無理そうならソラちゃんだけでもラストクエスト楽しんできなよ」


「うーん。まあ、そうだね。でもウミちゃんもこのクエストきっと気に入りそうだからなぁ〜。うん。ウミちゃんが行けなかった時の事も考えて、取り敢えず私のチェインクエストのルートをウミちゃんのメッセに送っておくね」


「お。了解」


「じゃあ、フレンドパーティチェックOK!クエストスタート!」



 ーシュウンー



「ありぁ、やっぱ駄目じゃん」


 目の前で消えたソラちゃんを確認し置いてきぼりにされたのを実感しつつ、このチェインクエスト長ぇなぁと送られたルートを眺めながら、ソラちゃんに『やっぱり駄目だったじゃん!僕はいいからソラちゃんはラストクエスト楽しんでおいで。晩御飯作っておくから終わったら食べなよ』とメッセを送ってからログアウトした。


 ◇


 いつものログアウト時間より若干早かったので、大学のレポートの資料を流し読みし頃合をみて晩御飯の準備を始めた。


「うーん。めんどくさいから焼きそばでいいか」


 肉とキノコ、葉野菜を炒めて味付けし皿に1度分けてから麺を炒めてほくれてきたら具を混ぜて更に味付けして出来上がり。


 うん。簡単だ。


 山盛り焼きそばを大皿に盛りラップをしてテーブルに置いてから風呂を入れておく。


 先にモリモリと焼きそばをたらふく食べた後、風呂に浸かりリビングでのんびりお茶を飲みながら空音を待っていた。


 木造二階建ての無駄に広いこの家には今、僕と空音しかいない。

 家主である父と母は、僕達を残して遠い所に行ってしまった……。


 などと意味ありげに語ってみたが勿論、両親は健在だ。

 親父の転勤に母さんがついて行ってしまっただけである。

 今頃シンガポール辺りで夫婦水入らずでよろしくやっている筈だ。


 因みに、僕達ツインズは同じ大学に通う大学生で、大学合格と同時期に親父の転勤が決まり、祖父から受け継いだこの家を放置も出来ず、大学まで通えない距離だったこともあり、僕達2人で管理する事になったのだ。


 そして、親のいぬ間にやりたい放題な僕達は夏休みに入ってからゲーム三昧という誰にも小言を言われないユートピアで生活出来ているわけなのだが、母さんにバレたら絶対絞められるな。

 ブルブル(((( '-' ))))


「にしても空音の奴、遅いなぁ〜。そんな長いイベントなのか?」


 気になって空音の部屋に入る。


 まあ、ノックするのが常識だが、相手はゲーム中なので反応があるはずが無い。


 扉を開け放ちながら、今考えたら空き巣とか泥棒とか入ってきたらマジでヤバいな。これ。

 セコ○とか入った方がいいのか?


 などと考えながら空音のベットを見るとベットには誰もいなかった。

 いなかったのだけど、空音の服だけがベットにあった。

 まるで人だけ居なくなったような感じで……。


「え?どゆこと?」


 混乱しつつ、ベットの服を拾い上げてみるとパサりと床にパンツとスポブラが落ちた。


「は?え?空音!今真っ裸なの!?って!なんでやねん!!!」


 混乱に混乱が組み合わさって捏ねくり回された様な感覚に陥って何をどうすればいいか全く頭が回らない。


 僕はそのままへたりこんでしまった。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る