第12話 自由

高校に入ってからは、友達にすら、ソウタとの仲を知られないように気を付けた。

同じ高校に入れたのは、ソウタが家から近いという理由でこの高校にしたからだ。





ソウタはとても頭がいい。

高校は同じになれたけれど、大学はよほど頑張らなければ同じレベルには行けない。

もちろん、学力を上げるのは家を出る手段でもある。













でも、ソウタのレベルには全然ついていけなかった。

もう、この先同じ大学なんて無理なのかもしれない。

ずっとあの母親に縛られて生きていくんだろうか?






自暴自棄になっていた時に、ユウがソウタを好きだと知った。







そっか。








考えてみれば、ソウタは私のことをどう思っているのだろう?

ユウのこともとても気にかけているし、私が特別だと思っていたけれど、実際は違うのかもしれない。

もし、もし私が選ばれないとしたら、ユウならいい。







もし私が特別なら、ユウとはそういう関係にならないだろう。

半分は賭けだった。






ひとまず自分の気持ちに蓋をした。

ユウを応援してみることにした。









ユウとソウタが仲良くなっていくのは、悲しくもあり、嬉しくもあった。

そして、ユウを理由に、ソウタと少し距離が近づいたのも嬉しかった。

二人で、はダメだけど、三人でなら仲良くしてもいいよね?







せっかくユウとソウタと三人でいいかんじになってきたのに、ユウがマホに宣戦布告をされた!











以来、マホは何かにつけてソウタの側にいた。

ソウタもまんざらではないように見えた。

マホはかわいくてスタイルもいい。

あんな子から言い寄られたら、そりゃ男だったら嬉しいに決まってる。





でも、ソウタはそんなうわべだけで選ぶことなんて、きっとしない。

マホとソウタがクラスで噂されても、気にしないようにした。








なのに、ソウタがマホを受け入れた。





信じてたのに!

あんな見た目だけの子を選ぶなんて!








それからの私は、きっととても不細工だったと思う。

マホへの妬みに蓋ができなくて、口から汚い言葉がボロボロこぼれ落ちるようになっていった。








そんな日々が続いたある日。

マホからソウタの相談を受けた。






やっぱり体目当てだったんだ。

きっとそうだ。

年頃の男の子だもん。

そういうことに興味があっただけよね?







男なんてそんなもんだよ。






知ったかぶりをしてそう二人に言った。













暫くして。


マホがソウタと別れたらしい。

やっぱり体目当てだったんだ。








それからは必死に勉強をした。

ソウタが行くであろう大学のレベルまで

必死にレベルを上げた。






そして合格通知を受け取った。





やっと自由になれる。

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