第9話 天国と地獄



何かにつけて、ソウタに話しかけるようになった。

ソウタがユウと話す時間を奪いたかった。



お弁当は、気になるドラマやアイドルの話が盛り上がるグループと一緒に食べることにした。




正々堂々と勝負しているんだから、ユウへ後ろめたさなんて全くなかった。

でも時々、ソウタがユウの話題を出すのが悲しかった。

ユウって大学には行くんだろうか、どこの大学だろうか、リコと大学も一緒に行くのかな?





リコとソウタは帰る方向が違ったから、全然気づかなかったけれど、小学生からずっと同じらしかった。

幼なじみってやつ。

ならリコのことが昔は好きだったとか?

ってそれとなく聞いてみたら、




まさか!

そんな風に見える?



いたずらっ子の目をしてソウタが笑った。






実際、リコとソウタが幼なじみだなんて知らなかったくらいだから、そんなに仲良くはないのかもしれない。




やっぱりユウがライバル。






リコが私のことを怒っているのはわかっていた。

そして、ユウが怒るリコに困っていることも。






毎日ソウタに話かけて、周りもなんとなく二人っきりにしてくれるようになってきた。

もう大丈夫だろうか?

私が告白したらOKしてもらえる?

クラスメイトに、ソウタの前で二人は付き合ってるの?と聞かれた。

ははは、と笑ってごまかすソウタは、否定はしなかった。





絶対いける。








私と付き合ってください。







答えはOKだった。









そこからは毎日楽しくて仕方なかった。

部活の前に、帰宅部のソウタを校門まで見送る時、誰もいない時には手を繋いでくれた。






そのうち、家が近いソウタは、部活が終わる頃に会いに来てくれるようになった。






それから、キスをするまでそう時間はかからなかった。






人に見られてはいけないという意識はあるようで、人気のない暗がりへ連れていかれることが増えた。








キスまですると、その先も、と。

マホの胸はきっと綺麗なんだろうとか、足だってすらっとしていて白くて綺麗だ、とか、そんな話題ばかりになった。







今までしていたような、たわいもない話がしたいのに、私の体の話ばかりになり、触られるのを断ると、どんどん冷たくなっていった。






こんなこと、私は初めてなのに。

ソウタは違うの?





それは誰と?





聞きたいことも聞けず、会うのも拒むようになってしまった。









ユウに相談してみたら、リコにも相談する羽目になった。

リコはソウタと幼なじみだから、いい助言が聞けるだろうか?






リコから

マホがそれが嫌なら断るべきだ。

そう言われてスッキリした。










嫌だと言っても卑猥な話をやめないソウタに幻滅したし、未練はなかった。





結局、別れを決断した。






リコは男なんてそんなものだというけれど、本当だろうか?

でも、これが私でよかった。

ユウだったらどうなっていただろう。




最初はユウに迷惑をかけたかもしれないけれど、ユウのためにもこれでよかったんだ。



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