第7話「初任務と強敵」
第7話
冒険者協会を出た俺は、魔の森へ向かうためスターリングウォードの西門へと向かっていた。どうやら冒険者協会とか騎士団本部が南門周辺にあるのは、スターリングウォードのすぐ南がもうすぐ隣国のヴィルヘルム帝国であり、万が一攻められた時にすぐ対処するためらしい。ちなみに、もう何となく分かるだろうが魔の森はスターリングウォードから見て西側に広がっている。
「さてと、今日はこのまま魔の森に行くけど流石に丸腰は嫌だな。あと素材とか持って帰ってくるなら鞄とかが無いと嫌というか無理そうだな。」
そう俺はこの街というかこの世界に来てまだ、宿と冒険者協会にしか行っておらず、ほとんどまともに外出していないのである。だから鞄とか勿論ポーションなんてものとかも何一つ持っていない。
「確か薬屋みたいなとかあったよな。まぁとりあえずそこ行ってみるか。鞄は後で雑貨屋みたいなところで買えばいいだろうし。」
そう決めて俺は昨日見つけた、冒険者協会の近くの薬屋に向かう。
「こんにちはーすみませーん。ポーションとか怪我した時に治す薬のようなものが欲しいのですが、どなたかいらっしゃいますかー?」
薬屋の中に入ると、すごい多くの棚が立ち並んでいた。見たところ店主はいない?ようだ。
それにしても、日本の薬局みたいではないだろうなとは分かっていたが、ここまでとは。レトロというのか何というのか……。
「すっごい数の薬草だなぁ。お!奥には何やら瓶があるな。あれがポーションか?。」
悪くいうと薬屋を物色していた俺だが、初めて触れるようなものばかりで興奮が抑えられなかったのである。俺も一応研究をしていた身であったからな。
そんなふうに俺が興奮していると、おくからだいぶ歳をくっているだろうお爺さんがでてきた。
「ほぉ、若者か。そんなに興味を示してどうした。初めて見るものばかりではないじゃろう。」
「おぉ、すみません。」
「うむ、まぁ良い。それでどうしだ若者?」
「あ、あぁはい。実はこの後魔の森に任務で向かうのですが、なにぶん初任務なもんで何か怪我した時に良い薬はないかと思いまして。」
そう俺がいうと、薬屋のお爺さんは「うーん」と言ってカウンターからこちら側へと出てきて、ポーションの置いてある棚の前に行った。
「若者、まぁまずこのポーションを持っていけば、ほとんど命の危機には陥らんじゃろう。よほど魔の森の深層に向かうのでなければじゃがな。このポーションはな、ワシが直々に調合したものなんだ。だから効果は保証する。」
どうやらこのポーションを持っていけば、取り敢えずは安心ということらしい。まぁ冒険者協会も近くにある大通りに店を構えているのだ、とりあえず信用はできるだろう。
「分かりました。それではこのポーションを10本下さい。」
「ほう、若者や随分と買うんじゃのう。まぁワシは損するわけじゃないから別にいいが。ほれ、10本なら銀貨5枚じゃ。」
ほぉ、ポーションは一本5000円くらいか。まぁそんなもんなのかな?一本5000円で安心できるなら、まぁ安いもんか。
そう思って、俺はお爺さんに銀貨5枚を支払い店を出る。
薬屋を出た後は、西門へと向かいつつ鞄を買うため雑貨屋を探そうとしたが、先程薬屋のお爺さんがポーション10本を手で持っていくのはということで大きめの鞄をくれたので、このまま直で西門へと向かうこととした。
***
西門につき、市外へ出るための手続きをする。何か複雑な手続きをするのかと思ったがただライセンスを見せるだけだった。まぁライセンスは?と言われた時は少し焦ったが、レイスさんにCランク冒険者ライセンスをもらっていたことに気づき、提示したらすぐに市外へ出ることができた。
「さてと、じゃあ早速魔の森に向かうとしますか。まぁあっちだろ。」
西門を出ると、少し遠くにかなり大規模な森が視界に広がっているのが見えた。
「まぁ近そうだし、走っていくか。それと
「ステータスオープン。」
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新門 宇宙 (シンモン ソラ)
攻撃力 3010+3010 (1重)
防御力 3010+3010 (1重)
体力 3010+3010 (1重)
魔力 ♾
知力 計測不能
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使用可能属性 なし
特殊魔法 熱
使用可能魔法
・熱強化:熱を自身に与え身体能力を飛躍的に上げる。一重につき基礎ステータスを倍にする。十重まで可能。(十重時基礎ステータスの10倍分を基礎ステータスに上乗せする。)
称号 人類の叡智、無限の魔力、転生者、
神の加護を受けしもの
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ちゃんとヒートアップがかかったのを確認して、俺は魔の森へと走っていく。
「レベル2!」
「レベル3!」
「レベル4!」
