第7話 告白



ソウタは結局、マホがよかったんだ。

そう突き付けられたような気がして落ち込んだ。



リコの


あんだけ好きだってアピールされたから、その気になったんじゃない?

男なんてそんなもんよ。



という言葉に救われた。







確かに、私のアピールなんて全然気づいてもらえてないんじゃないかってくらい、マホはすごかった。

そもそも最初のきっかけだったランチの約束を取り付けてきたのもマホだったし。






あれから。

マホがソウタのことを好きになっていなかったらどうなっていたんだろう、と、考える日もあった。

けれど、ニコニコと嬉しそうに毎日ソウタの話をするマホを見ていて、どうでもよくなっていった。







世間で言う三角関係ってこんなもん?




なんだか想像していたものとはかけ離れすぎていて笑えた。











マホがソウタと付き合って何週間たっただろうか?

文化祭も終わり、ソウタとの接点も減って落ち着いた私に、マホが相談がある。

と言ってきた。





相変わらずわがままだ。

私に相談?








仕方なくいつもの渡り廊下に出向く。






あのね、ソウタのことなんだけど。







言いにくそうにマホが話し出す。


最初は楽しくて。

付き合うって決まってからは、手を繋いで帰ったりしたんだ。

ドキドキしてね、嬉しかった。







もういいなんて言っていた私の胸が、ちょっぴりズキンと音を立てた。








暫くしたら、キスがしたいって。






ちょっと言いにくそうに、ほんのり顔を赤らめてマホが私に言った。






黙って頷く。







そしたら。

今度は胸が触りたい。って。








困った顔で、目に涙を浮かべて私に訴えてきた。








なんとなく、高校生になって付き合うと、そういうことがあるんだろうとは思っていた。



でも、あのソウタがっ?!

それもこの短期間で?!





ぐるぐる頭の中でいろんな感情が回っていった。






マホは、まだそういうことはできない、と、断ったそうだが、会う度に卑猥な言葉を投げ掛けてくるようになったそうだ。

マホはスタイルがいい。

男子には、魅力的な体つきらしかった。







私にはあまりに衝撃的だったので、リコに相談してみるよう、マホに言ってみた。



でも、リコだってその手の話には疎いんじゃないだろうか?

そんなことも頭をよぎる。











部活の帰り道。

リコとマホと三人でソウタについて話すことにした。







リコは一瞬、昔マホに向けたような怒りを目に浮かべた。







でも、すぐにいつものリコに戻る。


男兄弟のいない私やマホとは違い、弟のいるリコは、男なんてそんなもんだ、とため息まじりに言うのだった。







ただ!

マホが嫌がっているのに、それをやめないソウタは悪い。

ちゃんと嫌だってきちんと言わなきゃ。

本当に嫌だったら。






リコが1番冷静できちんとした意見を持っていた。









暫くして。


別れたんだ。



と、お弁当を食べている時に、ふふ、と、笑いながらマホが言った。





なんて声をかけていいかわからなかった。

でも、これで平和な日々が戻ってくるかも、と、淡い気持ちがよぎった。

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