俺はどんどん重ねがけをしていくが、体は熱くなっていくのを感じるものの、不思議と疲労感は全然こなかった。まぁそういうよりも逆に疲労がくる前にもうすでに魔の森に着いてしまっていたという方が正しいのかもしれないが。
「さてと、それじゃ初任務いきますか。」
そう言って俺は少し張り切りつつ森の中へと入っていった。
「うーん別に普通の森だな。魔の森といっても、魔物がいるということ以外は別に普通なんじゃないか?まぁもしかしたら、よくある異世界物みたいに魔素が満ちてるとかあるのかもしれないが……まぁもしそうだとするなら俺は何も感じてないから、魔力無限は魔素を感じないとか色々な理由はあるのかもしれないな。」
そんな俺は森の中をしばらく進んでいるとゴブリン?と思われる緑色の体をした、奴らがいた。数は10ちょいだ。
「あれがゴブリンか?だとしたらアニメそのままといっても良いくらいだな。まぁ数が多いが腕試しには良いだろう。キモいけどあんまり強そうには見えないし。」
そう言って俺は
「よし初戦だからな、チャレンジしつつ安全第一で行くぞ!」
そう言って俺は自分でも驚きを覚えるほどに凄まじいスピードでゴブリンの群れへと突っ込んでいった。
"ドカッ、バギッ、グェー"
俺がゴブリンとの戦闘を始めるとそんな音が僅かの間響き、俺の初戦闘はあっという間に終わった。
「ふーっ、なんだか少しだけ緊張はしていたけどやってみるとあまり戦いがいがなかったな。やっぱりゴブリンは電子書籍とかと同じように最弱クラスの魔物で間違いなさそうだな。それにしても、死骸がキモいな。こんなものを普通触って回収しているとか本当に異世界物の主人公はすごいと思うわ。何でこんなキモいものに対する耐性があるんだ?生物実験も結構していた俺でさえ気持ち悪いと思うのに…………。うん、そうだな。きっと異世界物の主人公は皆んな殺人鬼か何かだったんだな。それこそサイコパスとかね。」
とりあえず俺は、ちゃんと魔物と戦うことができるということが分かって良かったが、まだ余裕があり何よりつまらなかったので俺はさらに森の奥へと進んだ。どうやらこの時の俺はアドレナリンがドバドバだったからか、どこかタガが外れていたのかも知れないな。
***
俺はそんなこんなでしばらく進み続けて、何やら洞窟のような場所を見つけた。
「ん?なんだ洞窟か。なんだか少し不気味な雰囲気がしているような気がするけどせっかくだし入るか。まぁさっきの所からは少し奥まできたけど、さっき森の規模を見た感じからすると全然深層とはいえないようなところだし行ってみるか。」
俺はそう決めると洞窟の中に入った。すると急に背筋が"ゾワッ"とする感覚がした。
ピカッ‼︎……ダガーーーン‼︎…
その後すぐに洞窟の奥の方が"ビカッ"と光って、さらにその直後に洞窟の奥から爆発音が響いた。
「やばいな!、とりあえず洞窟から出ないと。」
俺は突然のことで驚いたが、すぐに冷静になって急いで洞窟の外に出ると臨戦態勢をとった。俺が外に出て辺りを見ると、洞窟があったところ一帯が崩れているのがみえた。
思わずこれにはヤベェなこれ、と俺も冷や汗をかいた。というか、ゴブリンから一気にレベル上がりすぎじゃね?これ普通ボス級かなんかのやつだろ絶対。
そんなことを考えつつ、しばらくそこにいると瓦礫の下からもう一度爆発が起こって、そこから黒いローブのようなものを纏ったいかにも魔法使いのような魔物?が出てきた。思わず俺は逃げようかとも思ったが、これが街の方に解き放たれるのはだいぶ不味いのでは?と判断し、何とか逃げようとする足を止めた。
「おいおい、知らんけどコイツってまさかネクロマンサーとかいう奴じゃないだろうな。マジでネクロマンサーだったらかなり強いってことだぞコイツ。確かどの電子書籍とかでもA級とかS級の魔物で死者とかを司る最強クラスの敵とかだった気がするんだが!?」
確かネクロマンサーは電子書籍とかでも言葉を話すとかいう設定だったはず。
話すなよー話すなよーと思っていたら。最悪なこと目の前にいるソイツの声が聞こえてきてしまった。
「ヒ...サ...シ...ブ...リ...ノ...ニ...ン...ゲ...ン...ダ......コ...レ...ハ...ウ...ン...ガ...イ...イ......シ...ン...ソ...ウ...ヲ...オ...イ...ダ...サ...レ...タ...ガ...ワ...ル...イ...コ...ト...バ...カ...リ...デ...ハ...ナ...イ...ナ」
おいおいおいおい、今アイツ深層を追い出されたって言ったか?ならますますヤバいんだが……。てか深層を出されたってやはりここは深層じゃないってことじゃん。なんでいるんだよ!?
てかあっちは殺ル気満々だし。今更逃げられそうにもなさそうだ。
「仕方ない、やるだけやってやるよ。
心臓が"ドクンッ"と跳ね上がる気がした、が別に今のところ体に異常はない。なら、戦う他ない!!
「いくぞオラァ!!」
そう叫びを上げながら俺はネクロマンサーと思われる魔物に突っ込んでいった。
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